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【コラム】韓国IOC委員は1人だけ…スポーツ外交官の育成を

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
世界スポーツの大統領はトーマス・バッハだ。ドイツ出身の彼は2013年国際オリンピック委員会(IOC)委員長に選出された。1976年モントリオール・オリンピック(五輪)男子フェンシングフルーレ団体戦で金メダルを獲得した元選手だ。大学で法と政治学を専攻していたおかげで引退後は弁護士とスポーツ行政家として活動した。

バッハが世界スポーツ大統領と呼ばれる理由はIOCの権限が非常に大きく強いためだ。五輪に関するすべての事項をIOCが決める。五輪開催地の決定はもちろん、出場種目や五輪を発展させるための制度を決める権利を持っている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先月、南北首脳会談を通して2032年五輪の南北共同誘致に対してその意思を明らかにした。その通りになれば韓国は1988年に続いて夏季オリンピックの開催は二度目となる。しかし、IOC委員の支持を取り付けることができなければ空念仏になりかねない。

それなら大韓民国のスポーツ外交を担うスポーツ大統領は誰か。韓国のIOC委員は現在2004年アテネ五輪卓球金メダリストのユ・スンミン選手委員1人だけだ。運動選手出身ではない個人資格のIOC委員は1人もいない。1996年IOC委員に選出された李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン会長は2017年8月、健康上の理由でIOC委員職から辞退している。フアン・サマランチIOC委員長と共に世界スポーツ界に大きな影響力を発揮したキム・ウンヨン元委員も昨年他界した。国際柔道連盟(IFJ)会長出身の朴容晟(パク・ヨンソン)元委員も退いて久しい。2022年に冬季オリンピックを開催する中国はIOC委員が3人もいる。また、米国・カナダ・フランス・スイス・イタリアなどもそれぞれ3人のIOC委員がいる。日本は1人だけだったのに、最近2人に増えた。


2018年現在、IOCの現役委員は103人。IOC委員を輩出した国は72カ国だ。定員は115人だが、総員まで余裕がある。資格別にみてみると、個人資格が70人、選手委員は15人だ。また、国際競技団体の代表が15人、各国のオリンピック委員長のうち15人がIOC委員になれる。任期は1999年以前に選出された委員は80歳まで、その後は70歳までだ。選手委員の任期は4~8年だ。

今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を成功させた韓国は、IOC委員を輩出するためにこれまで水面下で努力を重ねてきた。ところが、IOC委員というものは我々がやりたいといって思い通りにできるものではない。影響力が強いだけに特恵も多いIOC委員になるためには、それに見合う資格を備えていなければならない。何よりも教養とスポーツに対する経験が豊富でなければならず、2~3カ国程度の外国語駆使能力も備えていなければならない。リーダーシップと知識・経験も必要だ。そのためIOC委員は給与がない名誉職だが、世界どこへ行っても国賓待遇を受ける。

今年6月、韓国化粧品メーカー「アモーレパシフィック」の徐慶培(ソ・ギョンベ)会長がスイス・ローザンヌのIOC本部を訪ねたことがある。苦労してやっとバッハ委員長に会い、IOC委員になりたいという意中を明らかにしたが、残念なことに拒絶された。IOCが、五輪はもちろん国際スポーツ界に寄与したことがない化粧品メーカーの会長をIOC委員に選ぶわけがなかった。正しい未来党の李銅燮(イ・ドンソプ)議員は「青瓦台(チョンワデ、大統領府)の実力者が国内スポーツ界はもちろん国際スポーツ分野にも専門性のない人物をIOC委員に推薦して恥だけをさらした。徐会長をIOC委員に推薦すると一部のIOC委員は非常に当惑していた」と主張した。

韓国にとってIOCと国際スポーツ界の敷居は依然として高い。その敷居を越えるためには世界スポーツ外交舞台で粘り強く活動するほどの人物を育成しなければならない。それでも政府はスポーツと全く関連がない人物を推して正面から恥をかいた。IOC委員も政府傘下機関のように天下り式にやれば思い通りできると思ったのだろうか。青瓦台が無理を言えばIOCも無条件でOKすると思っていたようだ。まだ体育を政治の奴隷のようにみなしているのが問題だ。スポーツを甘く見て、好き放題の挙げ句に滅びた事例は崔順実(チェ・スンシル)1人で充分だ。

チョン・ジェウォン/スポーツチーム長



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