日本の代表的な韓国研究者である東京大学大学院総合文化研究科の木宮正史教授は9日のインタビューで「今年の年末の日本企業の資産現金化の時期が重要な起点になるだろう」と予想した。
続けて「実際に現金化が行われれば、安倍政府はより強力な制裁を打ち出すだろう」と予測した。その前に強制徴用問題の解決策を双方が見出さなければならないということだ。
――韓日関係が非常に危うい状況にある。原因は何か。
「冷戦時代の韓日は国力の差もあり、経済的格差があった。日本は安全保障のために韓国と協力して経済発展を助けたが、韓国に対して大きな関心はなかった。つまり、非対称的であり、相互補完的な関係だった。しかし、今は冷戦が終わり国力がほぼ同じになった。韓日関係が対称的であり、相互競争関係になった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が『二度と日本に負けない』と言ったが、日本も今や韓国をただ放っておく相手ではない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾やチョ・グク司法長官任命問題など、日本が今のように熱い関心を持ったことがない。両国関係がこのように変わったにも関わらず、政治指導者たちはこれを適切に管理することなく問題を悪化させた」
――強制徴用問題をどのように解決すべきか。
「韓国政府が大法院(最高裁)の判決と韓日請求権協定が両立できる様々な案を講じるという立場をもっと真剣に明らかにすべきだ。大法院判決で最も重要なのは被害者の個人の請求権を認めたことだ。判決に十分に従うためには請求権が十分に実現される方法を見出すことが優先されるべきだ。個人的には『2+1』、つまり韓国政府と韓国企業、そして日本企業が一緒に対応することが望ましいと考えている」
――一部では「1+1+α」、すなわち韓日企業が財源を用意し、韓国政府が後で日本企業に補填する案も挙げられているが。
「どのような論理を打ち出すのかによって異なるが、重要なのは今後続けて提起される訴訟に備えて韓国政府が恒久的枠組みを作ることができるかだ。それによって日本政府や企業も共に参加する可能性もあるだろう」
――韓国政府は輸出規制措置を撤回すればGSOMIA終了決定も撤回できるという立場だ。
「GSOMIAは日本との交渉材料になり得ないと考えている。GSOMIA終了は日本だけが一方的に被害を被るのではなく韓日が同時に被害を被ることだ。それよりは今年の年末の日本企業の資産現金化の時期が重要な起点となるだろう。実際に資産の現金化が行われれば、今の安倍政権であれば、韓国の半導体産業に実質的なダメージを与える強力な制裁を加えるものと見る。制裁で韓国を脅かすのは不埒だと思うだろうが、善悪の問題ではなく現実の問題として考えなければならない」
――米国政府が積極的に介入すると思うか。
「トランプ大統領は(韓日が仲良くするより)競争させるのが良いと考えている。今までのアメリカなら介入しただろうがトランプ大統領はそうする考えがないように見える。ただ、米国がすなわちトランプ大統領ではない。韓国政府は勘違いしてはいけない。米国があれこれ言い始めれば、韓国政府も国内的に困難になりかねない」
――今後、韓日関係はどのように確立していくべきだろうか。
「対称的で相互競争的関係として相手に対する配慮が必要だ。『率直に言いたいことは言うのが本当の友達』という人もいるが、現実ではそうではない。両国が置かれた状況と解決すべき課題が複数の意味で非常に似通ってきている。米中が対立する状況で、それぞれどのような位置に立つのか、互いに競争しながらもどのように協力して解決していくか考えなければならない。例えば、北朝鮮が今後軟着陸できる方法を見出すためには必ず韓日が協力しなければならない。また、米中が極端に対立しないように韓日が影響力を及ぼす可能性は十分にあると見ている」
◆木宮正史
東京大学法学部を卒業し、高麗(コリョ)大学大学院政治外交学科で博士号取得。高麗大学在学時代の1986年~89年、韓国の民主化過程を見守った。韓半島(朝鮮半島)地域研究と韓国政治を講義しており、東京大学現代韓国研究センター長を務めた。
続けて「実際に現金化が行われれば、安倍政府はより強力な制裁を打ち出すだろう」と予測した。その前に強制徴用問題の解決策を双方が見出さなければならないということだ。
――韓日関係が非常に危うい状況にある。原因は何か。
「冷戦時代の韓日は国力の差もあり、経済的格差があった。日本は安全保障のために韓国と協力して経済発展を助けたが、韓国に対して大きな関心はなかった。つまり、非対称的であり、相互補完的な関係だった。しかし、今は冷戦が終わり国力がほぼ同じになった。韓日関係が対称的であり、相互競争関係になった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が『二度と日本に負けない』と言ったが、日本も今や韓国をただ放っておく相手ではない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾やチョ・グク司法長官任命問題など、日本が今のように熱い関心を持ったことがない。両国関係がこのように変わったにも関わらず、政治指導者たちはこれを適切に管理することなく問題を悪化させた」
――強制徴用問題をどのように解決すべきか。
「韓国政府が大法院(最高裁)の判決と韓日請求権協定が両立できる様々な案を講じるという立場をもっと真剣に明らかにすべきだ。大法院判決で最も重要なのは被害者の個人の請求権を認めたことだ。判決に十分に従うためには請求権が十分に実現される方法を見出すことが優先されるべきだ。個人的には『2+1』、つまり韓国政府と韓国企業、そして日本企業が一緒に対応することが望ましいと考えている」
――一部では「1+1+α」、すなわち韓日企業が財源を用意し、韓国政府が後で日本企業に補填する案も挙げられているが。
「どのような論理を打ち出すのかによって異なるが、重要なのは今後続けて提起される訴訟に備えて韓国政府が恒久的枠組みを作ることができるかだ。それによって日本政府や企業も共に参加する可能性もあるだろう」
――韓国政府は輸出規制措置を撤回すればGSOMIA終了決定も撤回できるという立場だ。
「GSOMIAは日本との交渉材料になり得ないと考えている。GSOMIA終了は日本だけが一方的に被害を被るのではなく韓日が同時に被害を被ることだ。それよりは今年の年末の日本企業の資産現金化の時期が重要な起点となるだろう。実際に資産の現金化が行われれば、今の安倍政権であれば、韓国の半導体産業に実質的なダメージを与える強力な制裁を加えるものと見る。制裁で韓国を脅かすのは不埒だと思うだろうが、善悪の問題ではなく現実の問題として考えなければならない」
――米国政府が積極的に介入すると思うか。
「トランプ大統領は(韓日が仲良くするより)競争させるのが良いと考えている。今までのアメリカなら介入しただろうがトランプ大統領はそうする考えがないように見える。ただ、米国がすなわちトランプ大統領ではない。韓国政府は勘違いしてはいけない。米国があれこれ言い始めれば、韓国政府も国内的に困難になりかねない」
――今後、韓日関係はどのように確立していくべきだろうか。
「対称的で相互競争的関係として相手に対する配慮が必要だ。『率直に言いたいことは言うのが本当の友達』という人もいるが、現実ではそうではない。両国が置かれた状況と解決すべき課題が複数の意味で非常に似通ってきている。米中が対立する状況で、それぞれどのような位置に立つのか、互いに競争しながらもどのように協力して解決していくか考えなければならない。例えば、北朝鮮が今後軟着陸できる方法を見出すためには必ず韓日が協力しなければならない。また、米中が極端に対立しないように韓日が影響力を及ぼす可能性は十分にあると見ている」
◆木宮正史
東京大学法学部を卒業し、高麗(コリョ)大学大学院政治外交学科で博士号取得。高麗大学在学時代の1986年~89年、韓国の民主化過程を見守った。韓半島(朝鮮半島)地域研究と韓国政治を講義しており、東京大学現代韓国研究センター長を務めた。
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