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【コラム】韓国経済の慢性病「労働組合寄り政策」…文大統領が強いのか、市場の力が強いのか(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

新年早々、双龍車の復職者が無期限有給休暇に反発し、出勤闘争をしている。双龍車はSUVの競争激化で国内販売が減り、輸出も3年間で半減した。先が見えない延命治療の代わりに根本的な手術が必要な時期だ。

スウェーデン、ノルウェー、デンマークを含むノルディック国家には「ヤンテの法則」というものが伝えられている。利己心を節制し、共同体全体の利益を重視すべきという生活の掟であり、すでに社会学的な用語の一つとして定着している。「自分が他人より賢いと考えるな」「自分が他人より多く知っていると考えるな」「自分がすべてうまくできると考えるな」…。ヤンテの法則は自らを特別な存在だとか優秀だと考えてはいけないという似た内容を10項目で繰り返し強調する。

昨年6月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領はスウェーデンを訪問し、首相官邸ではなくストックホルム近隣のサルトシェバーデングランドホテルでステファン・ロベーン首相と首脳会談をした。このホテルは1938年に世界大恐慌の中で「社会的対話」の偉大な模範に挙げられるるサルトシェバーデン協約が締結された歴史的な場所だ。妥協を強調するヤンテの法則を労使が身につけていたため、そのような共生が可能だったのかもしれない。こうした成功ウイルスは近隣諸国にも伝播し、1982年のオランダのワッセナー合意、2003年のドイツのハルツ改革につながった。

協約後、スウェーデン労総は経営陣を主敵と見なさない。賃金交渉をする時、周辺国の賃金と価格競争力、国内業種や労働者間の賃金格差最小化などを核心基準にするという。ドイツの労働組合は使用者と手を握って第4次産業革命の主力軍になっている。ワッセナー合意当時にオランダ労総委員長だったコック氏はその後、財務相と首相を務めた。こうした柔軟な労使関係を通じて北欧は高賃金を低めて低賃金を高める連帯賃金制までも導入し、社会の二極化を減らしている。


昨年9月、韓国国内でも双龍車の解雇者に対する政労使の社会的大妥協があった。しかし年初から平沢(ピョンテク)双龍車工場前の風景は良くない。最後の解雇者46人が復職したが、仕事はなく、生産ラインに投入されなかった。再び勤労契約書を書いて社員番号も受けたが、社員証は出ず会社に「訪問客」として出入りしている。70%の賃金だけを受ける無期限有給休暇状態だ。

双龍車の解雇者は現政権の最大懸案の一つだった。文成賢(ムン・ソンヒョン)労使政委員長は2018年春、密かに当時の崔鍾植(チェ・ジョンシク)双龍車社長と接触して「どうにかして解雇者を復職させてほしい」と要求した。現代車副社長だった崔社長は双龍車回復のために緊急投入された自動車専門家で、文委員長とはソウル大経営学部の同期だ。崔社長は友人の要請に対しても「チボリの新車効果でかろうじて赤字から抜け出したが、まだ経営の余力がない」と難色を示した。

劇的な変曲点は2018年7月の文大統領のインド国賓訪問だった。文大統領は双龍車の大株主、アナンド・マヒンドラ会長に会って「解雇者復職問題に関心を向けてほしい」と要請した。その2カ月後、崔社長が初めてソウル大漢門の前に設置された双龍車解雇労働者、故キム・ジュジュン氏の焼香所を訪れて弔問した。政治的な圧力による象徴的な場面だ。

双龍車解雇者に向けた文大統領の愛情は格別だった。2012年の大統領選挙当時、解雇者の家族に会って「暴力鎮圧の真相を糾明して責任者を処罰する」と約束した。2017年の大統領選挙では双龍車事態に言及し「整理解雇要件と手続きを強化する」と述べた。文大統領は投獄されたハン・サンギュン元全国民主労働組合総連盟(民主労総)委員長について「目に浮かぶ」と語った。ハン・サンギュン委員長は「双龍車玉砕ストライキ」を主導した人物だ。昨年9月に双龍車復職の社会的合意が出ると、文大統領はツイッターに「本当にうれしく感慨深い」とコメントした。

しかし状況は厳しい。双龍車は過去11四半期連続で赤字を出している。新車不在と販売不振、業績悪化に陥り、昨年1-3月期は278億ウォン(約26億円)の赤字、4-6月期は491億ウォンの赤字、7-9月期は1052億ウォンの赤字となった。昨年全体では4000億ウォン台の赤字を出したと推定される。市場の反応は冷たいというよりも凍りついている。依然として2000ウォン前後で推移する株価を見ても分かる。マヒンドラグループが買収した10年前と比べて90%も暴落し、事実上の脳死状態だ。

双龍車は「SUVの名家」を自負していたが、現代「パリセード」、起亜「モハベ」、GM「トラバース」で致命打を受けた。小型SUV「チボリ」までが現代「コナ」「ベニュー」、起亜「ストニック」「セルトス」に挟まれている。当分は競争力がある新車を出す計画もない。さらに輸出不振も足かせになっている。米国の経済制裁でロシアに続いてイランへの輸出までがふさがり、欧州の環境規制強化でディーゼル車の輸出までが難しくなった。かつて8万台を上回っていた輸出は昨年2万5000台に減少した。

双龍車の経営は瀕死状態だ。負債比率は285%と、前年比で80ポイントも高まった。今年満期を迎える借入金の返済も厳しいほどだ。これを受け、双龍車は昨年の役員20%削減、給与10%削減に続き、今年も賃金据え置きと年末一時金100万ウォン削減、賞与金200%返納などの追加の自救案を出した。穏健な企業労働組合を中心に94%が自救案に同意した。


【コラム】韓国経済の慢性病「労働組合寄り政策」…文大統領が強いのか、市場の力が強いのか(2)

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