韓国航空宇宙研究院(航宇研)の林チョル虎(イム・チョルホ)院長(66)に会ったのは今月5日、大徳(テドク)研究団地の院長室だった。この日、林院長は午前5時に出勤した。フランス領ギアナで行われる気象衛星「千里眼2A」打ち上げを見守るためだった。午前5時37分(日本時間)に打ち上げられ、約40分後に初の交信に成功した。林院長は「今年3種セットを無事にやり遂げたようだ」と語った。林院長のいう3種セットとは、先月28日の韓国型発射体「ヌリ」の試験用ロケット、今月4日の超小型衛星、そして5日の気象衛星「千里眼2A」の各打ち上げのことだ。妙なことに時期が1週間の間に集中した。林院長は「3種セットはやり遂げたが、実はようやく始まったところ」と付け加えた。
--「ようやく始まった」とはどういう意味か。
「発射体開発目標は2022年に3段式ロケットを作って人工衛星を打ち上げることだ。今回は3段のうち真ん中の2段目の発射体の性能をテストしただけだ。今後も研究と試験、準備を継続していかなくてはならない。実際、羅老島〔ナロド、全羅南道高興郡(チョルラナムド・コフングン)〕では試験用ロケットの打ち上げ成功翌日から研究陣が次の段階の作業に入った」
--打ち上げ失敗への負担はなかったか。
「羅老号が2回失敗したことがあって…。毎週点検目録を作り、正しく行われているか細密にチェックしたことが成功に役立ったようだ。『役人のように根ほり葉ほり確認する』とも言われた」
--ヌリ号打ち上げ成功まで迂余曲折があったようだ。
「外から見ると華やかだが事は3Kの業種だ。研究開発者は単身赴任で羅老島の寮で生活をしながら実験とロケットの組み立てをした。組み立ては工場労働のような肉体労働だ。また、摂氏3000度・100気圧のような危険な状況で実験をする。一歩間違えれば爆発しかねない。これに没頭する人がいるからこそやれることだ」
これに関連し、ロケット開発を総括した韓国型発射体開発事業本部長のコ・ジョンファン(51)は「耐えられなくて辞めていった若い未婚研究員もいる」と伝えた。平日は羅老島で仕事をして週末だけ家に帰る生活を繰り返し、「これでは結婚できない」と考えて離職したということだ。
大田(テジョン)の研究院から羅老島まで長時間運転を繰り返したせいで椎間板ヘルニアになって治療中の研究員もいると話した。再び林院長に聞いた。
--容易くない挑戦だ。途方もない予算も必要だ。それでも発射体を開発する理由が何か。
「まず安保に重要だ。発射体なしで我々が必要な時に安保用の衛星を打ち上げることができるだろうか。また、発射体は宇宙開発の第一歩でもある」
--宇宙開発がなぜ重要なのか。
「産業波及効果が大きく、新産業を創出でき、資源問題などの解決策になりえるからだ。2010年に開発を始めたヌリ号ロケットで説明してみよう。2022年に衛星を搭載した3段式ロケットを打ち上げるまで約2兆ウォン(約2020億円)必要だ。そのうち90%近くが企業約300社に還元される。航宇研は主に設計だけを引き受け、企業に製作を任せる構造のためだ。宇宙プロジェクトにはこのように数多くの企業が参加する。その過程で企業が超精密技術を開発して伝えていくこともまた大きな波及効果だ」
--宇宙開発でどんな新産業が生まれるか。
「米国西部モハーベ砂漠には宇宙旅行会社が10社以上ある。高度100キロを越えて宇宙旅行をして帰ってくるプログラムを準備している。料金は20万ドル(約2255万円)ほどだ。映画女優アンジェリーナ・ジョリーや俳優ブラッド・ピットらが予約したという」
--宇宙旅行の需要は多いだろうか。
「200億ウォンを出して宇宙ステーションに行ってきた百万長者もいるではないか。20万ドルの宇宙旅行にはすでに数百人が列を作ったそうだ。スティーブン・ホーキング博士も予約して他界した。予約金に2万ドルを出したというが…。(※2001年米国人事業家デニス・チトー氏がロシア宇宙船ソユーズを乗って宇宙ステーションに行った。料金は2000万ドルだった)」
--宇宙資源開発は本当に可能なのか。
「欧州のルクセンブルクは国家次元で『スペース・リソーシーズ(space resources)』というプログラムを推進している。小惑星で資源を掘るというものだ。今年初め、スペース・リソーシーズ会議に航宇研も招待されて行った。金承祚(キム・スンジョ)前航宇研院長がルクセンブルク政府の宇宙諮問委員にいる。小惑星で白金のような鉱物を掘ってくると話していた。経済性があると判断しているようだ」
--そのような鉱物がある小惑星を捜し出すこと自体、簡単ではないと思うが。
「関連技術が一層発展してこそ可能だ。宇宙資源開発のような事業をするには投資金が集まらなければならない。いつかは投資家を説得するほど技術が発達することができるとルクセンブルクは考えているようだ」
ロケット打ち上げ成功で韓国も「米国から月ステーション建設の打診」(2)
--「ようやく始まった」とはどういう意味か。
「発射体開発目標は2022年に3段式ロケットを作って人工衛星を打ち上げることだ。今回は3段のうち真ん中の2段目の発射体の性能をテストしただけだ。今後も研究と試験、準備を継続していかなくてはならない。実際、羅老島〔ナロド、全羅南道高興郡(チョルラナムド・コフングン)〕では試験用ロケットの打ち上げ成功翌日から研究陣が次の段階の作業に入った」
--打ち上げ失敗への負担はなかったか。
「羅老号が2回失敗したことがあって…。毎週点検目録を作り、正しく行われているか細密にチェックしたことが成功に役立ったようだ。『役人のように根ほり葉ほり確認する』とも言われた」
--ヌリ号打ち上げ成功まで迂余曲折があったようだ。
「外から見ると華やかだが事は3Kの業種だ。研究開発者は単身赴任で羅老島の寮で生活をしながら実験とロケットの組み立てをした。組み立ては工場労働のような肉体労働だ。また、摂氏3000度・100気圧のような危険な状況で実験をする。一歩間違えれば爆発しかねない。これに没頭する人がいるからこそやれることだ」
これに関連し、ロケット開発を総括した韓国型発射体開発事業本部長のコ・ジョンファン(51)は「耐えられなくて辞めていった若い未婚研究員もいる」と伝えた。平日は羅老島で仕事をして週末だけ家に帰る生活を繰り返し、「これでは結婚できない」と考えて離職したということだ。
大田(テジョン)の研究院から羅老島まで長時間運転を繰り返したせいで椎間板ヘルニアになって治療中の研究員もいると話した。再び林院長に聞いた。
--容易くない挑戦だ。途方もない予算も必要だ。それでも発射体を開発する理由が何か。
「まず安保に重要だ。発射体なしで我々が必要な時に安保用の衛星を打ち上げることができるだろうか。また、発射体は宇宙開発の第一歩でもある」
--宇宙開発がなぜ重要なのか。
「産業波及効果が大きく、新産業を創出でき、資源問題などの解決策になりえるからだ。2010年に開発を始めたヌリ号ロケットで説明してみよう。2022年に衛星を搭載した3段式ロケットを打ち上げるまで約2兆ウォン(約2020億円)必要だ。そのうち90%近くが企業約300社に還元される。航宇研は主に設計だけを引き受け、企業に製作を任せる構造のためだ。宇宙プロジェクトにはこのように数多くの企業が参加する。その過程で企業が超精密技術を開発して伝えていくこともまた大きな波及効果だ」
--宇宙開発でどんな新産業が生まれるか。
「米国西部モハーベ砂漠には宇宙旅行会社が10社以上ある。高度100キロを越えて宇宙旅行をして帰ってくるプログラムを準備している。料金は20万ドル(約2255万円)ほどだ。映画女優アンジェリーナ・ジョリーや俳優ブラッド・ピットらが予約したという」
--宇宙旅行の需要は多いだろうか。
「200億ウォンを出して宇宙ステーションに行ってきた百万長者もいるではないか。20万ドルの宇宙旅行にはすでに数百人が列を作ったそうだ。スティーブン・ホーキング博士も予約して他界した。予約金に2万ドルを出したというが…。(※2001年米国人事業家デニス・チトー氏がロシア宇宙船ソユーズを乗って宇宙ステーションに行った。料金は2000万ドルだった)」
--宇宙資源開発は本当に可能なのか。
「欧州のルクセンブルクは国家次元で『スペース・リソーシーズ(space resources)』というプログラムを推進している。小惑星で資源を掘るというものだ。今年初め、スペース・リソーシーズ会議に航宇研も招待されて行った。金承祚(キム・スンジョ)前航宇研院長がルクセンブルク政府の宇宙諮問委員にいる。小惑星で白金のような鉱物を掘ってくると話していた。経済性があると判断しているようだ」
--そのような鉱物がある小惑星を捜し出すこと自体、簡単ではないと思うが。
「関連技術が一層発展してこそ可能だ。宇宙資源開発のような事業をするには投資金が集まらなければならない。いつかは投資家を説得するほど技術が発達することができるとルクセンブルクは考えているようだ」
ロケット打ち上げ成功で韓国も「米国から月ステーション建設の打診」(2)
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