韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄騒動はチョ・グク事態とさまざまな面で似ていた。専門家が引き止めるのも聞かずに破棄と任命を強行したことや、それぞれ92日間と35日間にわたって大騒ぎをしたわりにはこれといった収穫もなく元の鞘に戻ったという点も全く同じだ。もちろん、今月22日に青瓦台(チョンワデ、大統領府)がGSOMIA破棄を撤回したことは容易ではない決定だったはずだ。「では何のために破棄を宣言したのか」という非難が出てくることは分かっていたにもかかわらず、広い意味での国益のために恥辱を甘受したことは間違いない。それが米国圧力のせいであっても、日本の必要性のためであってもだ。
1968年、米国の情報収集艦「プエブロ号」が北朝鮮に拿捕されて82人の身柄が拘束されたことがあった。ジョンソン政権は、11カ月間の交渉の末に、「北朝鮮の領海を侵したのは間違いだった」とする屈辱的な謝罪文にサインをして捕虜を返してもらった。当時のニューヨーク・タイムズはこう報じている。「ジョンソン政権が米国の自尊心に小さな犠牲を甘受したことは賢明な決定だった」と。今回もやはり文在寅(ムン・ジェイン)政府の自尊心を傷つける決定だったかもしれないが、最悪の状況は避けた正しいUターンだった。
だが、このような決断以後、青瓦台が見せている様子は非常に残念だ。自尊心を傷つけながら下した決定が色あせるような状況。まず、安倍政府の騒がしい宣伝にあまりにも敏感に反応している。そうする必要はない。外交は内政の延長だ。国内の政治的目的のために外交を利用するという意味だけではない。政権の支持率を高めるために、外交成果を最大限使い回そうとする点でも内政の延長だ。このため、一つの交渉結果をめぐって両国がそれぞれ自分の勝ちだといって違うことを言う場合は一度や二度ではない。15カ月以上にわたり貿易戦争中の米中が先月合意を達成したときもまさに同じような様相だった。ドナルド・トランプ大統領は「米国農家にとって非常に大きな勝利」と主張した反面、中国官営メディア「環球時報」は「悲観的な見通しは多かったものの、結果は期待以上」と宣伝した。
このため安倍政権の自画自賛程度は、最初から分かりきったことだと考えて無視しよう。むしろ「(日本側が)約束を破って青瓦台より7~8分程遅く発表したが、その意図が何か分からない」という鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の反応が偏狭に映る。特に「Try me」という英語表現を引用して「でたらめな主張を続ければ、こちらもどう出るか分からない」と言ったことは感情的対応にほかならない。
次に、国内メディアのせいにするのはやめよ。尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席は次のように述べてメディアをあげつらった。「日本側の視角から日本の立場を伝達する国内メディアの報道が続いている」と。すると、尹首席発言関連の記事にこのようなコメントがついた。「サッカー韓日戦の時、韓国FWが間違っていると指摘したら日本の味方になるのか」と。
23日、某紙社説にこのような主張が掲載された。「7月に唐突に打ち出した韓国向け輸出の規制強化は、昨年来の徴用工問題をめぐる事実上の報復にほかならない。…輸出規制をめぐる協議を真摯(しんし)に進めて、強化措置を撤回すべきだ」と。さあ、このメディアはどこだろう。日本の朝日新聞だ。該当の部分だけを見れば間違いなく韓国側の視角で、韓国の立場を代弁した新聞だ。このように、どの国であっても、ちゃんとしたメディアは特定政権の好みに合わせて報道しないものだ。
だからそろそろ感情を鎮めてGSOMIA破棄で何を得るつもりなのか、冷静に振り返るべき時だ。「法とソーセージは作られる過程を見ないほうがいい」とプロイセンの鉄血宰相オットー・フォン・ビスマルクは忠告する。外交政策も同じだ。どのように決まったのかを隅々まで明らかにすることが望ましくない場合が多い。
今回のGSOMIA破棄撤回は冷え込んだ韓日関係を正常化するために大きな一歩を踏み出したという点に意味を見出してこそ正しい。破局に突き進んだ韓日関係と韓日米三角協力を立て直し、国益に役立つ状況を作ることが正しい道ではないだろうか。言われるだけ言われて、実益すら取れないような最悪の事態は絶対に避けなければならない。
ナム・ジョンホ/論説委員
1968年、米国の情報収集艦「プエブロ号」が北朝鮮に拿捕されて82人の身柄が拘束されたことがあった。ジョンソン政権は、11カ月間の交渉の末に、「北朝鮮の領海を侵したのは間違いだった」とする屈辱的な謝罪文にサインをして捕虜を返してもらった。当時のニューヨーク・タイムズはこう報じている。「ジョンソン政権が米国の自尊心に小さな犠牲を甘受したことは賢明な決定だった」と。今回もやはり文在寅(ムン・ジェイン)政府の自尊心を傷つける決定だったかもしれないが、最悪の状況は避けた正しいUターンだった。
だが、このような決断以後、青瓦台が見せている様子は非常に残念だ。自尊心を傷つけながら下した決定が色あせるような状況。まず、安倍政府の騒がしい宣伝にあまりにも敏感に反応している。そうする必要はない。外交は内政の延長だ。国内の政治的目的のために外交を利用するという意味だけではない。政権の支持率を高めるために、外交成果を最大限使い回そうとする点でも内政の延長だ。このため、一つの交渉結果をめぐって両国がそれぞれ自分の勝ちだといって違うことを言う場合は一度や二度ではない。15カ月以上にわたり貿易戦争中の米中が先月合意を達成したときもまさに同じような様相だった。ドナルド・トランプ大統領は「米国農家にとって非常に大きな勝利」と主張した反面、中国官営メディア「環球時報」は「悲観的な見通しは多かったものの、結果は期待以上」と宣伝した。
このため安倍政権の自画自賛程度は、最初から分かりきったことだと考えて無視しよう。むしろ「(日本側が)約束を破って青瓦台より7~8分程遅く発表したが、その意図が何か分からない」という鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の反応が偏狭に映る。特に「Try me」という英語表現を引用して「でたらめな主張を続ければ、こちらもどう出るか分からない」と言ったことは感情的対応にほかならない。
次に、国内メディアのせいにするのはやめよ。尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席は次のように述べてメディアをあげつらった。「日本側の視角から日本の立場を伝達する国内メディアの報道が続いている」と。すると、尹首席発言関連の記事にこのようなコメントがついた。「サッカー韓日戦の時、韓国FWが間違っていると指摘したら日本の味方になるのか」と。
23日、某紙社説にこのような主張が掲載された。「7月に唐突に打ち出した韓国向け輸出の規制強化は、昨年来の徴用工問題をめぐる事実上の報復にほかならない。…輸出規制をめぐる協議を真摯(しんし)に進めて、強化措置を撤回すべきだ」と。さあ、このメディアはどこだろう。日本の朝日新聞だ。該当の部分だけを見れば間違いなく韓国側の視角で、韓国の立場を代弁した新聞だ。このように、どの国であっても、ちゃんとしたメディアは特定政権の好みに合わせて報道しないものだ。
だからそろそろ感情を鎮めてGSOMIA破棄で何を得るつもりなのか、冷静に振り返るべき時だ。「法とソーセージは作られる過程を見ないほうがいい」とプロイセンの鉄血宰相オットー・フォン・ビスマルクは忠告する。外交政策も同じだ。どのように決まったのかを隅々まで明らかにすることが望ましくない場合が多い。
今回のGSOMIA破棄撤回は冷え込んだ韓日関係を正常化するために大きな一歩を踏み出したという点に意味を見出してこそ正しい。破局に突き進んだ韓日関係と韓日米三角協力を立て直し、国益に役立つ状況を作ることが正しい道ではないだろうか。言われるだけ言われて、実益すら取れないような最悪の事態は絶対に避けなければならない。
ナム・ジョンホ/論説委員
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