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韓経:【コラム】一度も経験してみたことのない政府=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
3年目である文在寅(ムン・ジェイン)政権で最も適応するのが難しいのは事実歪曲と荒々しい権力行使方式だ。政策成果を多くの国民の体感と異なって自画自賛したり、企業家など民間部門にまで検察権を過剰に発動して断罪するような場面の繰り返しは過去の政権ではめったになかったことだ。

論理の転倒、思考の単純さ、権力行使の妥当性を問うことに疲労感を訴える人が増えている。先週の文在寅大統領の就任2周年記念KBS対談は少なくない部分で首をかしげさせた。文大統領は韓国が「マクロ(経済)で大きく成功した」とし「OECD加盟国で高成長国」と強調した。投資・生産・輸出がともに急落し、1-3月期にマイナス成長し、ウォン相場が急落中である現実とかけ離れた診断だ。成長率もOECD上位を維持していたが文在寅政権になって中位圏に押し出されたのが「ファクト」だ。血税で高齢者短期雇用だけ大きく増やした事実上の粉飾統計と指摘されているところに「雇用事情が改善されている」としたのも同意し難い。30~40代の家長と青年が主軸である120万人の失業者はもどかしかっただろう。

◇与党陣営全般の危険な「ファクト逆転」


今回の対談だけではない。大統領の発言があった翌日に「ファクトチェック」の記事が出ることが頻繁になっている。今年の新年の辞では「韓国が世界最高の不平等国」として過去の政権の誤りを問い正した。韓国の平等度が人口5000万人以上の国のうちドイツに次いで良いグループに入るという統計を知っているのか気がかりだ。

異常感覚とも思えるこうした認識と発言の背景は何か。参謀が目と耳をふさいでいるとか、見たいものだけ見ているせいではないかとの解釈が多いが、それだけでは説明が足りない。青瓦台(チョンワデ、大統領府)が九重の奥でないならメディアの無数の指摘を知らないはずがない。直言する専門家・企業家と会うことが多かった点も参謀や性向の問題にできない理由だ。それなら意図的な宣伝戦と疑ってみる必要がある。

大統領だけでない。与党代表は二極化の責任を「李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権当時の誤った政策のせい」と転嫁した。与党と青瓦台は自分たちが強行した週52時間労働制にともなうバスのスト問題も「仕事をしない官僚のせい」として舌打ちした。だれかに責任を転嫁するのはポピュリズムの常用手法という点で心配だ。南米や南欧で見るようにポピュリズムは進歩政治が陥りやすい罠だ。既得権と大衆間の対立を助長する態度は進歩ではなくポピュリズムにすぎない。

◇「自分たちが正義」という独善は必ず負ける

「自分たちが正義で、自分たちだけが国民を代表する」というのがポピュリズムの核心主張だ。そうした点で反対派にとりわけ厳格に見える公権力は懸念だ。李永烈(イ・ヨンリョル)元ソウル中央地検検事長、パク・チャンジュ元陸軍大将は前例のない大統領公開叱咤に続く無差別捜査であらゆる侮辱を受け服まで脱いだ。該当容疑に大法院(最高裁に相当)の無罪判決が下されたがそれだけだ。「風より先に横になる」という知識人の沈黙は長くなるほかない。

文大統領は「一度も経験してみたことのない国」を力説し続けている。その具体的な姿に気になる中で「一度も経験してみたことのない政府」が先に大股で近寄ってきた。野党はこの見慣れない政府を「左派独裁」と規定する。「ろうそく政府を色分け論争に追いやっている」として大統領は腹を立てたが、なぜそのような批判が出ているのか振り返らなければならない。社会主義革命家であるレーニンは「嘘をついたり盗みをしたり、あるいはだれかをだましても良い。われわれの目標自体がさらに高い真理のため」と言った。ものすごい正義の独占だ。しかし事実を後回しにしては政府が希望する「平凡な偉大さ」は達成不可能だ。



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