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【コラム】青瓦台の誰が「バカ」で誰が「悪党」なのか=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
夏休みに西海岸に行った。車を運転して忠南(チュンナム)・全北(チョンブク)の海辺を回ったが、その途中で多くのトンネルを通過した。

長くて暗いトンネルの中を走る時は周囲がよく見えない。遠くの明るい光が入るトンネルの最後だけを見ることになる。いわゆるトンネル視野(Tunnel Vision)現象だ。酒に酔った時に視野がぼやけるのと似ているため「泥酔効果」ともいう。個人的にはこのように突然視野が狭くなると妙な圧迫感を感じる。それでトンネルでの運転を嫌う。

実際のトンネルのほかに心理的なトンネル視野現象もある。あることに没頭し、周辺状況の判断が曇ることをいう。すなわち、木を見て森を見ないケースだ。これも気づくと突然バカになったように不快になる。


さらに腹が立つのはトンネル視野効果を利用して誰かが自分をだまそうとする時だ。公共機関やいわゆる専門家もそのようにする時がある。彼らは主に数字とチャートで「いたずら」をする。数字には力がある。具体的な数字を見せられると、とりあえず「そうなのか」と信じてしまうのが人の心理だ。さらに数字を直観的に見せるチャートまで結びつければ力は倍増する。

トンネル視野現象を利用する人たちは(チャートの)x軸やy軸を大胆に切断して一部だけを見せたり、目盛りと目盛りの距離を伸ばしたり(中略)巧妙な技術を使って小さいものを大きく、大きいものを小さく表現し、自分たちが見せたいものだけを見せる(ゲルト・ボスバッハ『統計の嘘』)。

先日の青瓦台カードニュースのチャートがそうだった。「家計の所得増加率が良くなっている」とし、最近の2.1%を過去の2.8%より高く描いた。「雇用の質が良くなっている」として0.2ポイントと0.9ポイントの差の勤労者比率を同じ傾きで描いたりした。批判を受けると、担当者はデザイナーが手で作業をして生じたことだと主張した。「意図はなかった」ということだ。

国家データチャートをいちいち手で描くというのも、それで誤ったという弁解も理解に苦しむしか無い。ドイツの統計学者ディタ・ホフシュテッターは数字を操作する人たちを2つに分類した。「バカ」(技法を知らず誤った統計を作成する人)か、「悪党」(特定集団の利益のために統計を悪用する人)だ。

トンネルビジョンを抜け出すには目を大きく開いて、ゆっくりと周囲を眺めなければいけない。トンネルが嫌いだからといって遠回りするのは解決策でない。心理的トンネルビジョンも同じだ。統計と数値をともに信じないのは問題だ。「数字自体を否定するより、数字を正しく活用する方法を悩む」(『統計の嘘』)のがよい。だから目を大きく開いてよく見よう。誰が「バカ」で、誰が「悪党」なのか。

キム・ハンビョル/デジタルコンテンツラボ長



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