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<Mr.ミリタリー>米国と日本の安保利益ラインが北朝鮮に移動している(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
1888年12月、旧日本帝国陸軍卿を務めた山縣有朋はオーストリアのウィーンを訪れた。山縣は当時、ウィーン大学政治経済学教授だったローレンツ・フォン・シュタインに会った。シュタインは山縣より先に会った伊藤博文の心を引きつけた人物だ。山縣は地方制度の調査のために欧州に行ったが、戦略家のシュタインに会わなければならなかった。極東への進出を狙うロシアへの対応策が必要だからだ。当時、清は日清戦争(1894年)で衰退し、韓半島(朝鮮半島)の朝鮮は有名無実だった。ロシアが極東まで膨張して韓半島に拡張すれば日本は未来を保障できなかった。

山縣は「シベリア鉄道が建設されれば日本はどうなるのか」とシュタインに質問した。当時の日本は対馬海峡と大韓海峡でロシア海軍を防ぐことができればよいと考えた。ところがロシアが1891年ごろウラジオストクにつながるシベリア鉄道を敷設するという噂が広まると、状況は変わった。シュタインは「ロシアが韓半島に下りてきて元山(ウォンサン)永興湾(ヨンフンワン)に港を建設すれば、そこが極東艦隊基地になるだろう」と答えた。教授の言葉は続いた。「日本から近い永興湾がロシアの基地になれば、日本の進退がかかる問題だ」と指摘した。(加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』)

シュタインは山縣に主権ラインと利益ラインを説明した。主権ラインは主権が及ぶ国土で、利益ラインは国土の存亡に関連する外国ということだ。日本には朝鮮と中国が利益ラインとなる。山縣は帰国した後、総理大臣になった。時間が経過し、朝鮮を支配するためのロシアの構想が本格化した。ベゾブラーゾフ露極東総督は皇帝のニコライ2世を説得した。1903年10月、ベゾブラーゾフはニコライ2世に「韓半島を支配すれば遼東半島の旅順・大連港を守ることができる」とし、日本は大した相手ではないと伝えた。極東にロシア海軍も維持できるということだ。ロシアの考えは日本には致命的だ。


結局、翌年、日露戦争が始まった。しかし予想を覆してロシアが敗戦した。その結果、日本は韓半島の主導権と遼東半島および満州を手に入れた。1905年に乙巳保護条約が締結され、1910年に韓日合邦となった。朝鮮を中国から引き離すための戦争が日清戦争なら、日露戦争は朝鮮を支配するきっかけになった。韓半島をめぐる戦略的安全保障を確保するために両国が戦ったのだ。当時ロシアにはドイツとフランスが後援し、日本には英国と米国が支援した。加藤教授によると、資金がなかった日本は英国・米国から戦争費用の支援を受けるために満州を開放して経済的利益を共有できると述べたが、目的は安保利益ラインの韓半島占領だった。

日本の利益ライン概念は冷戦時代にも適用された。韓国は大陸の最前線で共産圏の脅威の盾となり、日本は米国と共に韓国を経済的に支援した。韓日米共同防御体制が構築された背景だ。しかし最近になって日本の利益ラインが変わっている。ロシアの代わりに中国が登場した。あたかもロシア極東地域にシベリア鉄道を敷設したように、中国が東・南シナ海の海上輸送路を脅かしている。日本の命綱である海上輸送路が中国に遮断される危機を迎えた。北朝鮮は核とミサイルで威嚇している。

このため日本は米国とインド太平洋戦略を立てて豪州・インドなどと共同で対応している。これはアジア太平洋地域で米国の通商・政治・軍事的接近を阻む地域覇権の出現を容認しないという米国の政策と一致する(ジェームズ・プリスタップ 『The Enduring Relevance of the U.S.-Japan Alliance』)。これを受け、2017年2月、トランプ大統領と安倍首相は首脳会談で両国の関係を「確固不動の同盟」「アジア太平洋地域の平和・繁栄・自由のためのコーナーストーン(礎)」と表現した。同年12月には両首脳は北朝鮮に対して最大限の圧力を加えることで合意した。中国と北朝鮮が日米の牽制対象だ。

ところが問題が生じた。文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足し、北朝鮮非核化交渉のための対北朝鮮融和政策が進められたのだ。また、韓国政府は非核化交渉で中国の寄与を意識し、インド太平洋戦略への参加を留保した。文大統領の北朝鮮非核化にトランプ大統領も加わった。しかし交渉が始まる前、北朝鮮は6回目の核実験(2017年9月)で水素爆弾の開発に成功した。北朝鮮は引き続き核弾頭の生産に没頭した。核弾頭の搭載が可能な北朝鮮ノドンミサイル約200基は韓国と日本がターゲットだ。

2年目を迎える北朝鮮非核化交渉は事実上、失敗に向かっている。北朝鮮は核弾頭30-60発を保有し、状況を変えることが可能なゲームチェンジャー3種ミサイルセットも完成させた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦用弾道ミサイル(SLBM)、そして最近になって数回発射した新種短距離弾道ミサイルだ。ここにはすべて核弾頭を搭載でき、防御する手段もない。中国が北朝鮮経済の裏口を開けた状況で、すでに核武装した北朝鮮が核を放棄する理由もない。トランプ政権も最終目標は北朝鮮の完全な非核化だが、実際には北核を認める「凍結」に下方修正した。



<Mr.ミリタリー>米国と日本の安保利益線が北朝鮮に移動している(2)


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