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【コラム】時間は決して金正恩委員長の味方ではない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
北朝鮮の状況はますます悪化している。5月20日付の労働新聞1面には異例の編集局特別記事が掲載された。敵対勢力の「三重の圧力」を受ける朝鮮労働党の独自の歩みを称賛しつつ対北朝鮮制裁が「最悪の経済難」を起こそうとする計略だと主張する内容だった。北朝鮮の食糧難は以前のような大飢饉をもたらすようには思えない。国連は現在、北朝鮮の食糧備蓄量が最悪の飢饉を経験した1996年の約2倍あると推測する。北朝鮮の下層民は飢えに苦しむだろうが、住民が餓死する危機ではない可能性が高い。問題は、北朝鮮政権が住民に繁栄を約束し期待を高めたという点だ。しかし、状況は正反対に流れていく。食糧配給量は2年前より減った。

北朝鮮は難関を打開するために制裁緩和、支援要請などの解決策を講じたが、状況は好転しなかった。予想通り、露朝首脳会談は実質的な利益を生み出さなかった。5月4日と9日に実施されたミサイル実験は、日本や韓国にとって脅威にならず、米国との対話を引き出すこともできなかった。

北朝鮮はトランプ大統領を会談会場に招き入れようとしたが実務会談の推進はしない。その代わりに金正恩(キム・ジョンウン)委員長の親書、ハノイ会談の失敗を挽回するのはまだ手遅れではないというメディアの論評、北朝鮮が次の米朝首脳会談の障害と見なすホワイトハウス関係者の公開的非難、シンガポール首脳会談1周年を記念するテレビ放送などが登場した。しかし、このすべての試みは水の泡となった。ハノイ首脳会談から16週間経っても北朝鮮と米国はいずれも妥協せずにいる。


6月14日にトランプ大統領は「私は(北朝鮮との会談を)急いでいない、北朝鮮が核実験をしないからだ」と述べた。対北朝鮮政策の成功基準が北朝鮮の核実験の有無だと、事実上宣言したわけだ。したがって、トランプ大統領は2020年の米国大統領選挙まで北朝鮮が核実験を行わず、北朝鮮との公式的な疎通が維持される限り、自分の対朝政策は成功したと主張できる。北朝鮮が核実験や長距離ミサイル実験を再開した場合、対北朝鮮制裁は強化され、中国との関係は遠くなり、米国との意味のある対話の可能性は完全に消える。トランプ大統領に北朝鮮との首脳会談を推進する意欲を持たせるためには、金正恩委員長は「興味深い」以上のものを提示しなければならない。

南北首脳会談も近々実現される確率は希薄だ。北朝鮮は様々な方法で対北朝鮮制裁に対する韓国の立場を変えさせようと努めた。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近スウェーデンで北朝鮮に向けて「完全な核廃棄の意志を示していてほしい」と求めた。

経済問題を解決しようとする北朝鮮の努力は繰り返し失敗している半面、米国は6月11日に北朝鮮が国連安保理の制裁で許可されている石油の輸入制限を超えたと国連安保理に抗議書簡を提出した。この書簡が受け入れられれば、「国連1718委員会」は北朝鮮に対する石油輸出を停止する可能性が高い。更に米国は北朝鮮の違法取引活動申告に現金500万ドル(約5億4000万円)の報奨金を掲げた。米国が提示する賞金は通常の対北朝鮮貿易の利益よりも大きな金額だ。

習近平主席の平壌(ピョンヤン)訪問がこの問題を解決する可能性はさほど高くない。習主席の訪朝は中国と米国の対立緩和のためのものである。習主席は米中貿易交渉でトランプ大統領に提示する価値のあるカードを必要としている。習主席は米国と北朝鮮の関係を仲介するような態度を取るだろうが、金正恩委員長とトランプ大統領は既に直接交流する状況なので調停は必要ない。北朝鮮の立地は徐々に減り、北朝鮮政権は当面の問題に適した解決策を見出せずにいる。今まで使っていた方法を繰り返し試み、失敗を繰り返すばかりだ。

ジョン・エバラード/元駐平壌英国大使



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