その後18年間、一度もこのときのような慶事は起きなかった。とにかく、世界10位経済大国と「ノーベル賞1人輩出」はあまり釣り合わない。小国であるルクセンブルク(3人)、ルーマニア(3人)、クロアチア(2人)、リトアニア(1人)も受賞者を輩出した。スウェーデンと地理的・文化的親和性があるにはあるが、昨年米国ポップ歌手ボブ・ディラン(Bob Dylan)を文学賞受賞者として発表した時は論争を呼んだりもした。彼の低音声に混ざった抵抗メッセージが核戦争に対する重々しい警告音であることは世の中が十分知っているが、ノーベル文学賞までは想像することができなかっただろう。水原市(スウォンシ)が用意した「高銀(コ・ウン)創作室」の前で待機中だった取材陣は虚しい気持ちで散った。
今年、高銀創作室はうら寂しいことこの上ない。スウェーデン・アカデミー文学賞審査委員のうち1人が#MeToo(ハッシュタグミートゥー)の告発によって謹慎中だ。文学賞に最も近かった高銀詩人も同じ境遇だ。真偽がどうであろうと、韓国近現代史の恨(ハン)と苦悩を詩に格上げした『萬人譜』のような力作が地に埋もれてしまうのではないかと心配だ。今年の文学賞はそのような事情で休業したというので、他の種目でも覗くほかない。