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<格闘技>チェ・ホンマン「韓国では試合しない」…敗戦の裏には心の病

ⓒ ISPLUS/中央日報日本語版

チェ・ホンマンは数年前から対人恐怖症で治療を受けてきた。この日の試合ではリングに立った後、久しぶりに浴びるファンの視線に強い不安感を感じたと明らかにした。(写真=AFC提供)

「このまま一人で抱え込んでいても解決するとは思えず、必ず話したいことがあり、悩んだ末に連絡しました」。

10日午後11時、受話器から聞こえてくる総合格闘技選手チェ・ホンマン(39)の声には震えとため息が混ざっていた。1年7カ月ぶりの国内復帰戦が終わってから1時間以上経過していたが、まだ敗北の悔しさがそのまま残っているようだった。チェ・ホンマンを知り合ってから数年間、彼から先に電話がかかってきのは初めてだった。チェ・ホンマンは「もう韓国で(試合は)やめなければいけないようだ」とし「いくら努力しても克服できないことがある」と衝撃的な言葉で試合を振り返った。

チェ・ホンマンはこの日、ソウル禾谷洞(ファゴクトン)KBSアリーナホールで開催された「エンジェルス・ファイティング・チャンピオンシップ(AFC)12」の無制限級立ち技スペシャルマッチでダビド・ミハイロフ(24、ハンガリー)と対戦し、第1ラウンド49秒でKO負けを喫した。身長220センチ(150キロ)のチェ・ホンマンは自分より体格が小さいミハイロフ(195センチ、110キロ)と向き合うと、身体的なメリットを生かすために距離を保とうとした。しかし開始からミハイロフの連打を浴びてリング上に倒れた。10カウントまでチェ・ホンマンは立ち上がることができなかった。前日の計量で見せた自信とは正反対の結果だった。


チェ・ホンマンは2017年11月の「AFC05」無制限級立ち技格闘技試合で内田ノボル(日本)に判定勝ちした後、勝利がない。チェ・ホンマンは「みんなが私を見てののしるかもしれない。少なくとも今まではこうした状況を受け入れて生きてきたが、『自分は死ぬほどの罪を犯したのだろうか』という考えになった」とし「今回は見えているものがすべてではないということを知らせたい。試合に負けて恥ずかしかったり腹が立って言い訳をするのでは決してない」と語った。

--試合の結果について言いたいことがあるのか。

「今回の対戦には自信があった。徹底的に準備し、コンディションも非常に良かった。久しぶりに韓国ファンの前でいい試合を見せることができると感じていた」

--結果は1分も持たず虚しい敗戦だった。

「リングに上がると突然、目の前が真っ暗になり、前がよく見えなかった。恐怖に襲われ、瞬間的に集中力を失って委縮した。相手のパンチの回数や強度は問題ではなかった」

--体調に問題があったのか。

「正確に言えばメンタルだ。社会恐怖症だ。長い間、多くの人から踏みにじられ、自分も知らないうちに緊張感とストレスがたまって病気になった。数年前から精神科で治療を受けている。不眠症もある。早い時間に寝ようとしても朝方まで眠れない。今回の試合を準備している時も同じだった。これまで海外で試合をする時は外国の観客がほとんどで、自分を知らない人たちだと思うと気持ちが相対的に楽だった。ところが今日リングに立ってファンの顔が見え始めると、突然前が見えなくなった。今までの症状のうち最も激しい状態を経験した」

--一部のネットユーザーの書き込みのためだ。

「書き込みはあまり見ない。偶然に目に入っても書き込み自体だけでは大きなストレスを受けない。ただ、いつからか自分に向けられる人々の視線がつらい。刺激的な記事を生産するメディアも同じだ。この人たちは自分が天下壮士(韓国相撲のチャンピオン)になり、格闘技選手に転向した華麗な時期ばかりを記憶している。もちろんそれは分かるが、一方では残念で悔しいところもある。2010年以降は下り坂を歩んでいるが、努力している自分の姿も受け入れてほしい。ファンやメディアが一度でも良い姿を見せてくれればという思いがある。あまりにも一方的だ。自分に死ぬほどの過ちがあったとは思わない。また、親にはいかなる罪もない。家族や周囲の人たちに被害を与えるというストレスは本当に大きい。見えるものがすべてではないのに…」

--日本で練習をしたのも同じ理由か。

「私が日本や海外で過ごす理由はまさに『生きるため』だ。少なくとも外国では韓国にいる時より冷たい視線や評価を受けない。韓国にいれば症状が悪化すると判断した。生きていてこそ良い日も見ることができる。こうした理由から国内では試合をするのが難しいという結論を出した。いつになるかは分からないが、状態が好転するまでは海外で選手生活を続けていく」

--いま最初に思い出す人は。

「親だ。この間、母が亡くなった。天国にいる母に息子が勝つ姿を必ず見せたかった。体調が良くない父は誰よりも息子の勝利を望んでいた。試合を観戦するために済州(チェジュ)からソウルに来ようとするのを引き止めたが…。なんとか勝つ姿を見せたかった」

--一部の専門家は精神力より練習不足を敗因と指摘するが。

「今年に入ってどこかに遊びに行った記憶はない。2月から試合のために国内外を行き来し、本格的に練習にまい進した。芸能番組出演の話が多かったが、放送には一度も出演しなかった。ずっと自制してきた」

--今回の対戦のための練習期間とトレーニングの量は。

「生き残りたかった。練習パートナー、コーチングスタッフと共に過ごしながら準備した。寝て食べる時間を除いてすべて練習に使った。一日が練習で始まって練習で終わった。本当に努力したということしか言えない。階級が似た相手を探して十分にスパーリングを積み、実戦感覚も維持した」

--一部では全盛期が過ぎたという指摘もある。

「私は元シルム(韓国相撲)選手であり、格闘技の経歴まで合わせれば生涯を選手として生きてきた。自分の体は自分が最もよく分かる。体力と身体能力はまだ問題ない。ただ、自信を取り戻してリング上で堂々と戦えるようにマインドコントロールをすることが必要だ。短期間で治るものではない。自分との戦いだ」

--練習期間中に中国や日本の大会に参加した点が指摘されている。

「普段から付き合いがある中小格闘技団体の要請だった。格闘技のブームアップのために出てほしいということだった。出場を何度か断ったが、格闘技界の力になりたいという気持ちで応じた」

--良い趣旨で出場したというが、階級がかなり低い選手に敗れた点はどう説明するのか。

「実際に私が出場を決めると、大会側も欲が出たようだ。体格の差がかなりある相手と対戦した。大きな選手と小さな選手の対戦カードで興行を追求するという意図だった。あとで思ったが、戦うこと自体も興行のための一種のショーだと考えた。しかし、リングでただ立っているだけで終わったという話を聞くと悔しかった。さらに判定負けの試合もあり、自分を応援してくれている韓国ファンが失望したという点は理解する」

--金儲けのために無条件に出場したのではないのか。

「お金のためならあえて韓国で試合をする必要はない。ファイトマネーが多い海外の団体だけを選んで出場すればよい。韓国で受けるファイトマネーと海外で提示する契約金やファイトマネーとは大きな差がある。今でも最高待遇をするという海外の団体がいくつかある。心を決めてすべての大会に出ることもできる。お金が問題ではない」

--不振の中で心の傷まで負いながらもあきらめないのは印象的だ。

「格闘技はやめることができない。長くやってきたということもあるが、悔しくてそうできない。今までのつらい時間に対する見返りを必ずつかみたい。見返してやるという気持ちで再起し、自分を応援してくれた人たちに報いたい」

--今後の計画は。

「長く準備してきた試合が残念な形で終わり、ひとまず気持ちをリセットしたい。全盛期時代のチェ・ホンマンをもう一度見せることが目標だ」



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