「これまで政府系研究所の技術開発は報告書の段階にとどまっていました。現実に適用する機会を持つことができなかったのです。世界最高水準の研究開発費用を投資しても成長エンジンひとつ作り出せない理由がここにあります」。
国家研究所大学院である科学技術連合大学院大学校(UST)の盧煥珍(ノ・ファンジン)教授は韓国の科学技術界で知られる「ミスター苦言」だ。官僚や政界の顔色をうかがい自分の声を出せない現実で盧教授の声は際立っている。彼は先月24日に国会で開かれたセミナーでも「政治と官僚が韓国の科学技術をだめにした原因」と激しく吐露して話題になったりもした。盧教授自身が科学技術官僚出身のためその声には重みがある。中央日報が9日にソウル市内で盧教授と会った。
Q:政府が部品・素材育成など技術独立に声を高めている。これまでしっかりやれなかったことをいまはできるだろうか。
A:「あまり否定的に見る必要はない。いまのような姿勢でするならしっかりとした成功事例が出せるだろう。経験から感じられる。単純に『技術確保』だけを目標にした研究課題は成功しても確認しにくい。商用化まで続かないためだ。だが現在のように『輸入品に代える』という明確な目的を持って推進する研究課題は成功の可能性が大きい。逆説的だが成否が明らかならば失敗しないよう努めるほかない。今回の危機が韓国の慢性的な研究開発の問題点を解決する糸口を与える機会にならなければならない。後になって日本が立場を変えてももう始めた部品素材の研究開発は継続して進めなければならない。韓国の国家研究開発事業はとても流行に乗るようで残念だ」。
彼は先月24日に開かれた国会セミナーで「科学技術政策が政権によって大きく変動してきた。官庁の室長・局長は新たに任用された長官・次官の意志を見抜いた後、彼らの意に反する言動をしないようにする傾向を見せ、研究現場では長官・次官の意志がそうなので理解してほしいと事実上強要する」と吐露した。彼はまた「研究者もすでに予想していたことだと覚悟している。彼らにはまともな研究開発よりは生き残りが優先」と話した。
◇科学技術政策、政権によって大きく変動
Q:これまでなぜ半導体部品素材研究をしっかりとやらなかったのだろうか。
A:「韓国の市場規模が小さく開発しないということもある。そのような場合いっそ日本から買って使うのが経済的だと判断した。韓国が技術開発に成功すると日本が価格を下げて韓国の商用化の意欲を折ったりもした。だがいまは本当に国産化が必要な時期だ。問題は要求される品質をどれだけ早く得るかということだ。部品・素材ごとに異なるだろう。さらに大きな問題は日本の輸出規制がいまが終わりではないという点だ。日本は欧州を超える技術強大国だ。感情よりは理性的対立で韓国の対応姿勢を管理する必要がある」。
Q:政府研究開発成功率98%というとても高い評価を受け続けながら現在のような危機を迎えた。
A:「多くの政府研究開発目標が技術の現実適用ではなく可能性確保、すなわち技術確保にとどまっているところが大きい。このためこれまで数多くの技術が研究所の引き出しの中で眠っている。技術が商品として出てくるまでの開発研究はほとんどしなかった。今回のような素材・部品・装備に対する開発研究には技術を必要とする企業が初めから介入しなければならない。それでこそ技術と商品の間の『死の谷間』を渡ることができる。技術蓄積を文書形態より研究者に依存して人的管理をしないのも問題だ。政府が人的資源開発にもっと努力しなければならないという意味だ。今回の問題のように品質が定められた開発研究は研究者よりはエンジニアの役割が大きいが、現在の政府系研究所の人材構造はエンジニアがとても不足している。大学にはエンジニアがほとんどいない」。
Q:研究開発課題成功率98%は批判を受け続けているのになぜ直されないのか。
A:「それは官僚と研究者の適当主義の産物だ。課題を管理すべき官僚の立場ではプロジェクトが失敗してはならない。研究者は成否が明らかな研究を避ける。だから技術確保という曖昧な表現を使って黙認するのだ。研究者を育てる『研究支援』と研究者を活用する『契約研究』を区分し、契約研究課題だけ委員会評価ではなく需要者評価をするなら合理的な成功率が出るだろう。これは研究出資金制度の改革を意味することで容易ではないだろう」
◇「研究のための研究」構造が問題
Q:商用化につなげられる開発研究になっていないという現実がもどかしい。
A:「最も大きな問題は『研究のための研究』で終わる構造だ。研究課題が知識の拡大や問題の解決ではなく、政府がさせる研究(技術予測の結果に基づいた国家技術ロードマップにより与えられた研究)に追いやっている。世界最高水準の国家研究開発がしっかりとした成長動力ひとつ作り出せずにこの様相に至った理由だ。大学や研究所の研究者はやりたい研究よりは政府予算が出る側で研究せざるを得ないためだ。現実的な理由もある。研究費より開発費が多く必要とされるためだ。10件の技術確保ができる研究費ならば開発課題では3~4件しかできない。結局政府が推進する国家研究開発事業は技術確保までして開発研究は後で企業が現れればしようという方針が政策化されたものだ。そうするうちに多くの研究が論文と報告書で終わった」。
国家研究所大学院である科学技術連合大学院大学校(UST)の盧煥珍(ノ・ファンジン)教授は韓国の科学技術界で知られる「ミスター苦言」だ。官僚や政界の顔色をうかがい自分の声を出せない現実で盧教授の声は際立っている。彼は先月24日に国会で開かれたセミナーでも「政治と官僚が韓国の科学技術をだめにした原因」と激しく吐露して話題になったりもした。盧教授自身が科学技術官僚出身のためその声には重みがある。中央日報が9日にソウル市内で盧教授と会った。
Q:政府が部品・素材育成など技術独立に声を高めている。これまでしっかりやれなかったことをいまはできるだろうか。
A:「あまり否定的に見る必要はない。いまのような姿勢でするならしっかりとした成功事例が出せるだろう。経験から感じられる。単純に『技術確保』だけを目標にした研究課題は成功しても確認しにくい。商用化まで続かないためだ。だが現在のように『輸入品に代える』という明確な目的を持って推進する研究課題は成功の可能性が大きい。逆説的だが成否が明らかならば失敗しないよう努めるほかない。今回の危機が韓国の慢性的な研究開発の問題点を解決する糸口を与える機会にならなければならない。後になって日本が立場を変えてももう始めた部品素材の研究開発は継続して進めなければならない。韓国の国家研究開発事業はとても流行に乗るようで残念だ」。
彼は先月24日に開かれた国会セミナーで「科学技術政策が政権によって大きく変動してきた。官庁の室長・局長は新たに任用された長官・次官の意志を見抜いた後、彼らの意に反する言動をしないようにする傾向を見せ、研究現場では長官・次官の意志がそうなので理解してほしいと事実上強要する」と吐露した。彼はまた「研究者もすでに予想していたことだと覚悟している。彼らにはまともな研究開発よりは生き残りが優先」と話した。
◇科学技術政策、政権によって大きく変動
Q:これまでなぜ半導体部品素材研究をしっかりとやらなかったのだろうか。
A:「韓国の市場規模が小さく開発しないということもある。そのような場合いっそ日本から買って使うのが経済的だと判断した。韓国が技術開発に成功すると日本が価格を下げて韓国の商用化の意欲を折ったりもした。だがいまは本当に国産化が必要な時期だ。問題は要求される品質をどれだけ早く得るかということだ。部品・素材ごとに異なるだろう。さらに大きな問題は日本の輸出規制がいまが終わりではないという点だ。日本は欧州を超える技術強大国だ。感情よりは理性的対立で韓国の対応姿勢を管理する必要がある」。
Q:政府研究開発成功率98%というとても高い評価を受け続けながら現在のような危機を迎えた。
A:「多くの政府研究開発目標が技術の現実適用ではなく可能性確保、すなわち技術確保にとどまっているところが大きい。このためこれまで数多くの技術が研究所の引き出しの中で眠っている。技術が商品として出てくるまでの開発研究はほとんどしなかった。今回のような素材・部品・装備に対する開発研究には技術を必要とする企業が初めから介入しなければならない。それでこそ技術と商品の間の『死の谷間』を渡ることができる。技術蓄積を文書形態より研究者に依存して人的管理をしないのも問題だ。政府が人的資源開発にもっと努力しなければならないという意味だ。今回の問題のように品質が定められた開発研究は研究者よりはエンジニアの役割が大きいが、現在の政府系研究所の人材構造はエンジニアがとても不足している。大学にはエンジニアがほとんどいない」。
Q:研究開発課題成功率98%は批判を受け続けているのになぜ直されないのか。
A:「それは官僚と研究者の適当主義の産物だ。課題を管理すべき官僚の立場ではプロジェクトが失敗してはならない。研究者は成否が明らかな研究を避ける。だから技術確保という曖昧な表現を使って黙認するのだ。研究者を育てる『研究支援』と研究者を活用する『契約研究』を区分し、契約研究課題だけ委員会評価ではなく需要者評価をするなら合理的な成功率が出るだろう。これは研究出資金制度の改革を意味することで容易ではないだろう」
◇「研究のための研究」構造が問題
Q:商用化につなげられる開発研究になっていないという現実がもどかしい。
A:「最も大きな問題は『研究のための研究』で終わる構造だ。研究課題が知識の拡大や問題の解決ではなく、政府がさせる研究(技術予測の結果に基づいた国家技術ロードマップにより与えられた研究)に追いやっている。世界最高水準の国家研究開発がしっかりとした成長動力ひとつ作り出せずにこの様相に至った理由だ。大学や研究所の研究者はやりたい研究よりは政府予算が出る側で研究せざるを得ないためだ。現実的な理由もある。研究費より開発費が多く必要とされるためだ。10件の技術確保ができる研究費ならば開発課題では3~4件しかできない。結局政府が推進する国家研究開発事業は技術確保までして開発研究は後で企業が現れればしようという方針が政策化されたものだ。そうするうちに多くの研究が論文と報告書で終わった」。
この記事を読んで…