世界経済が同時に沈滞するという警告が続いている。国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ新専務理事は最近、世界90%地域で成長が同時に減速するという見方を示した。世界銀行のデビッド・マルパス総裁総裁もブレグジット(英国のEU離脱)と米中貿易紛争、欧州の景気沈滞で今年の成長率は最低になると予想している。グローバル景気沈滞が予想される中、輸出依存度が高い韓国経済に対する懸念も強まっている。危機を迎えるという見方がある一方、経済が厳しいのは事実だが危機状況ではないとの見方もある。韓国経済はどうなるのか、危機の可能性が高ければどのような解決策をとるべきなのか。
経済危機の原因はさまざまだ。通常、金融危機や通貨危機のような経済危機は主に景気沈滞から始まる。景気沈滞で不振企業が増えれば企業に融資した金融機関が不健全化し、さらに外国人資本が流出し、金融危機と通貨危機を招くからだ。1997年の通貨危機当時も起亜自動車・韓宝鉄鋼などの企業が経営難に直面し、不良債権問題で金融危機が発生し、すぐに通貨危機に広がった。もう一つの原因は国家信頼度の低下だ。財政赤字が累積して国家負債が一定規模以上に増えたり、輸出が減少して経常収支が悪化すれば、資本が流出して危機を迎えることになる。最近のギリシャやスペインなど南欧国家と、何度も危機に直面している南米がこのようなケースだ。これらの国の大半はポピュリズム(大衆迎合主義)による過度な財政支出で国家負債が増え、危機を迎えた。また、不動産・株式など資産価格の暴落も危機を招く。グローバル金融危機のように不動産関連の不良債券は金融危機を招き、株価暴落は外国人株式投資資金を流出させて通貨危機を招く。
◆表面的な経済指標まだ良好
韓国経済の危機を表している核心の指標は最近2%台に落ちた成長率だ。新興国よりは低いが、先進国とは似た水準を維持している。国家信頼度を表す指標の経常黒字規模も国内総生産(GDP)の4%と堅実な方だ。輸出より輸入が減少する不況型黒字とはいえ、現在の韓国経済を安定させる重要な要因となっている。
経済主体別にみると、多くの大企業はまだ営業利益が出ている。しかし造船業のような構造調整企業と自営業を含む中小企業は不健全化が急速に進んでいる。銀行は大規模な利益を出しているが、ノンバンクは不良債券の比率が増えている。家計も負債残高の増加率は低下しているが、家計の負債規模は増えている。今年4-6月期基準で1556兆ウォン(約146兆円)と、GDP比81%にのぼる。これは世界経済フォーラム(WEF)が提示する75%を上回る。景気沈滞が長期化する場合、家計負債の不健全化リスクは高まる。政府の負債の場合、財政赤字がGDP比で2019年は1.9%と、危険水準の3%を下回り、国家負債もGDP比37%と低い。財政はまだ健全といえる。これは債務不履行リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが低い点にもよく表れている。
このように指標上で見ると、韓国経済は家計の負債と自営業・中小企業の指標を除いてはまだ危機信号が強く感知されていない。しかし経済構造をよく見ると、今後、危機が発生する可能性があることが分かる。まず、韓国経済は日本のように長期沈滞に入る可能性が高い。出生率が低く新技術開発が活発でないのも原因だが、中国の追撃で産業競争力と輸出競争力が急速に弱まっているからだ。造船・鉄鋼業などはすでに構造調整中で、自動車・電子・化学産業も中国の追撃で近いうちに競争力が落ちると懸念されている。さらに第4次産業革命で産業構造が大きく変わっていて新技術の開発と専門技術人材の養成が重要になっているが、政府・企業ともに戦略を立てられずにいる。産業競争力の低下は製造業の空洞化を操り上げ、安定的な雇用を減らし、成長率を落として企業の経営難につながる。
【コラム】政府は否定するが、あちこちで経済危機の兆候=韓国(2)
経済危機の原因はさまざまだ。通常、金融危機や通貨危機のような経済危機は主に景気沈滞から始まる。景気沈滞で不振企業が増えれば企業に融資した金融機関が不健全化し、さらに外国人資本が流出し、金融危機と通貨危機を招くからだ。1997年の通貨危機当時も起亜自動車・韓宝鉄鋼などの企業が経営難に直面し、不良債権問題で金融危機が発生し、すぐに通貨危機に広がった。もう一つの原因は国家信頼度の低下だ。財政赤字が累積して国家負債が一定規模以上に増えたり、輸出が減少して経常収支が悪化すれば、資本が流出して危機を迎えることになる。最近のギリシャやスペインなど南欧国家と、何度も危機に直面している南米がこのようなケースだ。これらの国の大半はポピュリズム(大衆迎合主義)による過度な財政支出で国家負債が増え、危機を迎えた。また、不動産・株式など資産価格の暴落も危機を招く。グローバル金融危機のように不動産関連の不良債券は金融危機を招き、株価暴落は外国人株式投資資金を流出させて通貨危機を招く。
◆表面的な経済指標まだ良好
韓国経済の危機を表している核心の指標は最近2%台に落ちた成長率だ。新興国よりは低いが、先進国とは似た水準を維持している。国家信頼度を表す指標の経常黒字規模も国内総生産(GDP)の4%と堅実な方だ。輸出より輸入が減少する不況型黒字とはいえ、現在の韓国経済を安定させる重要な要因となっている。
経済主体別にみると、多くの大企業はまだ営業利益が出ている。しかし造船業のような構造調整企業と自営業を含む中小企業は不健全化が急速に進んでいる。銀行は大規模な利益を出しているが、ノンバンクは不良債券の比率が増えている。家計も負債残高の増加率は低下しているが、家計の負債規模は増えている。今年4-6月期基準で1556兆ウォン(約146兆円)と、GDP比81%にのぼる。これは世界経済フォーラム(WEF)が提示する75%を上回る。景気沈滞が長期化する場合、家計負債の不健全化リスクは高まる。政府の負債の場合、財政赤字がGDP比で2019年は1.9%と、危険水準の3%を下回り、国家負債もGDP比37%と低い。財政はまだ健全といえる。これは債務不履行リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが低い点にもよく表れている。
このように指標上で見ると、韓国経済は家計の負債と自営業・中小企業の指標を除いてはまだ危機信号が強く感知されていない。しかし経済構造をよく見ると、今後、危機が発生する可能性があることが分かる。まず、韓国経済は日本のように長期沈滞に入る可能性が高い。出生率が低く新技術開発が活発でないのも原因だが、中国の追撃で産業競争力と輸出競争力が急速に弱まっているからだ。造船・鉄鋼業などはすでに構造調整中で、自動車・電子・化学産業も中国の追撃で近いうちに競争力が落ちると懸念されている。さらに第4次産業革命で産業構造が大きく変わっていて新技術の開発と専門技術人材の養成が重要になっているが、政府・企業ともに戦略を立てられずにいる。産業競争力の低下は製造業の空洞化を操り上げ、安定的な雇用を減らし、成長率を落として企業の経営難につながる。
【コラム】政府は否定するが、あちこちで経済危機の兆候=韓国(2)
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