日本の経済報復を呼んだ韓日関係悪化の種は7年前の日帝強制徴用被害者賠償に対する大法院(最高裁)判決から生まれた。当時大法院は「過去に韓日請求権協定を通じて日本が支払った3億ドルは植民支配に対する賠償金の性格ではない。日帝強制徴用被害者1人1人にそれぞれ慰謝料請求権が残っている」と判断した。日本は何を言うのかと飛び上がるほど驚いた。韓日請求権協定で植民地支配に対するすべての責任が解消されたということだ。請求権協定(第2条)で「両国とその国民(法人含む)の財産権利および請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されるということを確認する」という文言があり、大法院の判決はこれに合わないという主張だ。
◇「反人道的違法行為は請求権と無関係」
強制徴用被害者のイ・チュンシクさん(95)らは1997年12月に日本の戦犯企業を相手取り大阪の裁判所に損害賠償請求訴訟を起こした。強制労働などで酷使され賃金もまともにもらえなかったとして該当企業に慰謝料を要求した。彼らは2003年に日本で敗訴すると2005年に韓国国内の裁判所に同様の訴訟を起こした。1・2審ではすべて敗訴したが、2012年5月に大法院は初めて日本企業の賠償責任を認めた。この判決は6年後の昨年10月に確定し、裁判所は確定判決を根拠に最近日本企業に対し強制執行手続きに入った。
訴訟の核心争点になった韓日請求権協定は1965年6月22日に東京で締結された。協定第1条で日本は韓国に10年間に3億ドルを無償提供し、2億ドルの借款を供与することにした。2条で「両国とその国民(法人含む)の財産、権利および利益と請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決」されることで合意した。翌年韓国政府は請求権補償法などを制定し、1975~1977年に強制徴用死亡者9546人に対し28億6100万ウォン、1人当たり30万ウォンを支給した。
大法院は「請求権協定で被害者の慰謝料請求権は剥奪されていない」として原告敗訴の判決を下した日本の裁判所と韓国の裁判所の1・2審判決をひっくり返した。裁判所は「請求権協定交渉過程で日本が植民支配の不法性を認めなかったため関連損害賠償請求権に影響を及ぼすことはできない」とした。すなわち、「請求権協定は日本の植民支配に対する賠償を請求するための交渉ではなく、韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係を解決するためのもの」であり、したがって「日本の国家権力などが介入した反人道的違法行為は請求権協定で解決されていない」ということだ。
これに対し請求権協定条文2条に明示された「国民」という単語と当時の交渉資料、これまで韓国外交部が堅持してきた立場などを考慮すると、強制徴用被害補償はすでに行われたとみるべきとの見方もある。当時の議事録などによると、韓国政府が交渉過程で提示した「対日請求要綱」8項目の中には「被徴用韓国人の未収金、補償金とその他請求権の返済請求」内容が含まれている。
◇「国家間協定通じて賠償問題解決」
大法院判決をめぐる別の争点は、協定対象に強制徴用賠償が含まれているとしても、国家間協定で国民個々人の慰謝料請求権を一括消滅させられるかだ。大法院は「国が国民個人の同意なく個人請求権を直接的に消滅させられると考えるのは近代法の原理に相反する」と判断した。
国際法専門家らは、大法院が国際紛争解決過程で広く認められている「一括補償協定方式」と相反する判断を下したと指摘する。ある法科大学院教授は「植民支配など関連した被害者が多い紛争の場合、個人の請求権を個別訴訟を通じてひとつひとつ解決するには時間がとても長くかかる。第二次世界大戦後に台湾、インドネシア、ミャンマー、旧ソ連なども国家間協定を通じて一括的に賠償問題を解決した」と説明した。韓国の裁判所が国際条約解釈など外交問題に過度に深く介入したのではないかとの指摘もある。ある国際法専門家は「国家間の利害関係が複雑に絡まっている外交問題に司法府が政権の意見と相反する判断を下すことには慎重でなければならない」と強調した。
大法院の判断を支持する声もある。司法府は「法と外交」ではなく「法と良心」に基づいて判決すべきという主張、国が国内法と同じ効力を持つ条約を締結して個人の請求権を消滅させたことは憲法に反するという主張などだ。
◇「反人道的違法行為は請求権と無関係」
強制徴用被害者のイ・チュンシクさん(95)らは1997年12月に日本の戦犯企業を相手取り大阪の裁判所に損害賠償請求訴訟を起こした。強制労働などで酷使され賃金もまともにもらえなかったとして該当企業に慰謝料を要求した。彼らは2003年に日本で敗訴すると2005年に韓国国内の裁判所に同様の訴訟を起こした。1・2審ではすべて敗訴したが、2012年5月に大法院は初めて日本企業の賠償責任を認めた。この判決は6年後の昨年10月に確定し、裁判所は確定判決を根拠に最近日本企業に対し強制執行手続きに入った。
訴訟の核心争点になった韓日請求権協定は1965年6月22日に東京で締結された。協定第1条で日本は韓国に10年間に3億ドルを無償提供し、2億ドルの借款を供与することにした。2条で「両国とその国民(法人含む)の財産、権利および利益と請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決」されることで合意した。翌年韓国政府は請求権補償法などを制定し、1975~1977年に強制徴用死亡者9546人に対し28億6100万ウォン、1人当たり30万ウォンを支給した。
大法院は「請求権協定で被害者の慰謝料請求権は剥奪されていない」として原告敗訴の判決を下した日本の裁判所と韓国の裁判所の1・2審判決をひっくり返した。裁判所は「請求権協定交渉過程で日本が植民支配の不法性を認めなかったため関連損害賠償請求権に影響を及ぼすことはできない」とした。すなわち、「請求権協定は日本の植民支配に対する賠償を請求するための交渉ではなく、韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係を解決するためのもの」であり、したがって「日本の国家権力などが介入した反人道的違法行為は請求権協定で解決されていない」ということだ。
これに対し請求権協定条文2条に明示された「国民」という単語と当時の交渉資料、これまで韓国外交部が堅持してきた立場などを考慮すると、強制徴用被害補償はすでに行われたとみるべきとの見方もある。当時の議事録などによると、韓国政府が交渉過程で提示した「対日請求要綱」8項目の中には「被徴用韓国人の未収金、補償金とその他請求権の返済請求」内容が含まれている。
◇「国家間協定通じて賠償問題解決」
大法院判決をめぐる別の争点は、協定対象に強制徴用賠償が含まれているとしても、国家間協定で国民個々人の慰謝料請求権を一括消滅させられるかだ。大法院は「国が国民個人の同意なく個人請求権を直接的に消滅させられると考えるのは近代法の原理に相反する」と判断した。
国際法専門家らは、大法院が国際紛争解決過程で広く認められている「一括補償協定方式」と相反する判断を下したと指摘する。ある法科大学院教授は「植民支配など関連した被害者が多い紛争の場合、個人の請求権を個別訴訟を通じてひとつひとつ解決するには時間がとても長くかかる。第二次世界大戦後に台湾、インドネシア、ミャンマー、旧ソ連なども国家間協定を通じて一括的に賠償問題を解決した」と説明した。韓国の裁判所が国際条約解釈など外交問題に過度に深く介入したのではないかとの指摘もある。ある国際法専門家は「国家間の利害関係が複雑に絡まっている外交問題に司法府が政権の意見と相反する判断を下すことには慎重でなければならない」と強調した。
大法院の判断を支持する声もある。司法府は「法と外交」ではなく「法と良心」に基づいて判決すべきという主張、国が国内法と同じ効力を持つ条約を締結して個人の請求権を消滅させたことは憲法に反するという主張などだ。
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