中国はいわゆる「真珠の首飾り戦略」でパキスタンのグワーダル港~パスニ港~スリランカ南部海岸のハンバントタ港~バングラデシュ・ベンガル湾のチッタゴン港~ミャンマーのベンガル湾ココ島とシットゥウェ港にエネルギー保存基地と海軍の監視・偵察基地を建設済または建設中だ。中東産の原油をマラッカ海峡を避けて陸路から中国西部地域に直送する戦略だ。
長い視野で注目すべき対象はアフガニスタンだ。中国は最西端地域をアフガニスタン・カブール南側の銅の産地と連結する鉄道建設も推進している。世界で最も高い地帯を通過する難工事だが中国特有の「底力」と戦略的必要性から諦めることのできないプロジェクトだ。
インドも野心的なプロジェクトで対抗する。インドはイランのチャーバーハール港とアフガニスタン西部のニームルーズ州(Nimruz)をつなぐ新しい道路建設を支援している。アフガニスタンがイランとエネルギーハイウェイで連結されれば情勢がアフガニスタンに劣らず不安定なパキスタンを避けて海に出ることができる。
このハイウェイはトルクメニスタンの天然ガスをペルシア湾で直送するだけでなくカザフスタンとカスピ海沿岸の天然ガスもこの道からインド洋のペルシア湾に輸送される。中央アジアとインド大陸をつなぐ多くの送油管がアフガニスタンを通過しなければならないということも、今は複雑な内戦に巻き込まれたこの国の圧倒的な戦略的重要性を雄弁に語る。ソ連が79年から89年までアフガニスタンを武力占領したのも中央アジアとカスピ海のエネルギーをペルシア湾に輸出する港を確保するためであった。ソ連はアフガニスタンが「帝国の墓」というアレクサンダー大王以来の歴史的教訓を無視して体制崩壊という高い代価を払った。
インドはイランのチャーバーハール港開発に投資して2005年イランから25年間年間750万トンの液化天然ガスを供給される数十億ドル契約を締結した。米国のイラン孤立政策にあけられた大きな穴だ。インドは軍事的にはすでに保有している核弾頭と長距離弾道ミサイルに加えて航空母艦・潜水艦・イージス艦でインド洋と西太平洋にかけた2大洋海軍を構築している。インド・太平洋はインドの加勢で米国と中国と共に三強大国の2大洋海軍戦略の舞台になった。しかしインドは初代首相のネル首相以来の非同盟の伝統により米国や中国の一方の明示的な同盟になるつもりはない。
韓国の新南方政策に環インド洋沿岸国家、特にその東西部沿岸地域が含まれれば韓半島から陸路で北上した新北方政策がシベリアと中央アジアを経てアフガニスタン~イランエネルギーハイウェイに沿って下っていくペルシア湾で新南方政策と交わることになる。2つの政策の相乗効果がピークとなる地点だ。新南方政策がインドで止まってはならない理由だ。新北方政策と新南方政策が韓半島を中心にユーラシア大陸の半分とインド・太平洋沿岸国全体を引き込んだ膨大な円を描かなければならない。
中国とインドは2大洋海軍を指向するが、軍事的に衝突する可能性は低い。インドはムルアカ海峡入口近くに27個の島で構成されたアンダマン・ニコバル諸島にマラッカ海峡を通過する船舶を監視する警戒所と最新鋭海軍基地を設置した。中国はインドの背後を狙ってパキスタンのグワーダル港を経済・軍事併用として開発を急ぎ、東部アフリカ・アデン湾近隣のジブチ(Djibouti)に中国最初の海外軍事基地を設置した。中国がベンガル湾を戦略的に重要視するのも中東産石油の輸入のマラッカ海峡依存度を最小化するためだ。中国とインドの相互抑止力が戦争の可能性をゼロに接近させる。
中国が南シナ海で攻撃的・好戦的戦略を推進するほどASEANがひとつの力で牽制する動機を付与する。結局ASEANと環インド洋沿岸地域は2030年を峠で軍事よりは経済でその躍動性を発揮するだろう。北朝鮮・パキスタン、北朝鮮・イランのミサイルコネクションも包括的な新南方政策によってのみ断ち切ることができる。
環インド洋は韓国の新南方政策にとって魅力あふれる招待状だ。新北方政策と新南方政策が環インド洋で出会った時はじめて南北に展開した2つの政策が成功することができる。だが、無料の外交はない。インドのニューデリーを環インド洋外交のハブにして、この地域の外交人材を無謀だと思えるほど強化しなければならない。
キム・ヨンヒ/元中央日報論説委員
韓国政府の新南方政策、環インド洋全域に拡大せよ(1)
長い視野で注目すべき対象はアフガニスタンだ。中国は最西端地域をアフガニスタン・カブール南側の銅の産地と連結する鉄道建設も推進している。世界で最も高い地帯を通過する難工事だが中国特有の「底力」と戦略的必要性から諦めることのできないプロジェクトだ。
インドも野心的なプロジェクトで対抗する。インドはイランのチャーバーハール港とアフガニスタン西部のニームルーズ州(Nimruz)をつなぐ新しい道路建設を支援している。アフガニスタンがイランとエネルギーハイウェイで連結されれば情勢がアフガニスタンに劣らず不安定なパキスタンを避けて海に出ることができる。
このハイウェイはトルクメニスタンの天然ガスをペルシア湾で直送するだけでなくカザフスタンとカスピ海沿岸の天然ガスもこの道からインド洋のペルシア湾に輸送される。中央アジアとインド大陸をつなぐ多くの送油管がアフガニスタンを通過しなければならないということも、今は複雑な内戦に巻き込まれたこの国の圧倒的な戦略的重要性を雄弁に語る。ソ連が79年から89年までアフガニスタンを武力占領したのも中央アジアとカスピ海のエネルギーをペルシア湾に輸出する港を確保するためであった。ソ連はアフガニスタンが「帝国の墓」というアレクサンダー大王以来の歴史的教訓を無視して体制崩壊という高い代価を払った。
インドはイランのチャーバーハール港開発に投資して2005年イランから25年間年間750万トンの液化天然ガスを供給される数十億ドル契約を締結した。米国のイラン孤立政策にあけられた大きな穴だ。インドは軍事的にはすでに保有している核弾頭と長距離弾道ミサイルに加えて航空母艦・潜水艦・イージス艦でインド洋と西太平洋にかけた2大洋海軍を構築している。インド・太平洋はインドの加勢で米国と中国と共に三強大国の2大洋海軍戦略の舞台になった。しかしインドは初代首相のネル首相以来の非同盟の伝統により米国や中国の一方の明示的な同盟になるつもりはない。
韓国の新南方政策に環インド洋沿岸国家、特にその東西部沿岸地域が含まれれば韓半島から陸路で北上した新北方政策がシベリアと中央アジアを経てアフガニスタン~イランエネルギーハイウェイに沿って下っていくペルシア湾で新南方政策と交わることになる。2つの政策の相乗効果がピークとなる地点だ。新南方政策がインドで止まってはならない理由だ。新北方政策と新南方政策が韓半島を中心にユーラシア大陸の半分とインド・太平洋沿岸国全体を引き込んだ膨大な円を描かなければならない。
中国とインドは2大洋海軍を指向するが、軍事的に衝突する可能性は低い。インドはムルアカ海峡入口近くに27個の島で構成されたアンダマン・ニコバル諸島にマラッカ海峡を通過する船舶を監視する警戒所と最新鋭海軍基地を設置した。中国はインドの背後を狙ってパキスタンのグワーダル港を経済・軍事併用として開発を急ぎ、東部アフリカ・アデン湾近隣のジブチ(Djibouti)に中国最初の海外軍事基地を設置した。中国がベンガル湾を戦略的に重要視するのも中東産石油の輸入のマラッカ海峡依存度を最小化するためだ。中国とインドの相互抑止力が戦争の可能性をゼロに接近させる。
中国が南シナ海で攻撃的・好戦的戦略を推進するほどASEANがひとつの力で牽制する動機を付与する。結局ASEANと環インド洋沿岸地域は2030年を峠で軍事よりは経済でその躍動性を発揮するだろう。北朝鮮・パキスタン、北朝鮮・イランのミサイルコネクションも包括的な新南方政策によってのみ断ち切ることができる。
環インド洋は韓国の新南方政策にとって魅力あふれる招待状だ。新北方政策と新南方政策が環インド洋で出会った時はじめて南北に展開した2つの政策が成功することができる。だが、無料の外交はない。インドのニューデリーを環インド洋外交のハブにして、この地域の外交人材を無謀だと思えるほど強化しなければならない。
キム・ヨンヒ/元中央日報論説委員
韓国政府の新南方政策、環インド洋全域に拡大せよ(1)
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