日本を狙った文在寅(ムン・ジェイン)政府の韓日情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定が米国を刺激することで問題が複雑になった。米国政府が「失望した」という立場を繰り返して表明し、失望の対象を「韓国」の代わりに「文政府(Moon administration)」と表現したりもした。韓国政府は日本が輸出規制を撤回すればGSOMIAの終了を見直すこともあり得ると提案したが、日本は「2つの事案は別」と反応した。
問題は韓日間の争いが激しくなる中で、安保懸案であるGSOMIAに触れることで韓国側が決定的に不利になったということにある。第三者である米国が日本の肩を持つ可能性が大きくなったためだ。米国は韓日とそれぞれ軍事同盟を結んでいる。韓日が過去史や経済分野で葛藤が発生すれば米国が中立を守ることができるが、軍事安保の領域では中立を守ることが難しい。その線を韓国が先に越えたわけだ。
2010年ごろから中国は蓄積された経済力を基に積極的な外交を始めた。この時、米国は世界戦略の重点を大西洋から太平洋に移す「リバランス」戦略を推進するが、その中心に「韓日米同盟」の強化があった。当時、米国は北核に対しても交渉より圧迫に基調を転換した。いわゆる「戦略的忍耐」の核心も韓日米安保協力体制の強化だった。そのため、これを邪魔する韓日の過去史葛藤の解消がワシントンの主な関心事だった。
曲折の末に韓日は2016年、GSOMIAを締結した。米国にとってGSOMIAは韓日米三角安保連携体制の弱い輪である韓日間をかろうじてつなげておいた政治的象徴性が大きかった。2017年北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射でGSOMIAの軍事的有用性も高まり、米中競争構図が固定化してGSOMIAの意味はさらに明確になった。
韓国政府は「本来弱かった韓日安保の輪をつなげてから切っただけなのに何の意味があるか」と主張するだろうが、米国はそのように考えていない。仲が良くなくて別居していたなら分からないが、一緒に暮らして離婚すれば衝撃が大きいものだ。そのような重要な決定をするためには米国が納得できるように説明を上手くするべきだったが、米国防総省次官補は「その決定について事前警告を受けていない」と公開言及した。一言でいうと、対米外交の失敗事例だ。
これからどうすれば良いだろうか。韓米関係を害する意向がなかったなら韓国政府が状況を収拾するべきだ。11月22日、GSOMIAの終了確定時点までは時間がある。GSOMIAが終了したからといって突然米国が韓米同盟を軽視したり、韓半島(朝鮮半島)の外側に「新アチソンライン」を引いたりするなど過激な反応は見せないだろう。韓国は依然として米国の中国牽制戦略で特別な地政学的な意味を持っているからだ。
しかし、11月22日以降も米国が黙っているだろうと考えてはならない。米国は言葉を行動に移す手段を多く持っている。「失望」に相応する動きもあるだろう。言動が軽いという指摘を受けてきたドナルド・トランプ大統領の個人的な傾向と米国の戦略的な歩みを区別して判断する必要がある。トランプが金正恩(キム・ジョンウン)を愛するとしながらも金正恩が最も苦しむ北朝鮮への制裁を少しも緩和していない事実に注目しなければならない。米国がイエローカードを見せたにもかかわらずGSOMIAの終了が確定すれば、韓国には不利で日本には有利な局面が繰り広げられる可能性が高い。
GSOMIAの終了決定を一方的に元に戻すには国の体面が問題だ。それでも韓日関係の枠組みで解決するには答えが見えない。この問題は韓米関係という大きな枠組みで解決する必要がある。米国との深層協議を通じてGSOMIA終了を撤回し、韓米共同で日本にメッセージを送る方式で収拾することが求められるだろう。米国が方向を転じれば日本も対立局面を緩和する方向に動くだろう。
ファン・ジュングク/翰林(ハンリム)大学客員教授・元韓半島平和交渉本部長
問題は韓日間の争いが激しくなる中で、安保懸案であるGSOMIAに触れることで韓国側が決定的に不利になったということにある。第三者である米国が日本の肩を持つ可能性が大きくなったためだ。米国は韓日とそれぞれ軍事同盟を結んでいる。韓日が過去史や経済分野で葛藤が発生すれば米国が中立を守ることができるが、軍事安保の領域では中立を守ることが難しい。その線を韓国が先に越えたわけだ。
2010年ごろから中国は蓄積された経済力を基に積極的な外交を始めた。この時、米国は世界戦略の重点を大西洋から太平洋に移す「リバランス」戦略を推進するが、その中心に「韓日米同盟」の強化があった。当時、米国は北核に対しても交渉より圧迫に基調を転換した。いわゆる「戦略的忍耐」の核心も韓日米安保協力体制の強化だった。そのため、これを邪魔する韓日の過去史葛藤の解消がワシントンの主な関心事だった。
曲折の末に韓日は2016年、GSOMIAを締結した。米国にとってGSOMIAは韓日米三角安保連携体制の弱い輪である韓日間をかろうじてつなげておいた政治的象徴性が大きかった。2017年北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射でGSOMIAの軍事的有用性も高まり、米中競争構図が固定化してGSOMIAの意味はさらに明確になった。
韓国政府は「本来弱かった韓日安保の輪をつなげてから切っただけなのに何の意味があるか」と主張するだろうが、米国はそのように考えていない。仲が良くなくて別居していたなら分からないが、一緒に暮らして離婚すれば衝撃が大きいものだ。そのような重要な決定をするためには米国が納得できるように説明を上手くするべきだったが、米国防総省次官補は「その決定について事前警告を受けていない」と公開言及した。一言でいうと、対米外交の失敗事例だ。
これからどうすれば良いだろうか。韓米関係を害する意向がなかったなら韓国政府が状況を収拾するべきだ。11月22日、GSOMIAの終了確定時点までは時間がある。GSOMIAが終了したからといって突然米国が韓米同盟を軽視したり、韓半島(朝鮮半島)の外側に「新アチソンライン」を引いたりするなど過激な反応は見せないだろう。韓国は依然として米国の中国牽制戦略で特別な地政学的な意味を持っているからだ。
しかし、11月22日以降も米国が黙っているだろうと考えてはならない。米国は言葉を行動に移す手段を多く持っている。「失望」に相応する動きもあるだろう。言動が軽いという指摘を受けてきたドナルド・トランプ大統領の個人的な傾向と米国の戦略的な歩みを区別して判断する必要がある。トランプが金正恩(キム・ジョンウン)を愛するとしながらも金正恩が最も苦しむ北朝鮮への制裁を少しも緩和していない事実に注目しなければならない。米国がイエローカードを見せたにもかかわらずGSOMIAの終了が確定すれば、韓国には不利で日本には有利な局面が繰り広げられる可能性が高い。
GSOMIAの終了決定を一方的に元に戻すには国の体面が問題だ。それでも韓日関係の枠組みで解決するには答えが見えない。この問題は韓米関係という大きな枠組みで解決する必要がある。米国との深層協議を通じてGSOMIA終了を撤回し、韓米共同で日本にメッセージを送る方式で収拾することが求められるだろう。米国が方向を転じれば日本も対立局面を緩和する方向に動くだろう。
ファン・ジュングク/翰林(ハンリム)大学客員教授・元韓半島平和交渉本部長
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