昨年11月、ベトナム・ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で文在寅大統領(右)と安倍晋三首相(左)が互いに反対方向を見ながら他の首脳と話を交わしている。(写真=韓経DB)
鞠重鎬著『流れの韓国 蓄積の日本』
横浜市立大学国際総合科学部の鞠重鎬(クク・ジュンホ)教授が書いた『流れの韓国 蓄積の日本』(原題)は、経済だけでなく文化、社会、政治の側面で日本が韓国とどのように異なり、その違いはどこから由来したものかを深く掘り下げる。「広くて浅い」韓国と「狭くて深い」日本、「デジタル」韓国と「アナログ」日本、「流れ」の韓国と「蓄積」の日本で区分する。三軸は経済にも適用される。韓日間の経済的な違いは3部で集中的に扱っている。
著者はアベノミクスに批判的にアプローチしている。日本は失われた20年という表現を使っているが、経済成長率で見ると、「失われた時期」は今も続いているという。2013年2.6%だった日本の経済成長率は、2017年には1.6%にすぎなかった。著者は「株価と雇用率は上昇したが、成長率が高まったわけではない」とし「利率が低い状況での金融緩和は、実物投資増大でなく貨幣保有増加につながり、流動性のわなに陥りかねない」と警告する。
著者は特に、バブル経済崩壊後に国の負債が大きく増えた日本の前轍を韓国が踏むおそれがあると懸念する。少子高齢化による社会保障関連の支出が日本の国家債務を増やした最大の要因だった。著者は「韓国の高齢化は日本をはるかに上回る速度で進行中」としながら「政府の負債が増えても家計金融資産や海外資産が多い日本とは違い、韓国の家計負債は深刻な状況」という点も強調した。
「日本は求人難、韓国は求職難」に苦しめられる現象に関しては、それぞれ違う現実を認知した後に対策を探るべきだという立場だ。日本の求人難は少子化に伴う年齢帯別人口数の変化が決定的だった。加えて、日本は韓国と違って地域経済が発展していて中小企業が強いという違いを考慮に入れなければならないという。著者は「蓄積の日本は技術を蓄積して専門性を発揮することが強みだが、スピード感は不足する」とし「反面、流れの韓国は良くも悪くもあまりに頻繁に変更する傾向があり、『蓄積の安定性』を適切に活用する知恵が必要だ」と助言する。
韓経:【BOOK】日本の「失われた20年」に似つつあるが…韓国Jノミクスはどこへ向かうのか(2)
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