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韓国の対北朝鮮特使団の胸から消えた太極旗(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

2005年6月に平壌を訪問した当時の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官と政府民間代表団の胸に太極旗のバッジが見える(上の写真)。今年3月、鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台国家安保室長ら特使団が金正恩(キム・ジョンウン)委員長と記念撮影をしている(下の写真)。

外交舞台で特使は国家・体制間の冷え込んだ関係を緩和したり、ふさがった道を開いたりする。時には一触即発の危機状況で消防士の役割もする。南北対峙という現実の中では分断の壁を隠密に行き来したりもする。公開的に特使が行き来する時はスポットライトを浴びることもある。しかし手ぶらで戻ったり失敗したりすれば非難があふれる。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長をはじめとする5人の対北朝鮮特別使節団が今日、平壌(ピョンヤン)を訪問する。3月初めの特使訪問以来6カ月ぶりだ。今回の北朝鮮訪問はこじれた南北関係と北核問題、韓半島(朝鮮半島)周辺情勢を快刀乱麻を断つように解決するのだろうか。対北朝鮮特使をめぐる問題と政府の悩みに注目してみる。

「ソウル放送(SBS)の史劇『女人天下』を私は80話まで見た。ナンジョン役のカン・スヨンの演技が特に印象的だった。ヨンスン書記はどれほど見たのか」。金正日(キム・ジョンイル)総書記の突然の質問にキム・ヨンスン労働党統一戦線担当書記は当惑しながら「私は20話まで…」と言葉を濁した。すると笑い声が起きた。

2002年4月4日夜、平壌(ピョンヤン)百花園招待所。2時間にわたり林東源(イム・ドンウォン)対北朝鮮特使と会談をした金正日総書記は、続く夕食会で特有の誇張したジェスチャーとユーモアを混ぜて歓談を続けた。金総書記は林東源大統領外交安保統一特補に「特使先生も『共同警備区域JSA』という映画を見たでしょう」とし「私たちの南北間の現実をよく表していた。『シュリ』に比べてはるかに良くなった」と評価した。韓国社会をよく眺めているというように「ヘウニの歌『カムスグァン』、羅勲児(ナフナ)の『カルムリ』もよい」と声を高めた。このような金正日総書記の言葉に林特補は当惑するしかなかった。1200万人近い観客を動員したヒット作『共同警備区域JSA』を見ていなかったうえ、テレビドラマも見る余裕がなかったからだ。


和気あいあいとした夕食会の雰囲気から分かるように特使の派遣は成功だった。ブッシュ政権の対北朝鮮軍事行動の可能性まであった韓半島(朝鮮半島)情勢と南北関係はなんとか対話と交渉の局面に復元された。ソウル・平壌で同時に発表された共同声明文には南北関係の復元と鉄道・道路連結、離散家族再会、軍事当局間会談など多くの合意内容が盛り込まれた。板門店(パンムンジョム)を通って帰還した林特補が記者に「良い知らせを持ち帰ったので多くの紙面を確保しておいてほしい」と話すほどだった。

対北朝鮮特使の派遣や北朝鮮最高指導者との会談は容易なことではなかった。南北閣僚級会談のために2000年8月に平壌に行った朴在圭(パク・ジェギュ)統一部長官は、金正日総書記との会談のため夜中に列車に乗って咸鏡道(ハムギョンド)の招待所に駆けつけた。当時、ソウルからは「金正日総書記との会談にこだわるな」と訓令が出たが、朴長官は国防長官会談の実現などを貫徹させるためには金正日総書記と会わなければいけないという判断で強行したという。2005年6.15統一大祝典団長として北朝鮮を訪問した鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、現地で特使に任務を変更して金正日総書記との会談を実現させた。北朝鮮は鄭長官一行の北朝鮮入国当時、「空軍の訓練で飛行場が慌ただしい」「平壌上空で雷が発生している」などと言って2時間以上も航空日程を遅延させたりもした。林東源特補も2003年1月の特使訪問時は北核問題の議論などで成果を出すことができなかった。当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領側から李鍾ソク(イ・ジョンソク)引き継ぎ委員(元統一部長官)が同行したが、北朝鮮は金正日総書記との会談など南側の提案に応じなかった。

北朝鮮体制の特性上、最高指導者との会談は対北朝鮮特使の成否を左右する。先月末、 ポンペオ米国務長官の4回目の北朝鮮訪問が突然中止になったのもこうした側面のためだ。非核化合意の履行より終戦宣言と平和協定の締結にこだわる北朝鮮の態度をみると、特使派遣は意味がないとトランプ大統領が判断したのだ。金正恩(キム・ジョンウン)委員長との会談が約束されていない状況も考慮された可能性が高い。

金正恩委員長は3月5日、鄭義溶特使一行が平壌に到着すると、午後6時に会談した。夕食会には李雪主(イ・ソルジュ)夫人と妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長が同席して和やかな雰囲気を演出した。最後まで会談が実現するかどうかという心配を特使団に抱かせた金正日時代の旧態は繰り返さないという意味と解釈された。



韓国の対北朝鮮特使団の胸から消えた太極旗(2)


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