米国政府は文在寅（ムン・ジェイン）大統領の北朝鮮訪問直前まで対北朝鮮制裁の必要性を強調し、北朝鮮の非核化に圧力を加えた。

米国務省は現地時間の１７日午後４時４０分（日本時間１８日午前５時４０分）ごろ、「ポンペオ国務長官が康京和（カン・ギョンファ）韓国外交長官と昨日に続いて今日もまた電話会談をし、北朝鮮問題を議論した」という発表文を出した。文在寅（ムン・ジェイン）大統領と随行団が専用機で北朝鮮に向けて出発する３時間ほど前にだ。

米国務省は発表文で「ポンペオ長官と康長官はまもなく開催される文在寅大統領と金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の南北首脳会談について議論した。両国長官は南北対話と協力、そして北朝鮮の非核化問題で今後も緊密に協力していくことを約束した」と強調した。


続いて「（韓米）両国は強い韓米同盟、共通の目標である『北朝鮮の最終的で完全かつ検証された（ｆｉｎａｌ，ｆｕｌｌｙ　ｖｅｒｉｆｉｅｄ）非核化（ＦＦＶＤ）』を実現させるまで圧力（ｐｒｅｓｓｕｒｅ）を維持することが重要であることを再確認した」と伝えた。こうした約束（ＦＦＶＤ）は金委員長が同意（ａｇｒｅｅ）したことだという事実も強調した。

北朝鮮訪問直前に韓米の外交トップが２日連続で電話会談をした点、それを発表文の形で急いで出した点も異例だ。

これに先立ちポンペオ長官はこの日午後１時ごろ（現地時間）、ツイッターで「世界的な制裁は（北朝鮮の）非核化を達成するための努力において必須の部分」と主張した。

ポンペオ長官は対北朝鮮制裁決議違反問題に関連してこの日開かれた国連安全保障理事会（安保理）緊急会合に触れ、「米国は今日、北朝鮮に対する制裁およびロシアの積極的な制裁遵守弱化の動きについて議論するため安保理会合を招集した」とし「我々はいつもと同じようにこれ（国際的制裁）を履行することに専念している」と述べた。米国務省側はこの日晩、「文大統領の今日の訪朝に対する米政府の立場を知らせてほしい」という中央日報のの論評要請にも直ちに返答してきた。

米国務省は論評でＦＦＶＤは韓米共同の目標であることを改めて強調した後、「米韓日は北朝鮮に『統一された対応（ｕｎｉｆｉｅｄ　ｒｅｓｐｏｎｓｅ）』をするために緊密に連携することを約束している」と強調した。また「文大統領が述べたように南北関係の改善は北朝鮮の核プログラム解決と分離して進むことはできない」と付け加えた。

このように米政府が文大統領の北朝鮮訪問直前までさまざまな形で対北朝鮮制裁の重要性、さらには「最終的で完全かつ検証された非核化」という従来の米国の目標を繰り返し強調したのは２つの側面で解釈が可能だ。

一つは、金委員長に対して今回の３回目の南北首脳会談で進展した非核化措置を出すことを促したと見ることができる。膠着している米朝交渉をまた軌道に乗せるため、文大統領は金委員長の肉声や実質的な文書を通じて「具体的な非核化措置」を引き出すべきという圧力だ。

もう一つは韓国に向けたメッセージということだ。非核化に対する北朝鮮の具体的な措置がない状況で韓国が南北経済協力に入る場合、ＦＦＶＤという対北朝鮮政策目標自体がこじれるという懸念がある。

康長官が訪朝前日の１７日、ポンペオ長官に南北首脳会談で準備していることを項目別に４０分間にわたり詳細に説明したにもかかわらず、１８日にまた電話会談をした点は意味深長だ。調整がうまくいっていないという見方も出ている。

しかしワシントンの外交筋は「韓米外相が２日連続で電話会談をしたというのは、調整がうまくいっていないというより、米国側が韓国を通じて金委員長に伝えようとする『特別メッセージ』があったためと考えられる」と伝えた。