「私たちは原料と言っていますが、無条件で『ゴミ』だと言います。本当に自愧感を感じます」
江原道三陟市(カンウォンド・サムチョクシ)にある(株)サムピョセメントのシム・ヨンソク部長の言葉だ。先月30日、工場で会ったシム部長が言及した原料は「日本産石炭がら」だ。火力発電所で電気を作るために石炭を燃焼させて残った石炭がらは1990年代以降セメント原料として使われている。セメントは主原料である石灰石や粘土などを一緒に燃焼させて作るが、鉱山開発が制限されたことで粘土と成分がよく似ている石炭がらを代替材として使うようになった。
30年以上使われきたその石炭がらが最近「ゴミ論争」に巻き込まれたのは、日本産石炭がらの存在が遅まき知らされたことを受けてだ。日本の火力発電所から出た石炭がらのうち約10%の128万余トン(昨年基準)が韓国でセメント原料として使われている。ホワイトリスト論争など、最近の韓日貿易葛藤で日本産石炭がらに対する関心が高まった。日本産石炭がらの輸入制限が青瓦台国民請願に掲載された。10万人余りが参加して回答要件(30万人以上)は満たせなかったものの、日本産不買運動の渦中に「なぜ日本のゴミまで持ってくるのか」という公憤が広がった。
日本石炭がらはいったいなぜ海を渡ったきてゴミ論争に巻き込まれる羽目になったのか。産業構造や環境問題、外交的状況まで入り乱れた高次方程式「日本産ゴミ論争」に迫ってみた。
◆1トンあたり5万ウォンで日本石炭がらを輸入
日本産石炭がらは2000年代初期から韓国に輸入され始めた。日本の火力発電所は石炭がらの埋立費用の負担が大きかった。日本で埋立処分するためには多い場合には1トンあたり20万ウォン(約1万7800円)かかる費用を節約するために、韓国セメント会社に1トンあたり5万ウォンで輸出する(?)という取り引きが交わされた。日本発電所の立場では埋立費用を節約することができ、韓国セメント業界は利益を上げながら原料も手に入るというウィン・ウィン取り引きだった。
しかし2006年から日本産石炭がらを「日本のゴミ」として反対する環境運動家の声が高まり始めた。重金属基準値など安全問題などに対する検証が不足しているという主張だった。最初に問題を提起した環境運動家チェ・ビョンソン牧師は「お金を幾銭もらおうと日本のゴミを持ち込まなければならないのか。日本にいる韓国の方々が恥ずかしいと今でも電話をしてくる」と批判した。
2011年には福島原発事故が起きて放射能危険問題も提起された。環境問題に続いて放射能安全性問題、最近では反日感情イシューまで、風が収まる日のないこの約10年間が、セメント業界を台風のように襲い、そして過ぎていった。
◆一時は愛国者だとも考えた
韓国セメント業界は冷たい世論に肝を冷やしている。セメント会社戦略資源化チームで仕事をしてきたシム・ヨンソク部長は「セメント会社にとっても親環境は重大な目標だ。使うべきでない原料をあえて使う理由がどこにあるだろうか」と話した。
--自愧感を感じるといったが。
「24年間セメント会社で働いてきた。国家的次元で代替原料を研究して欧州技術を研究した。日本の事情を圧迫して取り引きを成功させた時には愛国だとさえ考えた。国家に尽くす部分があるからだ。だが、今は環境的観点に続いて反日感情で非難されているようで残念に思う」
--再び粘土を使ってはいけないのか。
「1990年代以降、鉱山開発を規制しながら石炭がらを活用するようになった。過去の鉱山周辺はすべて観光地になった。住民が鉱山開発を嫌悪しているのに、それは容易なことだろうか」
--国産石炭がらはなぜ使えないか。
「運送費用が問題だ。特に韓国の火力発電所は西側に集中していて東海岸にあるセメント会社までの運送負担が大きくなる。1トンあたり2万5000ウォン程度だが、埋立費用は1トンあたり1万ウォンしかかからないので埋立のほうを選んだのだ。日本は埋立費用の高さために韓国への輸出を選択することになった」
--日本産を減らすことには同意するか。
「何の問題もない日本産石炭がらを使えなくすることに当惑しているというのが正直な気持ちだが、それでも世論を受け入れて縮小に反対していない。化学工学を専攻したエンジニアであり、同時に大韓民国国民としての考えだ。賛成側と反対側の両方に時間が必要な状況なのだと思う」
--専門家ではない国民は環境と健康問題に敏感にならざるをえない。
「我々にとっても環境問題がいつも伏兵だった。過去に『煙突産業』が脚光を浴びた時もあったが、今はセメント業界も現実を受け入れている。ただし、国民になじみのある消費財企業ではないため充分に説明する機会も持てず誤解だけが大きくなった側面がある。産業資源に対する認識の転換があってほしい」
【コラム】日本産石炭がら、ゴミなのかセメント産業資源なのか(2)
江原道三陟市(カンウォンド・サムチョクシ)にある(株)サムピョセメントのシム・ヨンソク部長の言葉だ。先月30日、工場で会ったシム部長が言及した原料は「日本産石炭がら」だ。火力発電所で電気を作るために石炭を燃焼させて残った石炭がらは1990年代以降セメント原料として使われている。セメントは主原料である石灰石や粘土などを一緒に燃焼させて作るが、鉱山開発が制限されたことで粘土と成分がよく似ている石炭がらを代替材として使うようになった。
30年以上使われきたその石炭がらが最近「ゴミ論争」に巻き込まれたのは、日本産石炭がらの存在が遅まき知らされたことを受けてだ。日本の火力発電所から出た石炭がらのうち約10%の128万余トン(昨年基準)が韓国でセメント原料として使われている。ホワイトリスト論争など、最近の韓日貿易葛藤で日本産石炭がらに対する関心が高まった。日本産石炭がらの輸入制限が青瓦台国民請願に掲載された。10万人余りが参加して回答要件(30万人以上)は満たせなかったものの、日本産不買運動の渦中に「なぜ日本のゴミまで持ってくるのか」という公憤が広がった。
日本石炭がらはいったいなぜ海を渡ったきてゴミ論争に巻き込まれる羽目になったのか。産業構造や環境問題、外交的状況まで入り乱れた高次方程式「日本産ゴミ論争」に迫ってみた。
◆1トンあたり5万ウォンで日本石炭がらを輸入
日本産石炭がらは2000年代初期から韓国に輸入され始めた。日本の火力発電所は石炭がらの埋立費用の負担が大きかった。日本で埋立処分するためには多い場合には1トンあたり20万ウォン(約1万7800円)かかる費用を節約するために、韓国セメント会社に1トンあたり5万ウォンで輸出する(?)という取り引きが交わされた。日本発電所の立場では埋立費用を節約することができ、韓国セメント業界は利益を上げながら原料も手に入るというウィン・ウィン取り引きだった。
しかし2006年から日本産石炭がらを「日本のゴミ」として反対する環境運動家の声が高まり始めた。重金属基準値など安全問題などに対する検証が不足しているという主張だった。最初に問題を提起した環境運動家チェ・ビョンソン牧師は「お金を幾銭もらおうと日本のゴミを持ち込まなければならないのか。日本にいる韓国の方々が恥ずかしいと今でも電話をしてくる」と批判した。
2011年には福島原発事故が起きて放射能危険問題も提起された。環境問題に続いて放射能安全性問題、最近では反日感情イシューまで、風が収まる日のないこの約10年間が、セメント業界を台風のように襲い、そして過ぎていった。
◆一時は愛国者だとも考えた
韓国セメント業界は冷たい世論に肝を冷やしている。セメント会社戦略資源化チームで仕事をしてきたシム・ヨンソク部長は「セメント会社にとっても親環境は重大な目標だ。使うべきでない原料をあえて使う理由がどこにあるだろうか」と話した。
--自愧感を感じるといったが。
「24年間セメント会社で働いてきた。国家的次元で代替原料を研究して欧州技術を研究した。日本の事情を圧迫して取り引きを成功させた時には愛国だとさえ考えた。国家に尽くす部分があるからだ。だが、今は環境的観点に続いて反日感情で非難されているようで残念に思う」
--再び粘土を使ってはいけないのか。
「1990年代以降、鉱山開発を規制しながら石炭がらを活用するようになった。過去の鉱山周辺はすべて観光地になった。住民が鉱山開発を嫌悪しているのに、それは容易なことだろうか」
--国産石炭がらはなぜ使えないか。
「運送費用が問題だ。特に韓国の火力発電所は西側に集中していて東海岸にあるセメント会社までの運送負担が大きくなる。1トンあたり2万5000ウォン程度だが、埋立費用は1トンあたり1万ウォンしかかからないので埋立のほうを選んだのだ。日本は埋立費用の高さために韓国への輸出を選択することになった」
--日本産を減らすことには同意するか。
「何の問題もない日本産石炭がらを使えなくすることに当惑しているというのが正直な気持ちだが、それでも世論を受け入れて縮小に反対していない。化学工学を専攻したエンジニアであり、同時に大韓民国国民としての考えだ。賛成側と反対側の両方に時間が必要な状況なのだと思う」
--専門家ではない国民は環境と健康問題に敏感にならざるをえない。
「我々にとっても環境問題がいつも伏兵だった。過去に『煙突産業』が脚光を浴びた時もあったが、今はセメント業界も現実を受け入れている。ただし、国民になじみのある消費財企業ではないため充分に説明する機会も持てず誤解だけが大きくなった側面がある。産業資源に対する認識の転換があってほしい」
【コラム】日本産石炭がら、ゴミなのかセメント産業資源なのか(2)
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