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【コラム】下山の道に入った文大統領、コペルニクス的転換が切実だ(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅政府は経済が停滞期を越えて長期沈滞期に本格的に入る分岐点で執権した。このような時代状況に対する没理解で、負傷部位に塩をすり込むような反市場的進歩政策を強行したものの、市場の逆襲を受けて沈滞を加速させた。英国フィナンシャル・タイムズが指摘した通り、過去半世紀の中で最悪の経済状況に達した。このような状況が企業家精神と勤労精神を退嬰させることになったのは、私たちに後ろ歩きさせるような歴史的失敗と言わずしてなんと言おうか。

また、北朝鮮非核化問題が巡り巡って元の場所に戻り、北朝鮮の核保有が既成事実になっているのに、これに対する根本的な対応策は特に話し合われていない。米国は米国で韓米同盟を絶対的価値ではなく相対的価値にますます位置づける状況で、文大統領の金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対する過度な信頼と執着、過去指向的で民族主義的な歴史観と世界観ははなはだ心配だ。韓国外交が信頼の危機に陥り、韓米同盟と韓日米共助に亀裂現象を示しながら北東アジアの外交・安保地形が動揺している。この状況に及んでも、青瓦台(チョンワデ、大統領府)は見たいものだけを見て、読みたいものだけを読む「確証バイアス症候群」に陥って、危機の警告音を聞くことができないでいる。それで「泣斬馬謖」(大きな目的のために私情を捨てて身内を斬る)の代わりに「ネロナムブル」(私がすればロマンス、他人がすれば不倫)で一貫した。

国政の失敗が自明のものとなっているのに、文大統領の支持率が固く維持される理由は何だろうか。現執権勢力は「私たちは成功している、進歩勢力がどれほど強く盛り上がったか、自然発生的進歩がどれくらい増えたか」と大声を張り上げている。そして予算さえヘリコプターに載せて支持層に集中してバラ撒き続ければ40%以上の支持率を維持できるとし、誤った自己確信に陥っている。知識人はポピュリズムに慣れた国民がアルゼンチンの国民のように甘い汁で骨抜きにされているのではないかと深く心配している。そして次世代に渡すべき肯定的遺産を前倒しして使ってしまい、否定的遺産だけを渡すことになるかと思うと、この上なく申し訳ない気持ちになる。


私たちは過去の閉鎖回路に縛りつけられている。そして小さくなる。「追い詰められ能力ない者が最も愛国する道は重要な地位を引き受けないことだ」。過去、私の直属の上官が放った鋭い警句だ。今、この言葉が脳裏をよぎる理由は何だろうか。先日、北京大学の著名な重鎮教授から「韓国国民はそれほど才能にあふれ賢いのに、どうして良い指導者は育てることができないのか」と聞かれたとき、それが深刻な人物生態系の沈下のためだとは、とても答えることができなかった。

過去の失敗した大統領たちの共通点の一つは、国政前半部に対する率直な自己反省がなかったという点だ。険しい下山の道を降りて行く文大統領は、今からでもこれまで何がどう間違っていたのかに対する問題意識を明確にしなければならない。真っ先にすべての国民の大統領に復帰し、そのときからこれまで持っていた認識の世界と自己確信をコペルニクス的に大胆に転換しなければならない。そして、これからは国家の未来を耕やさなければならない。

特に正義・公正・ろうそく精神を間違った方向に導き、国民を分裂させて過去の歳月に私たち皆が成し遂げた蓄積・軌跡を積弊とみなした誤った認識や、国家共同体利益よりも陣営利益を優先することもあるという陣営利己主義、韓半島(朝鮮半島)の平和に対する非現実的な幻想と自己確信、過度な民族主義と過去志向的執着から果敢に脱却しなければならない。今、文大統領に最も必要なことは、偏見を捨ててバランス感覚を取り戻し、未来の韓国に対するビジョンを再建することだ。今後は進歩陣営の小さな未来ではなく、国家の大きな未来にすべてを賭けなければならない。このために理念に縛られている未来を自由に解放しなければならない。

下山の第一歩を踏み出した文大統領は、なぜ私たちがこんなにも激しく分裂してしまったのか、なぜ大統領が国民を一つにまとめることができなかったのか、深く苦悩してみてほしい。今回、心の扉を大きく開き、すべての人、さらにろうそくによって焼けてしまった保守指向の人々まで懐に抱いて進むよう勧めたい。新年、すべての国民が文大統領に向けている視線だ。

鄭徳亀(チョン・ドクグ)/NEAR財団理事長・元産業資源部長官


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