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【コラム】孫興民にできて防弾少年団にはできない? 韓国の兵役免除問題をめぐる見方の変化

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
彼は野球バットを手放して銃を手にした。誰からさせられたわけでもない。自ら下した決定だった。戦争が続くが、野球だけしているわけにはいかなかった。実際に、戦場で銃を撃ったわけではなかった。代わりに、軍服を着て兵営を回りながら兵士たちを励ました。陸軍野球チームで活躍しながら兵士たちの士気を高めた。米国は彼が軍服を着た姿に熱狂した。「ミスター・ベースボール」というニックネームで有名な米国プロ野球の伝説、ジョー・ディマジオ(1914~1999)のことだ。彼がファンたちから最も多く愛された選手に選ばれるのは女優マリリン・モンローと結婚したためでもあるが、国のために快くこのような犠牲を甘受したのも大きな理由だった。

ティマジオが入隊したのは1942年末、彼が29歳の時だった。1941年56競技連続でヒットという大記録をたて、1年ぶりに潔く軍隊に行ったわけだ(56競技連続ヒットはメジャーリーグでもまだ壊れていない大記録だ)。まるで今年アジア大会で金メダルを獲得したサッカースター、孫興民(ソン・フンミン)が来年入隊するようなことだ。

犠牲の代価は小さくなかった。ティマジオは戦争が終わった翌年である1946年、ニューヨーク・ヤンキーズに復帰したが、初めて3割打率を記録するのに失敗する。メジャーリーグを3年も離れていたため、実力が衰えたのも当然だった。しかし、ティマジオは挫折しなかった。歯をくいしばってバットを振り回したあげく、復帰翌年再び3割台打率(0.315)を記録した。


2018年、大韓民国には変化のうず巻きが襲っている。その中の一つはスポーツスターの兵役免除をめぐる見方の変化だ。オリンピックやアジア大会で良い成績をおさめた選手に兵役免除の恩恵を与えてもいいかどうかをめぐり賛反が分かれている。しかも、ピアノやヴァイオリン、バレーなどの国際芸術競演大会で入賞した人は軍免除の対象となるが、大衆文化のスターは無条件で軍隊に行かなければならない問題も公平性をめぐる論議を呼んだ。この際、兵役特例制度自体に手入れをしようという声が非常に高い。「金メダルを獲得した孫興民にはできるが、ビルボードチャート1位となった防弾少年団にはなぜできないのか」という声も一理がある。

ティマジオは入営対象者ではなかったが、自ら軍に入隊した。もちろん、現在の大韓民国が戦時状況ではないため、スポーツスターにティマジオのように自主的に入隊を求める必要はない。プレミアリーグで活躍している奇誠庸(キ・ソンヨン)は最近、インタビューで「祖国に戦争が起きれば戻って戦う」と話した。彼の話がリップサービスではないと信じている。大韓民国にもティマジオに劣らず愛国心があふれるスターが多い。

スポーツや芸術・大衆文化分野のスターが望む場合、兵役義務を円滑に遂行できるように制度を整備するのも必要だ。ティマジオが陸軍野球チームで服務したように、スポーツスターと芸術・文化系のスターが多様な分野で兵役の義務を果たすことができるように制度を多角化するのも考えてほしい。しかも、2020年から陸軍と海兵隊の服務期間は18カ月に減る。服務制度を弾力的に運用するなら、海外に進出しているスポーツ選手やアイドルスターといっても兵役義務を果たすことができない理由もない。例えば、3カ月ずつ6年にわたって服務したり、6カ月ずつ3年に分けて服務したりする方法もある。2カ月ずつ9年でもいいだろう。

資格を備えた人であれば必ず18カ月連続で軍服務をする必要はない。孫興民のような世界的なサッカースターにプレミアリーグの出場をあきらめて18カ月間軍服務を強要するのはナンセンスに近い。彼が海外で活躍しながら国威を宣揚することが公益勤務要員として服務することより価値のあることだと感じるためだ。しかし、サッカースターの孫興民やピアニストのチョ・ソンジン、アイドルスターのジミンならシーズンが休む休息期に3カ月ずつ6年に分けて軍服務をしても良くないだろうか。社会のパラダイムが変わったとすれば、それに見合うように制度も変える必要がある。

チョン・ジェウォン/スポーツチーム長



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