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【韓半島ウォッチ】平和オデッセイ大長征の終わり(3)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆2回目の米朝会談は「歴史的平和ビッグディール」の場

さらに金正恩委員長の独断的スタイル、苦しい経済制裁から抜け出して北朝鮮経済を発展させたいという焦燥感、米朝関係改善でトランプ大統領が約束する経済強国になろうという野望が結びつき、ハノイでは今後70年または100年の米朝関係、南北関係、東北アジア政治の基礎となる地殻変動的な化学作用が起こる希望の兆候が見える。

北朝鮮が交渉テーブルに載せる議題は次のよう予想される。終戦宣言またはそれを超える平和協定、米朝連絡事務所の開所を始まりとする関係正常化が代表的だ。米国の戦略資産を筆頭とする韓米連合軍事演習の中断、北朝鮮の非核化措置に対する対北朝鮮経済制裁緩和、開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光の再開、米兵遺骨の発掘・送還などにも言及された。非核化の部分では東倉里ミサイル発射・試験場の事後閉鎖検証、米国が所在を把握している核施設とミサイル基地の目録提示など非核化プロセス全体の具体的なロードマップを要求する可能性がある。


米国は北朝鮮の非核化レベルに合わせて韓米連合訓練の中断、対北朝鮮経済制裁の部分的解除または大規模な経済支援などを交渉テーブルに載せるかもしれない。韓米朝終戦宣言または韓米中朝平和協定締結などのいくつかの交渉カードが提示される。しかし米国は「寧辺プラスアルファ」を期待する。それは寧辺を越えて(beyond Y)を意味する。それはまた不可逆的な非核化を意味する。

トランプ大統領は北朝鮮の最終的かつ十分に検証された非核化(FFVD)を誘導するため、北朝鮮を経済強国にすると話す。不可能なことではない。平壌の黎明通りにスターバックスやマクドナルドの店が一つ入っても、トランプ大統領が大同江岸や元山(ウォンサン)リゾートにトランプタワーを建設するという計画を一つ発表するだけでも、外国企業の北朝鮮投資ラッシュが起こるだろう。それだけ安保の不安が軽減されるからだ。

「韓半島の平和は韓国の立場が十分に反映された韓米朝の三角構図だけで実現されなければいけない。そのような意味で金正恩委員長がソウルを答礼訪問する場合、ハノイ米朝首脳会談の新たな終止符が一つ打たれるはずだ」。

金正恩委員長とトランプ大統領はこうした提案と各自の要求条件をテーブルの上に載せて低い段階から高い段階まで一つずつ合わせていく方式で交渉を進めるだろう。ハノイで進展がなければ、このような機会はいつ来るか分からない。トランプ大統領はハノイの成果を2020年の大統領選挙の弾みにしなければいけない。このためハノイ交渉は世紀のビッグディールになるしかない。私は多くの懐疑論者とは違い、ハノイ米朝首脳会談で金正恩委員長とトランプ大統領が韓半島の平和定着だけでなく、北東アジアの歴史の流れを変える合意が出てくると予想し、期待する。

2回目の米朝首脳会談がベトナムで開かれるのは北朝鮮にとって特別な意味がある。ベトナムは米国史上初めての敗戦を抱かせた国だ。1995年に米国とベトナムは国交を正常化した。それからベトナムは共産党一党独裁の下、経済を改革開放する「ドイモイ」政策で年平均8%経済成長率を維持している。北朝鮮に最も適した改革開放モデルだ。金正恩委員長が首脳会談の前後にベトナムを国賓訪問する理由も、この成功的な改革開放の現場を自ら学習視察するためだ。

◆躍動的な国際政治の中で南北が成し遂げる平和オデッセイ

ハノイ首脳会談で韓半島非核・平和プロセスに弾みがつけば、次は3、4月の金正恩委員長のソウル答礼訪問だ。南北関係の改善と非核化を通じた米朝関係の改善は、どちらか一方が先を進み過ぎてはいけない。南北関係の進展が半歩ほど先を行きながら米朝関係を牽引するのが最も理想的だ。

そのためには国内保守陣営の視点の調整が重要となる。自由韓国党の全党大会の日が2回目の米朝首脳会談日と重なるのは偶然だ。コンベンション効果がかなり失われる。自由韓国党の不満は理解できる。

しかし米国と北朝鮮が複雑な高次方程式を解いて決めた会談日を文在寅大統領、金正恩委員長、トランプ大統領が自由韓国党の全党大会を狙って意図的に起こした「北風」と解釈するのは話にならない。2000年の最初の南北首脳会談当時も4月15日の総選挙を3日後に控えた4月12日に南北首脳会談の発表という爆弾が落ちて「北風」論争が起きた。

しかし首脳会談の発表が選挙の結果に意味のある影響を及ぼしていない。北風であれ南風であれ重要なのは自由韓国党の全党大会ではなく韓半島平和プロセスだ。自由韓国党は第一野党らしく平昌以降の韓半島と北東アジア情勢の根本的な変化を直視する大きな政治ができなければいけない。米朝関係の改善、南北関係の進展を自由韓国党の党利党略に合わせることはできないはずだ。

終戦協定が締結されれば在韓米軍の撤収が避けられないという主張も、北東アジアの力の構図を見ない近視眼的な見方だ。1953年の韓米軍事同盟締結当時、米国の意中には在韓米軍が北朝鮮の再南侵だけでなく李承晩(イ・スンマン)大統領の北進統一を阻止する目的もあった。

今日の米軍は一次的に対北朝鮮抑止力の役割をするが、それよりも軍事的に急速に崛起する中国に対する軍事戦略上の前哨基地の役割をする。THAAD事態で中国が見せたヒステリックな反応もこうした背景で理解できる。極端に言えば、米国は韓国が在韓米軍の撤収を要求してもそうできないのが北東アジア政治の現実だ。韓国と日本の前哨基地がなければ、中国が米国を太平洋の第二列島線の東側に押し出して西太平洋を掌握する100年の夢を実現するのは時間の問題だ。

4強に包囲され、勢力争いの犠牲になった韓半島の地理的な位置は変えられない。地理は不変だ。しかし地理は不変の運命ではない。その上で展開する国際政治は躍動的であるからだ。周辺4強に対して南北が一つの声を出す時、南北は角逐する4強の力を活用して強小国の影響力を発揮できる。平昌で回り始めた韓半島の新しい歴史の車輪がハノイで大きく跳躍し、金正恩委員長のソウル訪問で揺るぎない平和の軌道を走るのは夢ではない。そうなるための国内的な条件が少なくとも南北関係と平和のプロセスにだけは、政界だけでなく市民社会の積極的な参加が必須だ。

韓半島の平和は金正恩委員長とトランプ大統領の合意だけで訪れない。そうなってもいけない。平和は韓国の立場が十分に反映された韓米朝の三角構図だけで実現されなければいけない。そのような意味で金正恩委員長のソウル答礼訪問でハノイ米朝首脳会談の終止符が一つ打たれるのだ。ある段階では中国・日本・ロシアの参加も必要となる。しかし長い韓半島平和オデッセイが韓国や米国の政治日程に合わされることを警戒しなければいけない。

金永熙(キム・ヨンヒ)/元中央日報論説委員



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