2019年の韓国経済は2.0%成長にとどまった。2020年の見通しも明るくはない。昨年は10年前のグローバル金融危機以降で最も振るわない年だったが、今年も本格的な回復は期待しにくい。
民間雇用の沈滞、租税などを差し引いた可処分所得の停滞、増えた家計の負債利子などで民間の消費余力が弱まっている。延期されてきた設備投資の一部が実行されても、企業の心理が冷え込んでいるうえ建設投資の調整局面が続いているため、投資活力の復元には限界があると予想される。昨年2けた減少した輸出は、天水田のように半導体の需要と原油価格の回復に期待をかけているのが実情だ。
今年の韓国経済は昨年のように拡張財政、正確に言うと未来世代の負担を操り上げて使うことに依存するとみられる。昨年も9月まで政府の成長寄与度が民間の3倍にのぼった。予算増加率が経常成長率の倍以上となり、早期執行の加速化に続く補正予算の定例化で、政府が掲げた所得主導成長は財政主導成長に変質した。
もちろん対外依存度が高い韓国経済の風向きは世界経済の流れに左右される。ところがこれは景気要因にすぎない。景気の騰落は循環し、遠からず底点が訪れる。韓国経済が危険なのは構造的な要因のためだ。生産可能人口の減少、人的力量の停滞、製造業の比較優位の低下、サービス産業の遅れ、労働市場の二重構造、緩い社会紀綱などが問題の核心だ。
これへの体系的な対応、すなわち構造改革を着実に推進すれば、潜在成長率を超える成果を出すことができる。フランスのマクロン大統領が退任後の特権まで放棄して取り組む年金改革がそのモデルだ。
残念ながら韓国経済の構造改革は遅々として進まない。最大の障害は逆説的に構造改革を率いるべき為政者だ。既得権が再編される構造改革には反発を伴うため、目の前の選挙に執着した為政者が背を向ける。初歩段階のライドシェアサービスさえも座礁したのが一つの例だ。このように圧縮成長期に形成された古い制度と規範の見直しが遅滞しているため、新産業の胎動が難しい。
構造改革どころか票ばかりを意識した「構造改悪」も少なくない。公共部門の雇用肥大化、非正規職の正規職転換、大型社会間接資本(SOC)事業予備妥当性調査の免除がそのような例だ。百年大計の教育政策が「チョ・グク一家」の突発スキャンダルをめぐる世論なだめに振り回されたりもした。
総論はもっともらしいが、現実とかけ離れていたり各論が貧弱な政策も多い。韓国特有の道徳志向性や衛正斥邪などの教条主義がもたらした理想と現実の乖離のためだ。急激な最低賃金引き上げ、硬直的な週52時間勤務制、大学講師の処遇改善、分譲価格上限制など反面教師だ。国政術(Statecraft)まで深く考慮してこそ構造改革を軟着陸させることができる。
米エール大のローチ教授は世界経済が2020年に危機を迎えるかもしれないと警告した。飛行を担保する速度にも至らない実物経済、長期間にわたる緩和的通貨政策、資産価格バブルなどで体力が衰弱したからだ。危機を触発するものとして3P、すなわち自国保護主義(Protectionism)、人気迎合主義(Populism)と政治障害(Political Dysfunction)を挙げた。
3Pの恐怖は韓国の現実にもあてはまる言葉だ。強まるポピュリズムと小集団利己主義、党利党略の政争による経済汚染と歪曲を減らさなければいけない。破産したが基礎体力はあった1997年の通貨危機とは違い、潜在力まで失って回復が難しい「ファンダメンタル危機」が近づくかもしれない。
朴宰完(パク・ジェワン)/成均館大教授/韓半島先進化財団理事長
民間雇用の沈滞、租税などを差し引いた可処分所得の停滞、増えた家計の負債利子などで民間の消費余力が弱まっている。延期されてきた設備投資の一部が実行されても、企業の心理が冷え込んでいるうえ建設投資の調整局面が続いているため、投資活力の復元には限界があると予想される。昨年2けた減少した輸出は、天水田のように半導体の需要と原油価格の回復に期待をかけているのが実情だ。
今年の韓国経済は昨年のように拡張財政、正確に言うと未来世代の負担を操り上げて使うことに依存するとみられる。昨年も9月まで政府の成長寄与度が民間の3倍にのぼった。予算増加率が経常成長率の倍以上となり、早期執行の加速化に続く補正予算の定例化で、政府が掲げた所得主導成長は財政主導成長に変質した。
もちろん対外依存度が高い韓国経済の風向きは世界経済の流れに左右される。ところがこれは景気要因にすぎない。景気の騰落は循環し、遠からず底点が訪れる。韓国経済が危険なのは構造的な要因のためだ。生産可能人口の減少、人的力量の停滞、製造業の比較優位の低下、サービス産業の遅れ、労働市場の二重構造、緩い社会紀綱などが問題の核心だ。
これへの体系的な対応、すなわち構造改革を着実に推進すれば、潜在成長率を超える成果を出すことができる。フランスのマクロン大統領が退任後の特権まで放棄して取り組む年金改革がそのモデルだ。
残念ながら韓国経済の構造改革は遅々として進まない。最大の障害は逆説的に構造改革を率いるべき為政者だ。既得権が再編される構造改革には反発を伴うため、目の前の選挙に執着した為政者が背を向ける。初歩段階のライドシェアサービスさえも座礁したのが一つの例だ。このように圧縮成長期に形成された古い制度と規範の見直しが遅滞しているため、新産業の胎動が難しい。
構造改革どころか票ばかりを意識した「構造改悪」も少なくない。公共部門の雇用肥大化、非正規職の正規職転換、大型社会間接資本(SOC)事業予備妥当性調査の免除がそのような例だ。百年大計の教育政策が「チョ・グク一家」の突発スキャンダルをめぐる世論なだめに振り回されたりもした。
総論はもっともらしいが、現実とかけ離れていたり各論が貧弱な政策も多い。韓国特有の道徳志向性や衛正斥邪などの教条主義がもたらした理想と現実の乖離のためだ。急激な最低賃金引き上げ、硬直的な週52時間勤務制、大学講師の処遇改善、分譲価格上限制など反面教師だ。国政術(Statecraft)まで深く考慮してこそ構造改革を軟着陸させることができる。
米エール大のローチ教授は世界経済が2020年に危機を迎えるかもしれないと警告した。飛行を担保する速度にも至らない実物経済、長期間にわたる緩和的通貨政策、資産価格バブルなどで体力が衰弱したからだ。危機を触発するものとして3P、すなわち自国保護主義(Protectionism)、人気迎合主義(Populism)と政治障害(Political Dysfunction)を挙げた。
3Pの恐怖は韓国の現実にもあてはまる言葉だ。強まるポピュリズムと小集団利己主義、党利党略の政争による経済汚染と歪曲を減らさなければいけない。破産したが基礎体力はあった1997年の通貨危機とは違い、潜在力まで失って回復が難しい「ファンダメンタル危機」が近づくかもしれない。
朴宰完(パク・ジェワン)/成均館大教授/韓半島先進化財団理事長
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