ロールスロイスが開発しているエアタクシーの想像図(写真提供=ロールスロイス)
航空エンジン製作企業ロールスロイスのダービー工場の様子だ。大きな円筒は「Trent(トレント)900」の本体。トレント900はエアバスA380に装着されるエンジンだ。
個別の部品を組み立てる過程は全て手作業で行われている。工程別に2~3人のエンジニアが部品を装着すると、その後テスト過程を経る。
ロールスロイス関係者は「トレント900エンジン1台を作るために10~15日ほど要する」とし「トレント航空エンジンは手作業だと再検査が可能で効率的だ。自動化工程の計画はない」と話した。
ベルトコンベヤーと自動化工程を通じて1時間当たり60台以上の完成品を作り出す自動車工場とは異なる。
トレント900は1台が約450万ドル(約5億円)に達する。大量生産よりは精密な工程を経て誤作動のない製品を作ることが目的だという。
この会社はすでに「電気航空機」に向かっている。ロールスロイス・ダービー工場の電気設計チームは、ノルウェーやシンガポールなど各国にあるロールスロイス研究開発人材との協業の下で電気航空エンジンを開発している。Warrick Matthews施設・購入担当副社長は「ロールスロイスはモビリティ環境の変化に対応している」とし「(高効率低炭素の)ウルトラファンと、ハイブリッド電気航空機を開発して商用化する」と話した。
今月6日、ロールスロイスはドイツの航空エンジン企業APUSとブランデンブルク工科大学(BTU)と提携してハイブリッド型M250エンジンを開発することにした。電気と内燃機関が複合したエンジンが開発されれば、2021年から4000キログラム前後のエアタクシーに適用することができる。ロールスロイスは2013年「E-トラス」と呼ばれるハイブリッド電気航空機開発プロジェクトに続き、2017年にはエアバスやシーメンスと提携してE-fanXという中小型ハイブリッド電気航空機の商用化事業も開始した。
うまくいっているジェットエンジン企業が電気航空機を開発する理由は何だろうか。主要顧客である航空会社に適用されている環境規制のためだ。Matthews氏は「年間二酸化炭素排出量の2.7~3%が航空機からのもの」とし「電気エンジンなど新規エンジンプログラムを進めているのもそのため」と話した。電気エンジンは内燃機関エンジンより温室効果ガス排出に対する航空会社負担が10%以上削減することができ、客室内の騒音もおさえることができる。国際民間航空機関(ICAO)の2016年炭素排出制限合意により、航空会社は2021年から炭素超過排出時炭素排出権を買わなければならない。
ロールスロイスに部品を供給しているハンファエアロスペースも電気エンジンに注力している。子会社のハンファシステムは今年7月、エアタクシー会社の米国K4エアロノーティクス(K4 Aeronautics)に2500万ドルを投資した。
ハンファエアロスペースのシン・ヒョヌ社長は「中大型航空機のエンジン2台、あるいは4台をすべて電気エンジンで装着するのは長距離の特性上、不可能なので、一部だけ電気エンジンを装着する形態になるだろう」と話した。
この記事を読んで…