1970年代後半のソウル市内の犬鍋店通り。当時犬鍋店は普通に大衆飲食店と呼ばれた。(写真=中央フォト)
犬肉の食用をめぐる議論はきのうきょうのことではない。海外でも「犬を食べるのは未開な行動」として大部分が好ましくない視線を送る。
◇五輪やアジア大会など国際大会控えて議論
犬肉の食用が国際社会で問題になり始めたのは1980年代からだ。1984年に韓国政府は86年のアジア大会と88年のソウル五輪を控え、犬鍋と蛇スープの食堂を閉鎖することにしたが、この内容がアラブの新聞に大きく載せられた。
この報道が出た1カ月後には米ボストンにある国際動物福祉基金のスタッフ2人が韓国を訪問したこともあった。米国市民が「韓国人は犬肉を食べているのに動物保護団体は何をしているのか」と抗議し実態調査のために韓国を訪れたのだ。この団体は五輪が開かれた年にも「韓国人の野蛮な食」をなくすために100万人の署名を集めるキャンペーンを進めたりもした。また、五輪後の大統領欧州歴訪の際も韓国の犬鍋を問題にして欧州の韓国大使館で抗議デモをした。
以降も国際的な行事があるたびに犬肉食をめぐる議論は続いた。2002年の韓日ワールドカップを1年後に控えフランスの女優ブリジット・バルドーがあるラジオ番組のインタビューで「犬を食べるのは文化ではなく野蛮な行動だ。全世界のサッカーチームに送る」と話して一方的に電話を切った。
米国のある非政府組織(NGO)はワールドカップ当時、韓国の犬肉食に抗議するキャンペーンを展開した。当時韓国のすべてのメディアと大使館に犬肉食に反対する内容の文書を送り、米国の政治家に韓国との貿易を展開する際に圧力を加えてほしいと要求したりもした。
◇平昌五輪控えても「犬肉食」再びやり玉に
2018平昌(ピョンチャン)五輪の開催国に選ばれてからも犬肉食文化はまたやり玉に上げられた。2016年2月に英国議会のサイトに「韓国の犬肉食を止めるよう勧告してほしい」という請願が上げられ、6カ月間で10万人を超える人が署名した。
韓国人の犬肉食に対する英国人の反対世論が激しくなると、英国人女性2人が光化門(クァンファムン)広場でこれを反対するデモを展開したりもした。それだけでなくイタリアの女性政治家は「韓国で犬鍋を食べる風習を中断しなければ欧州連合(EU)次元で平昌五輪不参加を要求する」と明らかにした。
韓国の犬肉食文化を非難する視線は現在まで続いている。韓国人であれば無条件で犬肉を食べるものと決めつけて差別する場合も多い。5月に李承佑(イ・スンウ)選手(エラス・ヴェローナ)はイタリアのプロサッカーリーグ・セリエAで名門ACミランを相手にデビューゴールを決めても笑うことができなかった。イタリア地域放送の解説者がイ選手について「ACミランを相手に得点したよりも犬肉で作ったサンドイッチを食べる選手としてさらに有名になるだろう」と話したためだ。イ選手は該当中継陣を名誉毀損で告訴すると明らかにしている状況だ。
◇ひとつの文化として尊重しようという見方も存在
韓国の犬肉食文化に対し否定的な世論だけがあるのではない。ひとつの文化として尊重すべきという見解もある。2016年に死去したイタリアの哲学者ウンベルト・エーコ(ボローニャ大学教授)が代表的だ。彼は2002年のある対談で韓国の犬肉食文化を擁護した。「どんな動物を捕まえて食べるかの問題は人類学的な問題だ。相異する文化圏にそれぞれ異なる慣習が存在するという事実を理解しなければならない」ということだ。
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