2015年10月27日、中国・南京の新港経済開発区で開かれたLG化学南京バッテリー工場竣工式。具本茂(ク・ボンム)会長をはじめとする当時のグループ首脳部が「総出動」した。LGグループ経営陣は「年間23万台の生産能力を2020年までに段階的に4倍以上に増やす」という内容の中長期投資計画を野心的に発表した。これより5日前にはサムスンSDIが西安に年産15万台規模のバッテリー工場を竣工した。世界最大の電気自動車市場である中国のバッテリー市場を先取りするという戦略だった。
だがわずか3~4カ月で中国ではこうした現地化戦略を実現しにくいことを悟った。中国政府は2016年1月から電気バスと電気自動車の補助金支給基準を新たに定め、外国企業の電気自動車バッテリー製造と販売を規制した。LG化学は2016年以降に中国の自動車メーカーから受注した電気自動車用バッテリーは事実上「ゼロ」に落ち込んだ。同社は規制がなかった2015年まで累積で100万台以上受注した。
韓国企業の空席に食い込んだのはCATLやBYDなど中国のバッテリーメーカーだ。市場調査機関SNEリサーチによると上半期のCATLの電気自動車用バッテリー出荷量は571万3600キロワット時で前年同期より324.4%急増した。
世界市場でのシェアは19.1%で1位のパナソニックの19.9%に0.8ポイント差まで追いついた。世界最大の電気自動車メーカーBYDが10.9%で3位に上がった。昨年2位だったLG化学は4位に、5位だったサムスンSDIは6位に押し出された。
世界市場で勢いに乗る中国のバッテリーメーカーは国主導の緻密な産業育成戦略を生々しく見せる実証事例に挙げられる。巨大な市場をアピールして海外先進企業の投資を誘導した後に大規模補助金と市場規制を活用して外国企業を牽制し自国企業を育てる。こうした方式で技術と資本を蓄積した中国企業は海外に進出してグローバル企業と競争する。
◇BMWのパートナーになったCATL
先月10日にドイツのベルリンから飛び込んできた外信ニュースは韓国のバッテリー業界を騒然とさせた。中国の電気自動車バッテリーメーカーCATLがドイツ中部都市エアフルトに電気自動車用バッテリー工場を設立する覚書を結ぶという内容だった。初期投資費用と人件費を減らそうとハンガリー(サムスンSDI)やポーランド(LG化学)など東欧に主に投資した韓国企業とは発想から違った。
CATL創業者の曾毓群会長は「欧州のすべての自動車メーカーにバッテリーを供給したい。欧州に追加で工場を作る」と話した。中国の李克強首相が直接ドイツに来て覚書締結現場を見守った。
ドイツに本社を置くBMWは安定したバッテリー供給元を増やすために40億ユーロ相当のバッテリーをCATLから購入することにした。BMWは今後CATLの株式4億2600万ドル(全株式の1.6%規模)相当を取得できる権利も確保して協力関係を強化した。BMWはこれまでサムスンSDIから電気自動車用バッテリーを独占供給されていた。韓国のあるバッテリーメーカーの最高経営責任者(CEO)は「一段格下と考えていた中国バッテリー企業が韓国を追い越し始める契機になるようだ」と打ち明けた。
10年前だけでも状況は異なった。パナソニックを中心とした日本企業が独走し、LG化学とサムスンSDIが追撃する局面だった。携帯用二次電池は1991年にソニーが初めてリチウムイオン電池を開発した後、日本企業を中心に技術が発展した。LGとサムスンなど韓国企業が研究開発に本格参入した時期も1995年ごろだった。ウォークマン、ノートブック、携帯電話に使われる小型バッテリーが主力製品だった。
◇速戦即決で産業育成
グローバル市場の構図が揺れ動いたのは2010年に入り世界で電気自動車の量産が本格化してからだ。アップルにバッテリーを納品していたATLの共同創業者の曾会長がATLを出てCATLを創業したのが2011年だ。ガソリンや軽油を燃料に使う内燃機関で数百年間技術を蓄積してきたBMWやゼネラルモーターズ(GM)のような先進国の自動車との競争は厳しいと判断した中国政府が電気自動車と電気自動車バッテリー産業の育成に出て市場の構図が変わった。
中国政府は2015年に中国の新成長企業育成戦略を盛り込んだ「中国製造2025計画」を発表した後、翌年1月から補助金規制を施行した。政府がさまざまな基準に基づいて電気自動車補助金を受けられる車両を審査した後に補助金支給対象車両を公開する方式だ。2016年末以降、LG化学とサムスンSDIがバッテリーを供給した電気自動車が補助金を受けたことは一度もない。業界関係者は「補助金支給細部基準だけでなく支給対象から除外されたという事実も該当企業にはきちんと知らせてくれない」と悔しさをにじませた。
◇韓国も成長産業育てなくては
中国の電気自動車は政府補助金なくして価格競争力を持つことができない。車1台当たり直接支給する補助金が10万元(約162万円)に達する上に車両購入税免除、最大85%の車両購入資金貸し付けなど多様な恩恵を与えているためだ。KOTRA長沙貿易館のキム・ジョンボク館長は「一部の大都市では電気自動車が車両2部制から除外され、内燃機関自動車の購入も一定の割合以下に制限しており、中国市場の電気自動車販売は爆発的に増える見通しだ。韓国企業は無防備な状態でやられている」と伝えた。
中国のバッテリーメーカーは政府補助金と海外企業を差別する巧妙な規制を通じて技術と資本を蓄積した後に海外に進出している。CATLが昨年収めた売り上げは3兆4055億ウォン、営業利益は8389億ウォンに達する。営業利益率は24.6%だ。業界関係者は「CATL、BYDなど中国のバッテリーメーカーは事実上外部競争者がない状況で安定した収益を得ている」と話す。
これに対しLG化学とサムスンSDIはこれまで電気自動車用バッテリー市場で年間基準で営業利益を出したことは一度もない。携帯電話用小型バッテリーで稼いだ収益を研究開発と設備投資に注ぎ込んでいるためだ。ソウル大学国際大学院のアン・ドックン教授は「中国が自国の巨大市場と非関税障壁を掲げた保護貿易主義を活用してグローバル通商政策のパラダイムが変わっている。新産業と親環境産業に対する官民研究開発投資を強化することが韓国政府ができる最善の対応策だ」と話している。
だがわずか3~4カ月で中国ではこうした現地化戦略を実現しにくいことを悟った。中国政府は2016年1月から電気バスと電気自動車の補助金支給基準を新たに定め、外国企業の電気自動車バッテリー製造と販売を規制した。LG化学は2016年以降に中国の自動車メーカーから受注した電気自動車用バッテリーは事実上「ゼロ」に落ち込んだ。同社は規制がなかった2015年まで累積で100万台以上受注した。
韓国企業の空席に食い込んだのはCATLやBYDなど中国のバッテリーメーカーだ。市場調査機関SNEリサーチによると上半期のCATLの電気自動車用バッテリー出荷量は571万3600キロワット時で前年同期より324.4%急増した。
世界市場でのシェアは19.1%で1位のパナソニックの19.9%に0.8ポイント差まで追いついた。世界最大の電気自動車メーカーBYDが10.9%で3位に上がった。昨年2位だったLG化学は4位に、5位だったサムスンSDIは6位に押し出された。
世界市場で勢いに乗る中国のバッテリーメーカーは国主導の緻密な産業育成戦略を生々しく見せる実証事例に挙げられる。巨大な市場をアピールして海外先進企業の投資を誘導した後に大規模補助金と市場規制を活用して外国企業を牽制し自国企業を育てる。こうした方式で技術と資本を蓄積した中国企業は海外に進出してグローバル企業と競争する。
◇BMWのパートナーになったCATL
先月10日にドイツのベルリンから飛び込んできた外信ニュースは韓国のバッテリー業界を騒然とさせた。中国の電気自動車バッテリーメーカーCATLがドイツ中部都市エアフルトに電気自動車用バッテリー工場を設立する覚書を結ぶという内容だった。初期投資費用と人件費を減らそうとハンガリー(サムスンSDI)やポーランド(LG化学)など東欧に主に投資した韓国企業とは発想から違った。
CATL創業者の曾毓群会長は「欧州のすべての自動車メーカーにバッテリーを供給したい。欧州に追加で工場を作る」と話した。中国の李克強首相が直接ドイツに来て覚書締結現場を見守った。
ドイツに本社を置くBMWは安定したバッテリー供給元を増やすために40億ユーロ相当のバッテリーをCATLから購入することにした。BMWは今後CATLの株式4億2600万ドル(全株式の1.6%規模)相当を取得できる権利も確保して協力関係を強化した。BMWはこれまでサムスンSDIから電気自動車用バッテリーを独占供給されていた。韓国のあるバッテリーメーカーの最高経営責任者(CEO)は「一段格下と考えていた中国バッテリー企業が韓国を追い越し始める契機になるようだ」と打ち明けた。
10年前だけでも状況は異なった。パナソニックを中心とした日本企業が独走し、LG化学とサムスンSDIが追撃する局面だった。携帯用二次電池は1991年にソニーが初めてリチウムイオン電池を開発した後、日本企業を中心に技術が発展した。LGとサムスンなど韓国企業が研究開発に本格参入した時期も1995年ごろだった。ウォークマン、ノートブック、携帯電話に使われる小型バッテリーが主力製品だった。
◇速戦即決で産業育成
グローバル市場の構図が揺れ動いたのは2010年に入り世界で電気自動車の量産が本格化してからだ。アップルにバッテリーを納品していたATLの共同創業者の曾会長がATLを出てCATLを創業したのが2011年だ。ガソリンや軽油を燃料に使う内燃機関で数百年間技術を蓄積してきたBMWやゼネラルモーターズ(GM)のような先進国の自動車との競争は厳しいと判断した中国政府が電気自動車と電気自動車バッテリー産業の育成に出て市場の構図が変わった。
中国政府は2015年に中国の新成長企業育成戦略を盛り込んだ「中国製造2025計画」を発表した後、翌年1月から補助金規制を施行した。政府がさまざまな基準に基づいて電気自動車補助金を受けられる車両を審査した後に補助金支給対象車両を公開する方式だ。2016年末以降、LG化学とサムスンSDIがバッテリーを供給した電気自動車が補助金を受けたことは一度もない。業界関係者は「補助金支給細部基準だけでなく支給対象から除外されたという事実も該当企業にはきちんと知らせてくれない」と悔しさをにじませた。
◇韓国も成長産業育てなくては
中国の電気自動車は政府補助金なくして価格競争力を持つことができない。車1台当たり直接支給する補助金が10万元(約162万円)に達する上に車両購入税免除、最大85%の車両購入資金貸し付けなど多様な恩恵を与えているためだ。KOTRA長沙貿易館のキム・ジョンボク館長は「一部の大都市では電気自動車が車両2部制から除外され、内燃機関自動車の購入も一定の割合以下に制限しており、中国市場の電気自動車販売は爆発的に増える見通しだ。韓国企業は無防備な状態でやられている」と伝えた。
中国のバッテリーメーカーは政府補助金と海外企業を差別する巧妙な規制を通じて技術と資本を蓄積した後に海外に進出している。CATLが昨年収めた売り上げは3兆4055億ウォン、営業利益は8389億ウォンに達する。営業利益率は24.6%だ。業界関係者は「CATL、BYDなど中国のバッテリーメーカーは事実上外部競争者がない状況で安定した収益を得ている」と話す。
これに対しLG化学とサムスンSDIはこれまで電気自動車用バッテリー市場で年間基準で営業利益を出したことは一度もない。携帯電話用小型バッテリーで稼いだ収益を研究開発と設備投資に注ぎ込んでいるためだ。ソウル大学国際大学院のアン・ドックン教授は「中国が自国の巨大市場と非関税障壁を掲げた保護貿易主義を活用してグローバル通商政策のパラダイムが変わっている。新産業と親環境産業に対する官民研究開発投資を強化することが韓国政府ができる最善の対応策だ」と話している。
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