世界経済をこの10年間牽引してきた米国経済が減速する兆候を見せている。先月の新規就業者は当初の予想の半分にもならない7万5000人だった。全米経済研究所(NBER)によると、米国経済は2009年6月の底から今月まで120カ月間も拡張局面を維持してきた。情報通信革命のおかげで史上最も長い景気拡張を見せた1991年3月から2001年3月までの10年間に続いて2番目に長い。これから数カ月続けば史上最長記録を更新する。しかしこれは遠からず景気収縮局面がくる信号と見ることができる。月が満ちて欠けるように景気も循環するからだ。この余波で世界は米国主導の通貨安戦争にまた巻き込まれる可能性が高い。
米国の景気拡張局面が長期化している理由はまず、果敢な財政および通貨政策から見いだすことができる。2008年に金融危機が始まると、米国政府は財政支出を大きく増やした。2007年末に国内総生産(GDP)比63%だった連邦政府の負債総額は2012年以降には100%を超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)の通貨政策も積極的だった。2008年にFRBは政策金利を5.00-5.25%から0.00-0.25%まで引き下げた。さらに3回の量的緩和を通じてマネタリーベースを3兆ドル以上に増やした。株価など資産価格が急上昇し、GDPの70%を占める消費を中心に景気が拡張した。昨年4-6月期からは実際のGDPが潜在GDPを上回るほど景気が良くなった。
供給の側面でシェールガス生産拡大による原油価格安定も景気拡張に大きく寄与した。2008年に1バレルあたり105ドルだった原油価格(西部テキサス油の年平均基準)が2009-18年には年平均73ドルに下がった。原油価格の下落は生産コスト削減を通じて米国経済の総供給曲線を右側に移動させた。積極的な財政および通貨政策で需要が増えたが、原油価格安定に基づく供給曲線の右側移動が物価安定を誘導する要因になった。
しかし最近は景気減速の兆候があちこちで表れている。まず長短期金利差の逆転だ。昨年12月から米5年国債の収益率が2年債の収益率より低くなり、今年5月末には10年債の収益率が2.13%と、3カ月債(2.34%)を下回った。市場金利は未来に期待される経済成長率と物価上昇率を先に反映する。長期金利の下落は経済成長率や物価上昇率が低下することを示唆する。過去の統計を見ると、長短期金利差がマイナスになった後に米国経済が沈滞した。2006年下半期と2007年上半期の間に長短期の金利差が逆転し、2017年12月に米国景気がピークとなった。
主要経済指標の増加も鈍っている。今後の景気を予測するカンファレンスボード景気先行指数の増加率が昨年10月から低下している。特に今年4月の産業生産指数は109.2(2012年100基準)と、昨年12月より1.2%下落した。在庫が増加し、企業が生産調整に入った影響だ。
株価でも景気を展望できる。1965年以降の株価(S&P500)と景気の関係を見ると、株価は主に景気より2-11カ月先行している。まだ株価がピークを過ぎたと断定することはできない。しかし産業生産・小売販売・非農業部門雇用など主な経済指標で見ると、4月末現在の株価は景気に21%ほど先行している。5月に株価が7%下落したが、これは過大評価された部分の解消過程だ。米国の家計は金融資産の35%ほどを株で保有している。株価が下落すれば消費心理が冷え込み、GDPの69%を占める消費を中心に景気が収縮局面に入る可能性が高い。また、景気のピークから平均11カ月かけて株価が23%下落し、景気が低迷する。
米国の利下げで通貨安戦争がまた始まる(2)
米国の景気拡張局面が長期化している理由はまず、果敢な財政および通貨政策から見いだすことができる。2008年に金融危機が始まると、米国政府は財政支出を大きく増やした。2007年末に国内総生産(GDP)比63%だった連邦政府の負債総額は2012年以降には100%を超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)の通貨政策も積極的だった。2008年にFRBは政策金利を5.00-5.25%から0.00-0.25%まで引き下げた。さらに3回の量的緩和を通じてマネタリーベースを3兆ドル以上に増やした。株価など資産価格が急上昇し、GDPの70%を占める消費を中心に景気が拡張した。昨年4-6月期からは実際のGDPが潜在GDPを上回るほど景気が良くなった。
供給の側面でシェールガス生産拡大による原油価格安定も景気拡張に大きく寄与した。2008年に1バレルあたり105ドルだった原油価格(西部テキサス油の年平均基準)が2009-18年には年平均73ドルに下がった。原油価格の下落は生産コスト削減を通じて米国経済の総供給曲線を右側に移動させた。積極的な財政および通貨政策で需要が増えたが、原油価格安定に基づく供給曲線の右側移動が物価安定を誘導する要因になった。
しかし最近は景気減速の兆候があちこちで表れている。まず長短期金利差の逆転だ。昨年12月から米5年国債の収益率が2年債の収益率より低くなり、今年5月末には10年債の収益率が2.13%と、3カ月債(2.34%)を下回った。市場金利は未来に期待される経済成長率と物価上昇率を先に反映する。長期金利の下落は経済成長率や物価上昇率が低下することを示唆する。過去の統計を見ると、長短期金利差がマイナスになった後に米国経済が沈滞した。2006年下半期と2007年上半期の間に長短期の金利差が逆転し、2017年12月に米国景気がピークとなった。
主要経済指標の増加も鈍っている。今後の景気を予測するカンファレンスボード景気先行指数の増加率が昨年10月から低下している。特に今年4月の産業生産指数は109.2(2012年100基準)と、昨年12月より1.2%下落した。在庫が増加し、企業が生産調整に入った影響だ。
株価でも景気を展望できる。1965年以降の株価(S&P500)と景気の関係を見ると、株価は主に景気より2-11カ月先行している。まだ株価がピークを過ぎたと断定することはできない。しかし産業生産・小売販売・非農業部門雇用など主な経済指標で見ると、4月末現在の株価は景気に21%ほど先行している。5月に株価が7%下落したが、これは過大評価された部分の解消過程だ。米国の家計は金融資産の35%ほどを株で保有している。株価が下落すれば消費心理が冷え込み、GDPの69%を占める消費を中心に景気が収縮局面に入る可能性が高い。また、景気のピークから平均11カ月かけて株価が23%下落し、景気が低迷する。
米国の利下げで通貨安戦争がまた始まる(2)
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