2015年2月、仁川(インチョン)の永宗(ヨンジョン)大橋で106台の追突事故が発生した。濃霧のため可視距離が短くなった車が前の車に突っ込み、約120人の死傷者が発生した。この事故をきっかけに永宗大橋にはレーダーセンサーを通じて車の事故など突発状況をリアルタイムで感知する「突発状況レーダー検知システム(スマートIDS)」が導入された。中堅ソフトウェア会社メタビルドが10年間に約60億ウォン(約6億円)を投入して世界で初めて開発した。
同社のチョ・プンヨン代表(58)は18日、中央日報に対し「交通事故や災難を予防できる安全関連技術」とし「欧州と中国にも輸出した」と紹介した。しかしチョ代表の新技術自慢は「クモの巣のような細かな規制」に対する糾弾に変わった。世界で初めて開発したこの新技術さえも規制に阻まれ、トンネルや地下車道には適用されていない。昨年から韓国SW・ICT総連合会常任議長を務めているチョ代表は「レーダー検知システムは一つの事例にすぎず、このようなケースは少なくない」とし「後輩に事業をしやすい環境を譲り渡すためにも苦言を呈する必要がある」と声を高めた。以下は一問一答。
--どんな規制がスマートIDSの障害になるのか。
「道路とトンネルの防災施設を設ける際、『道路トンネル防災施設設置及び管理指針』が適用される。ここで交通・火災事故を検知する装備を『映像設備』と定義している。CCTVをいうが、レーダーを通じて見えない動きまで感知するIDS技術は入り込む余地がない。1年近く国会と国土交通部を訪ね歩いている。しかし『もう少し検証してみよう』という返答ばかりだった」
--このような事例はほかにもあるのか。
「SW・ICT総連合会の会員会社のうち遠隔制御技術を開発した会社がある。米ゼネラルエレクトリック(GE)が航空機のエンジンにセンサーを付着し、遠隔でモニタリングする原理と似ている。遠隔規制を緩和するだけでモニタリング管制分野で相当な雇用を創出できるが、国内では国家情報院施設保安規定のため遠隔接近が基本的に不可能だ」
--では、どう変えるべきなのか。
「簡単だ。クモの巣のように条項をならべる列挙式でなく、『どのような性能を満たさなければいけない』とだけ明示すればよい。政府や地方自治体は制度の運用が容易になり、企業側は創意性を発揮できる」
--現場で経験するそのほかの困難は。
「優秀新技術(NET)や優秀新製品(NEP)、優秀調達製品(P)など現行新技術認証制度があまりにも複雑だ。認証を単一化し、随意契約を拡大しなければいけない。政府が新技術を持つ専門企業を支援するには随意契約予算を現行の10%から20%に増やして『呼び水』としなければいけない」
--とはいえ、政府の支援は過去に比べてかなり増えているのでは。
「補助金を与える政策は実効性が落ちる。良い商品を売って適正価格を受ければよい。最低価格を書いてこそ落札できる制度も問題だ。技術で最高点を受けても脱落するケースが多い。最低価格競争でどのように世界市場に出ていくのか。先進国のように最高価値の入札制を拡大しなければいけない」
--政府はなぜ変わらないのか。
「官僚は規定があってこそ動く習性がある。1960年代から根付いている。今は企業に対する愛情も足りないようだ。先日、ある後輩から『事前に約束しても公務員と5分会うのが難しい』という話を聞いた。公務員と企業関係者がサンドイッチを食べながら問題を解決する先進国の文化がうらやましい。人事評価を現場連係型に変えるべきだ。第4次産業革命時代には公務員も革新と連係して評価されなければいけない。成功すればインセンティブを与え、失敗しても免責して応援する文化が必要だ」
--大企業との協力関係はどうか。
「投資と雇用が減れば政府は当然、大企業に駆けつける傾向がある。大企業主導のトリクルダウン効果が小さいことはすでに確認されている。大企業が最も多く、1次協力会社がその次に多く、2次協力会社はそれよりも少なく得る『多段階マージン共有』市場にすぎない。革新成長の主役は技術企業になるべきだ」
◆チョ・プンヨン代表=真露と東遠グループを経て1998年にSW会社メタビルドを創業。昨年3月にソフトウェア・情報通信技術関連機関・団体およそ100カ所が集まって設立した韓国SW・ICT総連合会の常任議長と韓国SW産業協会の首席副会長、大統領直属第4次産業革命委員会の科学技術革新委員などとして活動している。
同社のチョ・プンヨン代表(58)は18日、中央日報に対し「交通事故や災難を予防できる安全関連技術」とし「欧州と中国にも輸出した」と紹介した。しかしチョ代表の新技術自慢は「クモの巣のような細かな規制」に対する糾弾に変わった。世界で初めて開発したこの新技術さえも規制に阻まれ、トンネルや地下車道には適用されていない。昨年から韓国SW・ICT総連合会常任議長を務めているチョ代表は「レーダー検知システムは一つの事例にすぎず、このようなケースは少なくない」とし「後輩に事業をしやすい環境を譲り渡すためにも苦言を呈する必要がある」と声を高めた。以下は一問一答。
--どんな規制がスマートIDSの障害になるのか。
「道路とトンネルの防災施設を設ける際、『道路トンネル防災施設設置及び管理指針』が適用される。ここで交通・火災事故を検知する装備を『映像設備』と定義している。CCTVをいうが、レーダーを通じて見えない動きまで感知するIDS技術は入り込む余地がない。1年近く国会と国土交通部を訪ね歩いている。しかし『もう少し検証してみよう』という返答ばかりだった」
--このような事例はほかにもあるのか。
「SW・ICT総連合会の会員会社のうち遠隔制御技術を開発した会社がある。米ゼネラルエレクトリック(GE)が航空機のエンジンにセンサーを付着し、遠隔でモニタリングする原理と似ている。遠隔規制を緩和するだけでモニタリング管制分野で相当な雇用を創出できるが、国内では国家情報院施設保安規定のため遠隔接近が基本的に不可能だ」
--では、どう変えるべきなのか。
「簡単だ。クモの巣のように条項をならべる列挙式でなく、『どのような性能を満たさなければいけない』とだけ明示すればよい。政府や地方自治体は制度の運用が容易になり、企業側は創意性を発揮できる」
--現場で経験するそのほかの困難は。
「優秀新技術(NET)や優秀新製品(NEP)、優秀調達製品(P)など現行新技術認証制度があまりにも複雑だ。認証を単一化し、随意契約を拡大しなければいけない。政府が新技術を持つ専門企業を支援するには随意契約予算を現行の10%から20%に増やして『呼び水』としなければいけない」
--とはいえ、政府の支援は過去に比べてかなり増えているのでは。
「補助金を与える政策は実効性が落ちる。良い商品を売って適正価格を受ければよい。最低価格を書いてこそ落札できる制度も問題だ。技術で最高点を受けても脱落するケースが多い。最低価格競争でどのように世界市場に出ていくのか。先進国のように最高価値の入札制を拡大しなければいけない」
--政府はなぜ変わらないのか。
「官僚は規定があってこそ動く習性がある。1960年代から根付いている。今は企業に対する愛情も足りないようだ。先日、ある後輩から『事前に約束しても公務員と5分会うのが難しい』という話を聞いた。公務員と企業関係者がサンドイッチを食べながら問題を解決する先進国の文化がうらやましい。人事評価を現場連係型に変えるべきだ。第4次産業革命時代には公務員も革新と連係して評価されなければいけない。成功すればインセンティブを与え、失敗しても免責して応援する文化が必要だ」
--大企業との協力関係はどうか。
「投資と雇用が減れば政府は当然、大企業に駆けつける傾向がある。大企業主導のトリクルダウン効果が小さいことはすでに確認されている。大企業が最も多く、1次協力会社がその次に多く、2次協力会社はそれよりも少なく得る『多段階マージン共有』市場にすぎない。革新成長の主役は技術企業になるべきだ」
◆チョ・プンヨン代表=真露と東遠グループを経て1998年にSW会社メタビルドを創業。昨年3月にソフトウェア・情報通信技術関連機関・団体およそ100カ所が集まって設立した韓国SW・ICT総連合会の常任議長と韓国SW産業協会の首席副会長、大統領直属第4次産業革命委員会の科学技術革新委員などとして活動している。
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