韓日サッカー代表チームのフース・ヒディンク監督とフィリップ・トルシエ監督が就任後初めて対談し、外国人として2002韓日ワールドカップ(W杯)開催国の指令塔を担うことになった所感と覚悟について話を交わした。両監督は、W杯公式ガイドブック発刊社である日本講談社の取り持ちで、昨年12月1日のW杯組み分け抽選会直後に釜山(プサン)パラダイスホテルで会い、2時間ほど対談した。次は対談の要約。
司会:両国の代表チームについて話してみましょう。ヒディンク監督は韓国サッカーの特徴は何だと思いますか。
ヒディンク:強い精神力と規律順守は他の国では見られない長所です。技術も相当なものです。反面、弱点は自ら責任を負わずに主導権を譲り渡すということです。韓国選手は精神力が強い反面、能動的なプレーと責任感は不足しています。
トルシエ:日本選手も似ていると思います。日本代表チームの場合、3年間の試行錯誤を経て成長しましたが、選手個人の経験不足のため今でも迅速な判断を下せない時があります。これが日本チームの弱点です。どんなにいい選手でも自分勝手にプレーをしては問題です。重要なのはチームワークと規律です。しかも日本選手はあまりにも内省的です。そのため私はずっと攻撃的な姿勢を要求してきました。当初、選手らは攻撃性を表すことができなかったが、いまではどのチームを相手にしても戦えるレベルになりました。
ヒディンク:韓国選手らは内省的ではありません。ただ上下関係をあまりにも尊重し過ぎます。代表チームではこれが良くない影響を及ぼすこともあります。例えばサッカーでは意思疎通が重要ですが、韓国の若手選手はベテラン選手に話しかけようとしません。韓国選手は責任感と積極性に欠けていると指摘しましたが、これはまさに上下関係を重視し過ぎるからだと思います。
司会:日本選手は内省的で攻撃的な姿勢が足りないということですが、具体的な例を挙げて下さい。
トルシエ:英国のある審判が「日本ではホイッスルを吹くことがない」と話したのを覚えています。日本の選手が消極的な試合をするため、反則が少ないということです。仮りに日本の審判が英国に行けば、3秒ごとに笛を吹き、試合を中断させるかもしれません。
司会:最近多くの選手がヨーロッパのプロチームに進出しています。しかし日本の稲本選手や韓国の安貞桓(アン・ジョンファン)選手は出場する機会があまりありません。こういう状況でも海外への進出が望ましいのでしょうか。
トルシエ:私はヨーロッパでプレーする選手が戻れば、日本と韓国の戦力に大きな助けになると考えています。
ヒディンク:しかし出場機会が少ないのは問題です。ヨーロッパのプロチームは試合数が多いが、出場できなければ発展を期待するのは難しい。
トルシエ:私は海外進出を通じて選手が人間性と経験の面で多くのことを学ぶと思います。違った文化と言語の中で人種偏見を克服するのもいい経験になるはずです。試合の出場に関してはそれほど重要でありません。 ヨーロッパのプロチームが日本選手を起用するかどうかに日本サッカーの将来がかかっていると考えます。多くの選手が海外に進出するほど、日本チームはより一層強くなるはずです。
ヒディンク:そうです。代表チーム監督ができることは氷山の一角といえるでしょう。最後の調整だけです。
司会:トルシエ監督は3年間にわたり日本チームを作り上げましたが、ヒディンク監督にはおよそ1年しか時間がありませんでした。
ヒディンク:時間が短いので負担が大きいかもしれません。韓国チームに対する情報はほとんどありませんでした。そのためコーチらに30人の選手を推薦するよう依頼しました。しかし現在ではそのうちの9人しか残っていません。1年足らずで選手個人の能力を把握し、20人以上の選手を交代させるのは易しいことではありません。
トルシエ:その点で私の方が有利といえるでしょう。私は相対的に準備する時間が長かった。私が指導した日本のユース選手らが成長し、自信を持つようになりました。もちろん日本はフランスに、韓国はチェコにそれぞれ0-5で敗れましたが、いい経験になりました。いいチームを作るにはヨーロッパの強いチームと真っ向勝負をし、時にはプライドも捨てることも重要です。
ヒディンク:私も韓国のサッカー関係者に「世界の強豪チームと戦うべきだ」と提案しました。以前のようにシンガポールやマレーシアと試合をして勝つという易しい道もあります。しかし私はそういうことを望みません。相手が欧州国であれ南米国であれ弱点はあります。最後の3カ月間、細かな戦略調整をする計画です。
トルシエ:両国ともに最初の試合が重要です。最善を尽くす覚悟です。決勝戦で韓国と日本が対戦できればどれほどいいでしょうか。
ヒディンク:同感です。選手も自信を持つことを望みます。
社会=後藤健生(50)日本サッカージャーナリスト
司会:両国の代表チームについて話してみましょう。ヒディンク監督は韓国サッカーの特徴は何だと思いますか。
ヒディンク:強い精神力と規律順守は他の国では見られない長所です。技術も相当なものです。反面、弱点は自ら責任を負わずに主導権を譲り渡すということです。韓国選手は精神力が強い反面、能動的なプレーと責任感は不足しています。
トルシエ:日本選手も似ていると思います。日本代表チームの場合、3年間の試行錯誤を経て成長しましたが、選手個人の経験不足のため今でも迅速な判断を下せない時があります。これが日本チームの弱点です。どんなにいい選手でも自分勝手にプレーをしては問題です。重要なのはチームワークと規律です。しかも日本選手はあまりにも内省的です。そのため私はずっと攻撃的な姿勢を要求してきました。当初、選手らは攻撃性を表すことができなかったが、いまではどのチームを相手にしても戦えるレベルになりました。
ヒディンク:韓国選手らは内省的ではありません。ただ上下関係をあまりにも尊重し過ぎます。代表チームではこれが良くない影響を及ぼすこともあります。例えばサッカーでは意思疎通が重要ですが、韓国の若手選手はベテラン選手に話しかけようとしません。韓国選手は責任感と積極性に欠けていると指摘しましたが、これはまさに上下関係を重視し過ぎるからだと思います。
司会:日本選手は内省的で攻撃的な姿勢が足りないということですが、具体的な例を挙げて下さい。
トルシエ:英国のある審判が「日本ではホイッスルを吹くことがない」と話したのを覚えています。日本の選手が消極的な試合をするため、反則が少ないということです。仮りに日本の審判が英国に行けば、3秒ごとに笛を吹き、試合を中断させるかもしれません。
司会:最近多くの選手がヨーロッパのプロチームに進出しています。しかし日本の稲本選手や韓国の安貞桓(アン・ジョンファン)選手は出場する機会があまりありません。こういう状況でも海外への進出が望ましいのでしょうか。
トルシエ:私はヨーロッパでプレーする選手が戻れば、日本と韓国の戦力に大きな助けになると考えています。
ヒディンク:しかし出場機会が少ないのは問題です。ヨーロッパのプロチームは試合数が多いが、出場できなければ発展を期待するのは難しい。
トルシエ:私は海外進出を通じて選手が人間性と経験の面で多くのことを学ぶと思います。違った文化と言語の中で人種偏見を克服するのもいい経験になるはずです。試合の出場に関してはそれほど重要でありません。 ヨーロッパのプロチームが日本選手を起用するかどうかに日本サッカーの将来がかかっていると考えます。多くの選手が海外に進出するほど、日本チームはより一層強くなるはずです。
ヒディンク:そうです。代表チーム監督ができることは氷山の一角といえるでしょう。最後の調整だけです。
司会:トルシエ監督は3年間にわたり日本チームを作り上げましたが、ヒディンク監督にはおよそ1年しか時間がありませんでした。
ヒディンク:時間が短いので負担が大きいかもしれません。韓国チームに対する情報はほとんどありませんでした。そのためコーチらに30人の選手を推薦するよう依頼しました。しかし現在ではそのうちの9人しか残っていません。1年足らずで選手個人の能力を把握し、20人以上の選手を交代させるのは易しいことではありません。
トルシエ:その点で私の方が有利といえるでしょう。私は相対的に準備する時間が長かった。私が指導した日本のユース選手らが成長し、自信を持つようになりました。もちろん日本はフランスに、韓国はチェコにそれぞれ0-5で敗れましたが、いい経験になりました。いいチームを作るにはヨーロッパの強いチームと真っ向勝負をし、時にはプライドも捨てることも重要です。
ヒディンク:私も韓国のサッカー関係者に「世界の強豪チームと戦うべきだ」と提案しました。以前のようにシンガポールやマレーシアと試合をして勝つという易しい道もあります。しかし私はそういうことを望みません。相手が欧州国であれ南米国であれ弱点はあります。最後の3カ月間、細かな戦略調整をする計画です。
トルシエ:両国ともに最初の試合が重要です。最善を尽くす覚悟です。決勝戦で韓国と日本が対戦できればどれほどいいでしょうか。
ヒディンク:同感です。選手も自信を持つことを望みます。
社会=後藤健生(50)日本サッカージャーナリスト
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