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【時視各角】トランプ氏が落馬すればどうするつもりか=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
この2年間、全世界の関心を引いてきた金正恩(キム・ジョンウン)-トランプ主演、文在寅(ムン・ジェイン)演出の北核ドラマ。

この世紀のドラマで、ドナルド・トランプ米国大統領が舞台から落ちたらどうなるだろうか。チョ・グク事態は、この2カ月間、国民全員の関心をブラックホールのように吸い込んで重大な国外の流れから目を遠ざけさせた。そのうちの一つが、あと1年しか残っていない米大統領選挙(来年11月3日)だ。現状況はトランプ大統領が押されている。今月10日、FOX(フォックス)ニュースの調査では、ジョー・バイデン元副大統領、エリザベス・ウォーレンおよびバーニー・サンダース上院議員ら民主党の先頭候補3人のうち、誰と勝負することになっても50%対40%程度の支持率の差で負けるだろうと予想されている。ウクライナ疑惑によって弾劾調査が本格化すれば格差はさらに広がるだろう。今の流れのままなら、両首脳が繰り広げた北核ドラマは遠からず幕を下ろすことになる。

あらゆる異変が続出する米大統領選挙なので、トランプ氏が’勝たないだろうということはもちろんない。それでも明らかなのは、金正恩北朝鮮国務委員長としてはトランプ落馬を念頭に置いて次の局面づくりに向かうほかにないという事実だ。このような場合、北朝鮮の前に置かれている選択肢は2つだ。トランプ氏の任期内に制裁を解除した後、後戻りできないように大釘を打ち込むか、でなければ今は何もせずに待って新大統領と談判をするかだ。


トランプ氏の任期中に最後を見届けるためには急がなければならない。トランプ氏が制裁の撤回を決心しても、議会の説得などに少なくない時間がかかる。27日、北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長が「時間稼ぎで年末を越えようとするのは愚かな妄想」としながら「今すぐにでも火と火を行き来させることができる」と脅迫したことも、秒読みに入ったいらだちのせいだろう。

だが、この程度の言葉爆弾にのんびり動くトランプ氏ではない。結局、年末まで今の状況が続けば、北朝鮮は新大統領と北核問題を談判しようとするだろう。トランプ氏とせっかく合意した内容を後任者が覆す可能性が大きい理由だ。実際、1994年ビル・クリントン大統領が紆余曲折を経て成立させたジュネーブ合意が腰砕けになった背景には、後任者であるジョージ・W・ブッシュ氏の責任も少なくない。ブッシュ氏は公然と北朝鮮を「悪の枢軸」と言ってはばからず、北朝鮮に対して敵対政策を取った。

そのうえ、当選の可能性が高い民主党のバイデン、ウォーレン両候補はともにトランプ氏の北朝鮮政策に非常に否定的だ。バイデン氏は「北朝鮮の独裁者のための弁解を繰り返しているところに、北朝鮮人権大使さえ指名しないでいる」とし、トランプ氏の人権無視を激しく批判している。ウォーレン氏は「無慈悲な独裁者との写真撮影とラブレターに米国の影響力を浪費してはいけない」と叱責した。2人の共通点は北朝鮮の人権問題を強調している部分だ。したがって誰が大統領になっても北朝鮮内の人権改善がない限り、制裁解決は容易ではない雰囲気だ。北朝鮮がバイデン氏を「知能指数が足りない間抜け」と非難しているのもこのためだろう。

このように、金正恩・トランプ間の大妥協を通した北核解決の可能性はますます霞んでいるにもかかわらず、文在寅政権はまだここに執着している。任期中、決してブレることのない統一の基礎工事を終わらせるという使命感のためだろう。だが、執着の最も大きな害悪は理性を麻痺させて合理的な判断を遮っているということだ。バラマキ論争が巻き起こること必至の対価のない支援、屈辱的な対北低姿勢はどれも北朝鮮への執着がもたらした後遺症だ。このままいけば保守および中道層の反発を呼ぶことは明らかで、進歩政権の再執権の可能性はますます低くなる。進歩政権が2年半後になくなる可能性が大きくなれば北朝鮮はどう出てくるだろうか。ますます現政権の約束を信じず無視しようとするのは明らかだ。北朝鮮にオールインすればするほど、北朝鮮問題はさらに解決不可能な逆説的状況に陥るだろう。

西ドイツがドイツ統一に成功したのは、「統一を準備するものの話はしない」という長い呼吸の一貫した政策のおかげだった。文在寅政府が統一に決定的な寄与をしたという評価を受けるためには、次にどのような政権になろうが、ブレない常識的方案を出さなければならない。そろそろ「トランプ氏のいない米国」を念頭に置いたプランBを構想するべきときだ。

ナム・ジョンホ/論説委員



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