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【コラム】「まさか打令」と「希望的思考」という名の双子=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
日本政府の輸出規制措置を見つめながら、3年前の高高度ミサイル防衛(THAAD)配備に対する中国の報復措置のことが思い浮かんだ。朴槿恵(パク・クネ)政府はTHAAD報復の可能性を低くみていた。主な根拠は「ニンニク紛争(2000年)の時とは違い、中国は世界貿易機関(WTO)に加入して国際規範を遵守する国になった」という理由だった。駐中大使館当局者が資料をひっくり返しながら特派員に親切にブリーフィングしていた記憶が鮮明だ。「まさか中国のような大国が姑息に報復措置をするだろうか」という高位当局者もいた。その後、どのような結果が起きたのかはすべての国民が目撃したとおりだ。報復が恐ろしくて当然するべきことをしないでおけばよかったと主張するのではなく、政府の安易な状況判断を指摘するものだ。

安倍政府の報復措置は十分に予想されたことだ。日本が約100項目の報復リストを準備しているということは年頭からすべての日本メディアが報じていた既成事実だった。多くの専門家と言論が「単なる脅しではない」と言って日本の雰囲気を伝えた。だが、韓国政府は「まさか」を繰り返した。「報復措置を講じれば日本も被害を受けることが明らかなのに、自分の首を絞める手を打つだろうか」という論理だった。6月上旬、青瓦台(チョンワデ、大統領府)高位関係者は「今、韓日関係が最悪ということに同意しない」と話した。史上初の経済報復措置が現実化された今でも同じ考えなのか問い直したい。そのようにして8カ月を無為に過ごした結果、その「まさか」が企業を襲い、国の経済を襲うところまで達した。

「まさか」は「希望的思考(wishful thinking)」といつもペアの双子だ。見たいものだけを見て世の中が自分の望み通り動くと期待する希望的思考に陥れば、冷静に情勢を分析して判断するのは不可能に近い。現場から正確な報告が上がってきても無視するのが常だ。残念なのは「まさか」がまだ我々の周辺をうろついているという点だ。青瓦台・政府当局のバックグラウンド・ブリーフィングには今回の措置を選挙戦略と解釈する傾向が見え隠れする。日本参議院選挙(21日)で不利な安倍晋三首相が保守右翼の支持層を結集させるために超強硬カードを切ったというものだ。さらに「選挙が終われば強硬姿勢が和らぐ」ともいう。


東京現地で様子を見てみると、このような分析は相当部分、現実とかけ離れている。本格的な選挙戦が始まる時点で報復カードを切ったことは選挙を意識した側面が多分にある。だが、街頭遊説やテレビ演説で輸出規制措置を取り上げて票を訴える候補は目にしたことがない。選挙の争点ではないということだ。安倍が選挙に不利だからカードを切ったという点も事実とは異なる。自民党の目標は53席だが、現状況では60席近く占めて余裕の勝利になる展望だ。選挙後に雰囲気が変わるだろうという見込みこそ希望的思考だ。「選挙が終わったからといって引っ込めるようなカードではない。唯一の変数は韓国政府の姿勢と行動」というのが日本官僚やジャーナリスト、専門家の異口同音だ。

日本の官僚は「韓国政府が徴用工問題解決の主体にならなければならない」と話した。日本は韓国大法院の判決が1965年請求権協定と矛盾しているとみている。そのため協定の当事者の一人である韓国政府が責任を持って問題を解決しろと言っているのだ。この部分に対して、韓国政府が明確な立場を表明することが問題解決の第一歩になりえる。政府が直接問題を解決するという意志を明確に打ち出すのだ。そうしてこそようやく交渉の余地が生まれる。具体的な方法を探して大法院判決との整合性を整えるのはその次にするべきことだ。「三権分立のために政府が前に出ることができない」という態度は問題を解決する意思がないという意味だと日本は受け止める。8カ月ぶりに提示した「1+1案」がその場で拒否された理由だ。

「ホワイトリスト」から韓国を除外するかどうかは8月初めに決まる。時間が多くない。一日も早く「まさか打令」と「希望的思考」から抜け出さなければならない。まさかが国を襲った実例がある。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)直前に日本を視察した使節2人〔金誠一(キム・ソンイル)と黄允吉(ファン・ユンギル)〕のうち、金誠一のでたらめな報告を信じて方策を怠った結果、朝鮮は7年間、国難に苦しめられた。日本使節に会った呉億齡(オ・オクリョン)も外敵が侵入してくると報告したが、「戦争はない」という希望的思考に陥っていた朝廷は民心を混乱させると言って呉億齡を罷免した。8カ月前から、私たちには「日本の報復が口先だけの言葉でない」と直言した黄允吉と呉億齡が明らかにいたが、政府は「日本側ばかりに立つ」と言って「土着倭寇」扱いして耳を閉じた。その結果、今や「12隻の船」以外に頼るところのない危機を迎えている。

<東京にて>イェ・ヨンジュン/論説委員



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