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「1000年の歴史」済州ミカン、日本との種子戦争に直面した理由は?

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

27日、済州道西帰浦市中文洞のある農家のビニールハウスで農家が1年間育てた日本品種の「あすみ」ミカンを見つめている。

27日午前、済州道西帰浦市中文洞(チェジュド・ソギポシ・チュムンドン)のあるミカン農家。農場主のキムさん(44)が2300平方メートル(約700坪)規模のビニールハウスの中で熟していく実を見つめてため息をついた。キムさんが育てているミカンは「あすみ」という品種だ。日本産だ。キムさんは「苗種業体が日本からあすみ品種を正式に輸入して農家に販売した」とし「これを信じて1年間、農作業をしたが、主要販路が遮断されてただ虚しい」と話した。

キムさんのミカン主要販路が遮断された理由は、日本が自国の種子に対する保護権を設定したためだ。「あすみ」のような日本産の新品種ミカンを栽培していた済州農家が危機に陥った。日本は自国の新品種晩柑類(完全に熟した後に収穫するミカンの品種)の「あすみ」と「みはや」を今年1月15日に韓国政府に新品種として「品種保護」出願した。2つのミカンは日本国立研究開発法人が2014年に開発した新品種だ。糖度が10ブリックス(Brix)前後の一般のミカンに比べて3~4ブリックス以上高い。特に、「みはや」は薄く赤い皮が特徴で、韓国では「ホンミヒャン」または「サンレッド」と呼ばれて2~3年前から人気がある。現在、済州では「あすみ」118農家、「みはや」90農家など208農家がこの2品種を栽培している。栽培面積は46ヘクタール以上、出荷物量は920トンに達すると予測されている。

品種保護登録は一種の特許権で、新品種開発者は最大25年間独占的権利を行使することができる。韓国に申請された外国の品種保護登録は通常2年4カ月が過ぎれば可否が決まる。日本は2つのミカンの品種保護措置をしていなかったが、今年1月15日に出願を公開した。このために最終決定される時まで2つのミカンに対して臨時保護権が発効されている状態だ。臨時保護権が発動されれば種子(苗木など)の販売が禁止される。済州道と農協・柑協は今年11月、臨時保護権の効力が苗木など種子の他に育てられた果実にもあるとみた。植物新品種保護法第131条(侵害罪)の「品種保護出願人の許諾なしでは該当品種の種子を増殖・販売できない」という内容のためだ。


これに反すれば最大で懲役7年または罰金1億ウォン(約990万円)に処される。このため、一部の農協は11月7日、農家に「出荷されるミカンは2年後(品種保護登録後)に刑事法処罰および民事でロイヤリティー請求予定」という内容のショート・メッセージ・サービス(SMS)まで送った。

現在、大きな被害を受けたところは収穫期が12月初めの「みはや」栽培農家だ。西帰浦市大静邑(テジョンウプ)の「みはや」農場主のソンさん(73)は「1年間、農薬を浴びながら実と格闘したが、実が熟した後も適時に収穫することができなかった」と声を高めた。ソンさんは6600平方メートル(約2000坪)規模のビニールハウスで「みはや」を育てた。収穫時期に農協の系統出荷(農漁民が協同組合を通じて出荷)不可通知によって適時に収穫することができず、昨年より35%ほど売り上げが減った。

「本当に売ることができないのか」という農家の出荷問い合わせが続くと、済州道は19日、中央政府に関連法令に対して担当責任解釈を出すよう要請した。その結果、26日、農林水産食品部が日本産品種2種に対して「収穫物(果実)に対する権利効力は及ばないと判断する」という有権解釈を下した。

これに対して農協済州本部関係者は「農林水産食品部の担当責任解釈結果を受け取っただけで、再出荷を実施することができるのかどうか、各地域農協別に協議を進めている」とし「ただし、今後品種保護出願が確定すればロイヤリティー支払問題が大きくなる可能性もあり、注意が必要」と明らかにした。

ミカン関連のロイヤリティー問題が大きくなったのは今回に限ったことではない。冬季の国民果物であるミカンの代名詞「済州産ミカン」は94%が日本の種子だ。済州ミカンの歴史は技術上では約1000年前の高麗時代文宗6年(1052年)まで遡るが、この時の品種は現在とはずいぶん違う在来種だ。現在のものは1960年代に在日済州人のミカン苗木送り運動を通した品種が大部分だ。

この時に持ち込まれた種子を育てたり改良したりして今に至る。日本産だが、50年余りがすぎているため関連法によりロイヤリティーを支払う必要がない。だが、「あすみ」と「みはや」のように、最近の品種は今後も持続して農家運営の障害物になる可能性が高い。これに伴い、韓国産のミカン品種の開発が急がれるという指摘がある。韓国も最近、「ウィンタープリンス」「ハレジョセン」など新しい品種を開発したが、経済性の面で従来の日本産におされているというのが大半の意見だ。

国内の新しい品種開発が立ち遅れている理由は、品種の商品性・安定性などを綿密に観察しなければならないなど開発が難しいためだ。品種開発だけでゆうに20年は必要だ。済州大学校生命資源科学大学のソン・グァンジョン教授は「品種が開発されたとしても木が育つまでには普通5年は必要」とし「農家の立場で5年間収入のない品種に切り替えることは容易ではない以上、国内品種の開発と定着のためにより多くの支援策が切実だ」と話した。



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