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【コラム】政府はウィンウィンを、あとは民間に任せるべき(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「俺たちは金がないのであって、カオがないのではない」。

2015年に上映された映画『ベテラン』に出てくるファン・ジョンミンのセリフだ。同僚刑事に自尊心を抱かせようと話した言葉だ。「カオ」は日本語(顔)だが、今でも使われている。「名誉、体面、虚勢」程度を表す俗語だ。

「倭色俗語」だが、このような考えは我々の生活に深く入り込んでいる。「両班(ヤンバン)は凍え死んでも、もみ殻の火にはあたらない」ということわざと同じだ。いかなる状況でも体面を汚すことはしないという決意はわが民族の自尊心だ。ところが実用を遠ざけて国民の飢えさせ、国を奪われることも多かった。


韓日関係は特に自尊心争いが激しい。2015年に設置された「和解・癒やし財団」を解体した背景も「誠意ある謝罪」だ。被害者の同意を受けなかったとして解体したが、被害者が要求するものがまさに「誠意ある謝罪」だ。

被害者だけではない。金泳三(キム・ヨンサム)元大統領も1993年に似た話をした。就任直後、金泳三大統領は「日本政府に物質的補償を要求しない」とし「そうしてこそ我々が道徳的な優位を持ち、新しい韓日関係に接近することができる」と述べた。同年6月に「日帝下日本軍慰安婦に対する生活安定支援法」を制定した。

◆小渕首相の決断、安倍首相は銘記すべき

日本政府はなぜ「誠意ある謝罪」をしないのか。日本政府は何度も謝罪と悔恨の意を伝えたと主張する。韓国側は受けたことがないという。なぜこのような認識の違いが生じるのか。日本政府は問題が提起されるたびに表現を整えながら駆け引きをするように謝罪してきた。政治家らは何度か謝罪の言葉を覆す発言をしてきた。このため「誠意」を問いただしながら繰り返し謝罪を要求した。

韓国政府も大きな決断が足りなかった。賠償金を放棄した中国や過去を話すのはやめようというベトナムとは違う道を歩んだ。権威主義政権の時代から刺激的な言葉を交わして世論に火をつけ、国内政治に利用してきた。韓日国交正常化をした1965年の椎名悦三郎外相の発言を見ると、どういうことか分かりにくいほど複雑だ。「両国間の長い歴史の中に不幸な時期があったことはまことに遺憾な次第であり、深く反省するものであります」。

84年には日本で神格化されている裕仁天皇が全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領に謝罪した。日本としては大きな決断だ。ところが「不幸な過去」という抽象的な表現と「遺憾」という中立的な言葉に対して韓国内では不満が残った。

慰安婦問題は特にそうだ。93年の「河野談話」(河野洋平官房長官)で旧日本軍が慰安婦動員に介入した事実を初めて認めた。河野官房長官は「軍当局の蛮行」に関して「日本政府は心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」と述べた。

95年の「村山談話」は日本の閣議を通した公式謝罪ということに意味がある。「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」。

98年の金大中(キム・デジュン)-小渕宣言は転換点だった。確実な謝罪で過去を清算し、未来に向かって手を握って進もうと約束した。小渕首相は「過去の一時期、韓国国民に対し、植民地支配により多大な損害と苦痛を与えた歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し痛切な反省と心からのお詫び」を述べた。金大中大統領はこれを受け止めて、「両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請」と答えた。

しかし約束した通りには進まなかった。慰安婦問題がまた提起された。2001年に小泉純一郎首相は慰安婦問題を「アジア女性基金」で解決しようとした。これを受け入れた慰安婦被害者に駐韓日本大使を通じて謝罪の手紙を伝えた。「日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げます」。しかし政府の資金に民間募金40%を含めたのは責任を回避しているという反発にあった。

2015年に完全に日本政府の資金で「和解・癒やし財団」を設立した。安倍首相は朴槿恵(パク・クネ)前大統領に電話をかけ、「慰安婦被害者にお詫びと反省の気持ちを表明する」と述べた。しかし被害者の同意がなかったという理由で文在寅(ムン・ジェイン)政権が解体した。安倍首相の謝罪を被害者に手紙で伝える案も論議されたが、安倍首相は「合意した内容の外だ。毛頭考えていない」と一線を画した。また安倍首相は村山談話を継承する問題にもあいまいな立場を見せ、過去の政権の謝罪努力を無駄にする態度を見せた。



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