米プリンストン大のジョン・アイケンベリー教授
「米国が自ら築いた自由主義の国際秩序を破壊する無秩序の時代に入った」。米プリンストン大のジョン・アイケンベリー教授(66、国際政治学)が17日、中央日報のインタビューで、「現在、国際秩序の最も大きな挑戦は米国であり、したがって我々は困惑していて不安を感じている」と述べた。年初から米国とイランの軍事的衝突過程でウクライナの旅客機が撃墜され、搭乗していた176人が全員死亡したことについて、アイケンベリー教授は「衰退と混沌の季節が来たが、新しい制度と秩序を建設する本当の政治季節に達していなかった」と診断した。
トランプ米大統領のアメリカファーストについても辛らつに批判した。「外交政策に戦略はなく、ただ衝動とオバマ政権に対する拒否しかない」とし「所得不平等の解決策は提示せず、自身の政治的生存のために白人中産層と中部住民の非白人移民者に対する憎悪と分裂、恐怖を煽る」と指摘した。
中国に対してもワシントンの保守的強硬派とは異なる処方を出した。「(米ソ冷戦時代のような)封鎖は可能でも賢明でもない」とし「我々自らの政治・経済体制を改革して強化し、中国よりも良いモデルであることを示すのに力を注がなければいけない」と述べた。
自由主義国際政治学を代表するアイケンベリー教授は「あまり米国的でないとしても多者主義と自由貿易、国際機構と国際法、同盟・パートナー関係で構築された国際秩序を復元すべきだ」と強調した。以下は一問一答。
--今は過渡期的な混乱なのか。
「無秩序の時代(age of disorder)に入っている。分裂と解体、腐敗、大衆的反発と民族主義的激変、多極競争という無秩序を過ぎればいったい何が表れるのかは分からない。当分こうした時期が続くはずだが、自由主義的国際秩序を再構成する可能性はある」
--新年の地域・世界レベルの最も大きな挑戦は。
「最も重要な瞬間は米大統領選挙だ。トランプ大統領が再選すれば国際秩序を復元させるのは非常に難しくなり、『勇敢な新世界』に入るだろう。トランプ大統領の2期目は北大西洋条約機構(NATO)からの脱退や東アジア安全保障公約の見直しも考えられる。一方、新大統領が誕生して貿易と同盟、多者主義、すべての国際的約束と制度、パートナー関係を再確認する可能性もある」
--トランプ大統領は同盟が米国を利用していると批判する。
「米国は世界の歴史で同盟を結ぶ唯一の偉大な強国だ。北東アジアは米国に良いことが韓国・日本はもちろん地域全体に良い同盟の成功事例だ」
--ポンペオ国務長官、エスパー国防長官が韓国に防衛費分担の圧力を加えている。
「米国の指導者が『我々が定めた金額を出せば保護する』として保護費を恐喝するように行動するのは同盟を苦しめる行動であり、マフィアがする手法だ。韓国との強い絆は1億ドル、10億ドルの問題ではない。我々は韓米同盟を通じて北東アジアの発言権と地域の安定というお金に換算できない利益を得る」
--北朝鮮・イランに最大の圧力を見せるだけで、目標があいまいだ。
「その通りだ。政権交代のためか、抑止が目標かがあいまいで、逆効果をもたらす。圧力で強硬路線を放棄するだろうというのは幻想だ。核開発を防ぐには交渉を通じて合意しなければならず、強圧ではいけない。トランプ大統領があす何を考えるかも分からないのに、北朝鮮やイランが合意するだろうか」
この記事を読んで…