3月29日、神奈川県相模原市のある広場。統一地方選挙に出馬した「日本第一党」の候補者が手を振って登場した。しばらくして党代表だと紹介された男性が小さなはしごに上った。数年前に東京のコリアタウン新大久保で嫌韓集会を主導した桜井誠「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の元代表だった。
「あそこに見えるパチンコ店は80~90%が在日韓国・朝鮮人、いわば外国人によって運営されています。みなさんが使う1000円、2000円が北朝鮮に流れ、核を作って、拉致工作を行い、テロを継続するのに使われるのです」。
彼は「死ね」「ゴキブリ」のような言葉を使ってはいないが、当時新大久保で在日同胞の肝を冷やした憎しみ混じりの声は変わることがなかった。政策公約や候補紹介のような一般的な政党の選挙演説にあるべきものはなく、ひたすら外国人に対する憎しみを助長する発言があふれた。彼は別の演説では「日本を批判するなら朝鮮半島に帰れ。在日も帰れ」「日韓断交は外交政策だ」と主張した。
2016年6月に日本の国会では「ヘイトスピーチ解消法(正式名称:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が通過した。日本の警視庁によると、法律が制定される前の2013年にはヘイトスピーチ集会件数が120件に達したが、2016年に法律が作られてから急激に減り始めた。昨年は30件、今年は9月末現在10件と集計された。6年間に10分の1以下水準に大きく減ったのだ。だが在特会のように正式に政党として登録し活動方式を変えたり電話やインターネットを利用してターゲットを攻撃するなどヘイトスピーチの手法はさらに巧妙になっている。
ヘイトスピーチ被害者を支援する神原元弁護士は「最近のヘイトスピーチは直接的な表現を使わないが差別や憎悪を助長するのは以前と同じだ。ヘイトスピーチは決して減っていない」と話す。
実際に日本第一党の演説内容は明白なヘイトスピーチだが、むしろ「政治発言の自由」という名分でもっと堂々としていた。選挙遊説会場にいる警察も対応できず、法務省も「事前にヘイトスピーチかどうかを予測するのは難しい」という理由から選挙後に取り締まりを先送りするなど事実上手をこまねいている実情だ。
ヘイトスピーチ集会が公共の場所で特定多数に向かってなされたとすれば、最近ではターゲットを決めて集中攻撃する「電凸」(不満がある機関や企業に電話をかけて問いただすこと)活動が多くなったのも特徴だ。正体を表さない一般市民の参加も増えた。
慰安婦被害者を取り上げたドキュメンタリー映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』は昨年10月に神奈川県茅ヶ崎市で上映を計画したが右翼の攻撃に苦しめられなければならなかった。彼らは映画上映館を貸した茅ヶ崎市に向け1日に数十本の電話攻撃を浴びせた。行政機関を圧迫し上映を取り消させようとするのが目的だった。
彼らは市役所職員にいきなり電話をかけ、「日本語では慰安婦だが事実上売春婦だ。一方的で政治的な意味がある映画を行政機関が後援してどうするのか」と問いただし、30分にもなる通話内容をユーチューブに上げた。インターネット上のヘイトスピーチだったが電話をかけた人や動画を上げた人がだれかは明らかにならなかった。
あいちトリエンナーレに出品された「平和の少女像」の展示中断を要求した事例も似ている。展示が始まった8月1日から約2カ月間に「火を付ける」「慰安婦は売春婦」などという脅迫の電子メールと電話、ファクスが約1万通に達したが、展示場に直接姿を見せた人は1人もいなかった。ファクスやインターネット電話で身分を隠しだれなのかを特定するのが事実上不可能だった。街頭集会は大幅に減ったがオンラインでの活動ははるかに広範囲になった。
韓日関係が悪化しヘイトスピーチがさらに活発になったという指摘も出ている。映画『沈黙』を制作した朴麻衣氏は「日本政府が韓国に輸出規制という明確な報復措置を取った後に一般の人たちも韓国に対し『何をしてもかまわない』という考えが定着した。隠されていた差別意識のブレーキが解けたようだ」と話した。LAZAK(在日コリアン弁護士協会)の姜文江弁護士は「日本政府が韓国との関係改善に意欲がないのでヘイトスピーチもなくならない」と指摘した。
「ヘイトスピーチ解消法」制定後に東京都など自治体が差別を禁止する条例を作るなど肯定的側面があるが、ヘイト行為を防ぐには力不足だ。報復が恐ろしく被害申告をできないケースが大部分だ。姜弁護士は「ヘイトスピーチ解消法ではヘイト集会や発言を防ぐのに限界がある。差別禁止をしっかりと明記した法律が必要だ」と話した。
連立与党の公明党所属で、ヘイトスピーチ解消法の立法を主導した矢倉克夫参議院議員は、「韓日関係が悪化し韓国に対する論調が厳しくなったのは事実だが、政治的主張に混ぜて在日韓国人に対する差別があってはならない。このためにも両国関係が良くなることを願う」と話した。
「あそこに見えるパチンコ店は80~90%が在日韓国・朝鮮人、いわば外国人によって運営されています。みなさんが使う1000円、2000円が北朝鮮に流れ、核を作って、拉致工作を行い、テロを継続するのに使われるのです」。
彼は「死ね」「ゴキブリ」のような言葉を使ってはいないが、当時新大久保で在日同胞の肝を冷やした憎しみ混じりの声は変わることがなかった。政策公約や候補紹介のような一般的な政党の選挙演説にあるべきものはなく、ひたすら外国人に対する憎しみを助長する発言があふれた。彼は別の演説では「日本を批判するなら朝鮮半島に帰れ。在日も帰れ」「日韓断交は外交政策だ」と主張した。
2016年6月に日本の国会では「ヘイトスピーチ解消法(正式名称:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が通過した。日本の警視庁によると、法律が制定される前の2013年にはヘイトスピーチ集会件数が120件に達したが、2016年に法律が作られてから急激に減り始めた。昨年は30件、今年は9月末現在10件と集計された。6年間に10分の1以下水準に大きく減ったのだ。だが在特会のように正式に政党として登録し活動方式を変えたり電話やインターネットを利用してターゲットを攻撃するなどヘイトスピーチの手法はさらに巧妙になっている。
ヘイトスピーチ被害者を支援する神原元弁護士は「最近のヘイトスピーチは直接的な表現を使わないが差別や憎悪を助長するのは以前と同じだ。ヘイトスピーチは決して減っていない」と話す。
実際に日本第一党の演説内容は明白なヘイトスピーチだが、むしろ「政治発言の自由」という名分でもっと堂々としていた。選挙遊説会場にいる警察も対応できず、法務省も「事前にヘイトスピーチかどうかを予測するのは難しい」という理由から選挙後に取り締まりを先送りするなど事実上手をこまねいている実情だ。
ヘイトスピーチ集会が公共の場所で特定多数に向かってなされたとすれば、最近ではターゲットを決めて集中攻撃する「電凸」(不満がある機関や企業に電話をかけて問いただすこと)活動が多くなったのも特徴だ。正体を表さない一般市民の参加も増えた。
慰安婦被害者を取り上げたドキュメンタリー映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』は昨年10月に神奈川県茅ヶ崎市で上映を計画したが右翼の攻撃に苦しめられなければならなかった。彼らは映画上映館を貸した茅ヶ崎市に向け1日に数十本の電話攻撃を浴びせた。行政機関を圧迫し上映を取り消させようとするのが目的だった。
彼らは市役所職員にいきなり電話をかけ、「日本語では慰安婦だが事実上売春婦だ。一方的で政治的な意味がある映画を行政機関が後援してどうするのか」と問いただし、30分にもなる通話内容をユーチューブに上げた。インターネット上のヘイトスピーチだったが電話をかけた人や動画を上げた人がだれかは明らかにならなかった。
あいちトリエンナーレに出品された「平和の少女像」の展示中断を要求した事例も似ている。展示が始まった8月1日から約2カ月間に「火を付ける」「慰安婦は売春婦」などという脅迫の電子メールと電話、ファクスが約1万通に達したが、展示場に直接姿を見せた人は1人もいなかった。ファクスやインターネット電話で身分を隠しだれなのかを特定するのが事実上不可能だった。街頭集会は大幅に減ったがオンラインでの活動ははるかに広範囲になった。
韓日関係が悪化しヘイトスピーチがさらに活発になったという指摘も出ている。映画『沈黙』を制作した朴麻衣氏は「日本政府が韓国に輸出規制という明確な報復措置を取った後に一般の人たちも韓国に対し『何をしてもかまわない』という考えが定着した。隠されていた差別意識のブレーキが解けたようだ」と話した。LAZAK(在日コリアン弁護士協会)の姜文江弁護士は「日本政府が韓国との関係改善に意欲がないのでヘイトスピーチもなくならない」と指摘した。
「ヘイトスピーチ解消法」制定後に東京都など自治体が差別を禁止する条例を作るなど肯定的側面があるが、ヘイト行為を防ぐには力不足だ。報復が恐ろしく被害申告をできないケースが大部分だ。姜弁護士は「ヘイトスピーチ解消法ではヘイト集会や発言を防ぐのに限界がある。差別禁止をしっかりと明記した法律が必要だ」と話した。
連立与党の公明党所属で、ヘイトスピーチ解消法の立法を主導した矢倉克夫参議院議員は、「韓日関係が悪化し韓国に対する論調が厳しくなったのは事実だが、政治的主張に混ぜて在日韓国人に対する差別があってはならない。このためにも両国関係が良くなることを願う」と話した。
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