インターネットの検索ウィンドウに「airvisual.com」とタイプしてみてほしい。世界主要都市の「空気の質(AQI:Air Quality Index)」ランキングとPM2.5(微小粒子状物質、直径2.5マイクロメートル以下の粒子)の濃度をリアルタイムで見ることができる。4月13日午後3時30分現在、空気汚染度1位は中国の瀋陽(PM2.5:140マイクログラム/立方メートル)だ。3位北京(120マイクログラム)、6位成都(67マイクログラム)、11位杭州(34マイクログラム)、13位武漢(39.5マイクログラム)、18位広州(30マイクログラム)、25位重慶(27マイクログラム)、29位上海(30マイクログラム)だった。ソウル(42位、17マイクログラム)よりも空気が悪い中国の都市が8カ所だ。東京の場合は世界61位(13.5マイクログラム)。空気は地球の上空で国境を越えて移動するので汚染の順位が随時変化する。そうした点を勘案しても、airvisual.comの科学技術的データは中国の空気汚染度が非常に高いことを示している。
したがって「韓国の粒子状物質が中国から飛来したものか十分な根拠があるのかどうか分からない」という、1カ月前の中国外交部の陸慷報道官の発言は覇権国の傲慢が感じられるおかしな声だ。中国・韓国・日本は北半球の中緯度(北緯30~60度)に位置する国々だ。この地域では西から東に自転する地球の性質上、偏西風が吹く。西から東に風が移動するのだ。
東アジアの空気が中国→韓国→日本の方向に流れるという事実は、太陽が東から上り西の方に沈むということと同じくらい真実だ。金と人口と軍事力が強いからといって自然法則まで越えようとしてもらっては困る。陸慷報道官の認識の変化が必要だ。
韓日中3国は地理・歴史・主権的に対立する時が多いが、同じ空の下の「呼吸共同体」の一員だ。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が東アジア呼吸共同体論を展開している。彼は「水は汚そうに見えれば飲まなくてもいいかもしれないが、粒子状物質はどの国の人だろうと選択の余地なく吸わなくてはならない。水質は3カ国が各自責任を負うべきことだが、空気の質だけは3カ国が一緒に解決していかなければならない」と主張する。空に障壁を築くことはできないからとにかく互いに協力して答えを探ろうということだ。
潘基文の考えは今月初めに北京で習近平中国主席と会談しながら具体化された。潘基文によると「習主席は粒子状物質に対する韓国人の深刻な懸念を十分把握している」という。陸慷報道官の「責任回避」よりも習近平の「懸念把握」側に切り込み、理解共有→共同調査→措置分担の順序で段階的にアプローチしていこうという姿勢だ。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の「韓国の領土内で発生したものが中国の方に飛んで行く場合もある」という魂が抜けたような声とは次元が違う。潘基文の見識はさまざまな国の利害関係がからまった懸案を調整しながら強大国の政治の虚実を体験した国連事務総長10年の経験が土台となっている。
今月11日、ローマ・バチカン宮殿で会ったフランシスコ法王も「神は常に許し、人間は時々許すが、自然は決して許さない」という言葉を気候変動と戦う潘氏に贈った。潘基文は「自然は妥協しない」と答えた。このような対話は、粒子状物質に対抗する潘基文にとって貴重な倫理的・政治的資産になるだろう。
潘基文は公的人生の最後の勝負を粒子状物質にかけた。2017年大統領選挙のライバルになるところだった文在寅(ムン・ジェイン)大統領が責任を引き受けてほしいと頼んだためだ。潘基文は「大統領の要請を国民の命令として受け入れた」と話した。粒子状物質は20~30代の80%がこの問題のせいで1~2度、もしくはたびたび移民を考えるというほどの国難だ(時事ジャーナル3月29日付の世論調査)。
北核対応、親日清算、脱原発、所得主導成長に対してぱっくりと分かれた国論が粒子状物質問題では一つになった。2002年ワールドカップ(W杯)以降でここまで国民の心が一致したこともないようだ。沈黙の殺人者の逆説的効果だ。この効果が良い実を結ぶかどうかは今後の潘基文の手腕にかかっている。
チョン・ヨンギ/中央日報コラムニスト
したがって「韓国の粒子状物質が中国から飛来したものか十分な根拠があるのかどうか分からない」という、1カ月前の中国外交部の陸慷報道官の発言は覇権国の傲慢が感じられるおかしな声だ。中国・韓国・日本は北半球の中緯度(北緯30~60度)に位置する国々だ。この地域では西から東に自転する地球の性質上、偏西風が吹く。西から東に風が移動するのだ。
東アジアの空気が中国→韓国→日本の方向に流れるという事実は、太陽が東から上り西の方に沈むということと同じくらい真実だ。金と人口と軍事力が強いからといって自然法則まで越えようとしてもらっては困る。陸慷報道官の認識の変化が必要だ。
韓日中3国は地理・歴史・主権的に対立する時が多いが、同じ空の下の「呼吸共同体」の一員だ。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が東アジア呼吸共同体論を展開している。彼は「水は汚そうに見えれば飲まなくてもいいかもしれないが、粒子状物質はどの国の人だろうと選択の余地なく吸わなくてはならない。水質は3カ国が各自責任を負うべきことだが、空気の質だけは3カ国が一緒に解決していかなければならない」と主張する。空に障壁を築くことはできないからとにかく互いに協力して答えを探ろうということだ。
潘基文の考えは今月初めに北京で習近平中国主席と会談しながら具体化された。潘基文によると「習主席は粒子状物質に対する韓国人の深刻な懸念を十分把握している」という。陸慷報道官の「責任回避」よりも習近平の「懸念把握」側に切り込み、理解共有→共同調査→措置分担の順序で段階的にアプローチしていこうという姿勢だ。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の「韓国の領土内で発生したものが中国の方に飛んで行く場合もある」という魂が抜けたような声とは次元が違う。潘基文の見識はさまざまな国の利害関係がからまった懸案を調整しながら強大国の政治の虚実を体験した国連事務総長10年の経験が土台となっている。
今月11日、ローマ・バチカン宮殿で会ったフランシスコ法王も「神は常に許し、人間は時々許すが、自然は決して許さない」という言葉を気候変動と戦う潘氏に贈った。潘基文は「自然は妥協しない」と答えた。このような対話は、粒子状物質に対抗する潘基文にとって貴重な倫理的・政治的資産になるだろう。
潘基文は公的人生の最後の勝負を粒子状物質にかけた。2017年大統領選挙のライバルになるところだった文在寅(ムン・ジェイン)大統領が責任を引き受けてほしいと頼んだためだ。潘基文は「大統領の要請を国民の命令として受け入れた」と話した。粒子状物質は20~30代の80%がこの問題のせいで1~2度、もしくはたびたび移民を考えるというほどの国難だ(時事ジャーナル3月29日付の世論調査)。
北核対応、親日清算、脱原発、所得主導成長に対してぱっくりと分かれた国論が粒子状物質問題では一つになった。2002年ワールドカップ(W杯)以降でここまで国民の心が一致したこともないようだ。沈黙の殺人者の逆説的効果だ。この効果が良い実を結ぶかどうかは今後の潘基文の手腕にかかっている。
チョン・ヨンギ/中央日報コラムニスト
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