前政権の時、粒子状物質対策が不十分だとしデモを行っていた環境団体は現政権発足後、態度が急変した。(写真=ソウル環境運動連合)
翌日も同じだった。「非常な時期に非常な措置を取るのが政府の責務」という大統領の原則的な一言に突然、長官らが忙しくなった。全国の小・中・高校生が粒子状物質に無防備なまま始業を迎えてもいかなる対策がなかった愈銀恵(ユ・ウネ)教育部長官は、写真写りの良い黄色い作業服を着てソウルのある小学校の教室を訪れ、設置された空気清浄器を見物した。パク・ヌンフ保健福祉部長官も保育園を訪問してマスクをした顔写真を撮影して帰ってきた。国民の苦痛に対する省察よりは大統領の顔色をうかがっているような長官らの騒ぎ立てる姿を見ていると、逆説的に粒子状物質問題の解決にその間この政府がどれほど関心がなかったのかが改めて気づかされる。粒子状物質が本当に政府の主な関心事だったなら、長官らが今までこのように手を離していたはずがない。ただ粒子状物質が退くまで世論をなだめる、「見せかけのイベント」程度で対応すればいいと考えているのが現政権の思考水準ということを気の利く長官なら見抜いていたということではないだろうか。
文大統領のフェイスブックのアカウントを見れば分かる。ドナルド・トランプ米大統領のように直接的な本音をリアルタイムで差し支えなく吐き出すわけではないが、文大統領も本人の支持者と緊密に疎通する「SNS政治」を重視する政治家だ。依然として一日でも何度も掲載するフェイスブックの掲示物こそ文大統領の本当の関心事を盛っている器といえる。大統領選当時から今までのフェイスブックに目を通したところ、粒子状物質はただ2回登場する。それも全部大統領選期間中で、就任後には全く言及がない。他の懸案に比べると、粒子状物質に対する無関心は一層明らかにあらわれている。圧倒的に多い北朝鮮問題だけでなく、身近な問題として幼稚園問題から故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を題材にした映画『弁護人』に出演した女優キム・ヨンエの訃告、長い間の支持者である精神科医師チョン・へシンさんの新刊の読書感想文、ジャカルタ・アジア競技大会のカヌー女子500メートル南北合同チームの善戦祝い、ペットのトリーの近況まで、具体的な情報を掲示してきた文大統領がおかしいと思われるほど粒子状物質は扱ってこなかった。
【コラム】粒子状物質と文在寅政府の1万5946時間(2)
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