JWマリオット・ホテル・ソウルのアメニティはラベンダーの香りが特徴だ。(写真提供=JWマリオット・ホテル・ソウル)
ヘビチCCがオリジナル製作したアメニティ。イタリアの調香師が自ら済州(チェジュ)を訪れ、コッチャワルの森と玄武岩、ミカンの香りが一つになったフレグランスを作った。(写真提供=ヘビチCC)
グラッドホテルはバラの香りが特徴のアメニティを製作して販売中だ。(写真提供=グラッドホテル)
左側からレスケープホテルのルームスプレー、香水、アロマキャンドル。バラの香りが嗅覚をやさしく刺激する。(写真提供=レスケープ ホテル)
フォーシーズンズホテルソウルのアロマキャンドル。販売2カ月で完売した。(写真提供=フォーシーズンズホテルソウル)
ザ・プラザホテルは2016年、ホテルの個性が感じられるいようなディフューザーを発売した。(写真提供=ザ・プラザホテル)
ヘビチホテル&リゾート(以下、ヘビチCC)はイタリアの有名調香師シレーノ・ケローニ氏に依頼して、このホテルのシグネチャーフレグランスを開発した。ケローニ氏はヘビチCCがある済州道(チェジュド)を自ら訪れ、コッチャワルの森や玄武岩、ミカンなどからインスピレーションを得てウッディ系の高級な香りとシトラス系のさわやかな香りを作り出した。ヘビチCCはこの香りをメインとしたシャンプー、コンディショナー、ボディークレンザーなどのアメニティを客室に備え付けている。JWマリオット・ホテル・ソウルも今年8月の再開館に際し、フランス・プロバンス地域で栽培されたラベンダーの香りを強調したシャンプー、コンディショナー、ボディーウォッシュ、ボディーローションなどのアメニティを公開した。
グラッドホテルも今年7月、自然主義コスメティックブランドのBEAUDIANI(ビューディアニ)と共同でバラの香りを使ったシャンプー、コンディショナー、ボディーウォッシュ、ボディーローションなどを製作して販売を始めた。これらホテルは客室の備え付けアメニティの他に販売用としても製作したが、求める人々が増え続けている。
香りという本来の目的にさらに忠実な香水やアロマキャンドル、ディフューザーなどをリリースするホテルも増えている。レスケープホテルはPENHALIGON’S(ペンハリガン)の調香師アリエノール・マスネと氏ともにロマンティックなバラの香りのシグネチャーフレグランスを作り、これを香水やアロマキャンドル、ルームスプレーとして製作し販売している。フォーシーズンズホテルソウルも韓屋(韓国式家屋)からインスピレーションを得た清涼さと爽やかなシトラスの香りが融合したアロマキャンドルを製作した。6月から販売を始めたが2カ月で完売したという。そしてこれらホテルに先駆けて芳香プロジェクトに取り組んだホテルはザ・プラザだ。2016年にホテルの個性を表現した香りをディフューザーとして発売し、これを求める人が増えたことを受けて相次いで車用ディフューザーも製作した。
一流ホテルが芳香に工夫を凝らすのは一体どうしてだろうか。この問いに対する答えは、香りを通じて過去の記憶が呼び覚まされる「プルースト現象」を狙ったものといえるだろう。ヘビチCCのユン・ジスク広報チーム長は「日常に戻った後も香りを通じてホテルで過ごした時間を思い出させるようにしてブランドに対する肯定的なイメージを形成してくれるだけでなく、その後もまた同じホテルを訪れたいと忠誠心を高めるのに役立つ」と説明した。グラッドのようなチェーンホテルは同じ香りのアメニティを共有することによってホテルイメージの統一化を図っている。
利用客の立場からは、ホテルだけで購入できるという希少性が自分の経験を満足させ、これを共有したい人々の好奇心を刺激する。土産用としても人気だ。大型スーパーの製品と比べると値は張るが、ホテルというプレミアムを加えれば「価心比」(多少価格は高いが、心の満足感が得られる)を満たすには充分だ。実際、従来ホテルが使っていた海外有名ブランド製品と比較すると、ほぼ同じか比較的安価だ。JWマリオットソウルのイム・スヨン広報チーム長は「海外有名ブランドのネームバリューで消費される費用を製品自体のクォリティー向上のために投資すれば、はるかによいものとオリジナルの香りでこのホテルだけで経験できる特別なアメニティを製作することができる」と説明した。
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