ドイツ戦を2日後に控えた25日、ロシアのサンクトペテルブルクに位置するサッカー韓国代表のベースキャンプ。MF朱世種(チュ・セジョン、牙山)とムン・ソンミン(仁川)のインタビューが行われていた記者会見場にドイツ人記者が現れ、質問するために手を挙げた。
「韓国がドイツに勝って決勝トーナメント(16強)に進出するのは『ミッションインポシブル(mission impossible、不可能な任務)』と思われるが、選手の考えを知りたい」。
韓国人の取材陣で満たされていた記者会見場が一瞬、静まり返った。ムン・ソンミンは「ドイツはワールドカップ(W杯)のディフェンディングチャンピオンだ。そのチームと対戦するので感慨深い」とし「良い選手と対戦できるということに興味を感じる」と質問の核心を避けた。
27日午後11時にロシアのカザンで行われるドイツとの2018ロシアW杯本大会F組第3戦は、いくつかの意味で「ミッション・インポシブル」と表現できる試合だ。相手は国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位であり、4年前のブラジルW杯で優勝したチームだ。ブラジル大会を含めて4大会連続でW杯4強に進出している。欧州サッカー移籍専門サイト「トランスファーマルクト」が集計した最終エントリー23人の市場価値総額は10億3000万ドル(約1140億円)だ。9690万ドルの韓国選手団の11倍にのぼる金額だ。
1986年メキシコW杯の得点王でありイングランドのレジェンドのゲーリー・リネカーは「サッカーは90分間、22人の選手が必死にプレーした後、結局はドイツが優勝するスポーツ」という言葉を残したが、説得力がある。
「ビルドアップに優れているドイツの中央DFジェローム・ボアテング(バイエルン、ミュンヘン)が警告累積で韓国戦に出場できない」という報道が相次いだが、実際、大きな興味はない。ボアテング1人が抜けたからと言って悩むドイツではない。DFマッツ・フンメルス(バイエルン・ミュンヘン)の首の負傷も、MFセバスティアン・ルディ(バイエルン・ミュンヘン)の鼻のけがも同じだ。
そのドイツに勝たなければいけない。勝ってこそ韓国も決勝トーナメント進出の可能性を考える機会が生じる。最終戦でメキシコがスウェーデンに勝つという仮定のもと、韓国がドイツに2点差で勝てば、組2位で16強に進出できる。またはメキシコがスウェーデンに2点差以上で勝てばドイツに1-0で勝ってもよい。W杯本大会が32強体制に拡大改編された1998フランス大会以降1勝2敗で16強に進出した国は今まで一つもなかった。2敗した韓国に依然として16強進出の余地が残っていることだけでも天佑神助だ。容易ではない挑戦だが、一方ではW杯の歴史に刻まれる機会だ。
W杯現場で取材しながら感じた、韓国代表がドイツより上回っている要素は2つだ。戦術的にはスピードだ。体格、技術、圧力、組織力、ゴール決定力、さらにゴールパフォーマンスの創意性さえもドイツに劣る韓国が唯一上回るのが速度だ。活発なオーバーラップを武器とする右サイドバックのジョシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)を除けば、ドイツのDF選手のうち孫興民(ソン・フンミン、トッテナム)、ムン・ソンミン、黄喜燦(ファン・ヒチャン、ザルツブルク)、李承佑(イ・スンウ、エラス・ヴェローナ)のスペース進入を防げる選手は見られない。ドイツのフォーバックラインが韓国戦で守備的になる可能性はほとんどないため、カウンターで2、3人が同時に危険エリアを走り込めばシュートチャンスを生み出せる可能性がある。得点にはつながらなかったが、スウェーデン戦とメキシコ戦でも逆襲による速攻でいくつかのチャンスを作り出した。韓国代表の長所と短所を誰よりもよく知る申台龍(シン・テヨン)監督とコーチングスタッフが韓国選手のスピードを生かす妙案を考えていると信じる。
心理的には23人の連帯感または団結力だ。ベースキャンプで最後の練習をした25日、2人のうれしい客が訓練場を訪れた。主将の奇誠庸(キ・ソンヨン、スウォンジーシティ)とDF朴柱昊(パク・チュホ、蔚山)だった。けがのため今大会の試合にはもう出場できないが、両選手は宿舎のホテルに残らず、選手団と共にベースキャンプの練習場に姿を見せた。チームメートを励ます両選手の後ろ姿を見ると胸が熱くなった。インタビュー場に来た選手らは「奇誠庸と朴柱昊が一緒にいるので心強い」と口をそろえる。
ドイツ選手団の雰囲気は少し違う。18日のメキシコ戦での敗戦(0-1)をきっかけに2014ブラジルW杯優勝メンバーと2017コンフェデレーションズカップ優勝メンバーの間で葛藤が生じているという。チームスポーツのサッカーで内部の葛藤は没落の信号だ。ユーロ2008、2010年南アフリカW杯、ユーロ2012と3つのメジャー大会で連続優勝した「無敵艦隊」スペインもバルセルロナ派とレアル・マドリード派の間で葛藤が生じた時期には「砂粒軍団」となった。
ブックメーカー(賭け屋)の「ベット365」は韓国がドイツに2-0で勝利する確率より0-7で大敗する確率が高いと予想した。韓国の2-0勝利の配当率を80/1、0-7敗戦の配当率は66/1と設定した。配当率が低いほど実現の可能性が高いということだ。韓国の2-0勝利に1万ウォンを賭けた人が当たれば80万ウォンを受けるが、0-7敗戦に1万ウォンを賭けた人が当たれば66万ウォンしか受けられない。
プライドが傷つくが、これが外部の冷静な評価だ。どう考えても韓国がドイツに勝つ可能性より敗れる可能性が高い。それでも我々が試合前から「0-7で完敗するだろう」と韓国選手をこき下ろすようなことがないことを望む。サッカーは98の弱点があっても2つの長所を最大化して勝負を覆すことができるスポーツだ。「スピード」と「団結力」という2つの長所が奇跡の出発点になるかもしれない。選手たちは「最後のドイツ戦は死に物狂いで戦う」と誓った。今はその約束を信じて応援する時だ。
「韓国がドイツに勝って決勝トーナメント(16強)に進出するのは『ミッションインポシブル(mission impossible、不可能な任務)』と思われるが、選手の考えを知りたい」。
韓国人の取材陣で満たされていた記者会見場が一瞬、静まり返った。ムン・ソンミンは「ドイツはワールドカップ(W杯)のディフェンディングチャンピオンだ。そのチームと対戦するので感慨深い」とし「良い選手と対戦できるということに興味を感じる」と質問の核心を避けた。
27日午後11時にロシアのカザンで行われるドイツとの2018ロシアW杯本大会F組第3戦は、いくつかの意味で「ミッション・インポシブル」と表現できる試合だ。相手は国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位であり、4年前のブラジルW杯で優勝したチームだ。ブラジル大会を含めて4大会連続でW杯4強に進出している。欧州サッカー移籍専門サイト「トランスファーマルクト」が集計した最終エントリー23人の市場価値総額は10億3000万ドル(約1140億円)だ。9690万ドルの韓国選手団の11倍にのぼる金額だ。
1986年メキシコW杯の得点王でありイングランドのレジェンドのゲーリー・リネカーは「サッカーは90分間、22人の選手が必死にプレーした後、結局はドイツが優勝するスポーツ」という言葉を残したが、説得力がある。
「ビルドアップに優れているドイツの中央DFジェローム・ボアテング(バイエルン、ミュンヘン)が警告累積で韓国戦に出場できない」という報道が相次いだが、実際、大きな興味はない。ボアテング1人が抜けたからと言って悩むドイツではない。DFマッツ・フンメルス(バイエルン・ミュンヘン)の首の負傷も、MFセバスティアン・ルディ(バイエルン・ミュンヘン)の鼻のけがも同じだ。
そのドイツに勝たなければいけない。勝ってこそ韓国も決勝トーナメント進出の可能性を考える機会が生じる。最終戦でメキシコがスウェーデンに勝つという仮定のもと、韓国がドイツに2点差で勝てば、組2位で16強に進出できる。またはメキシコがスウェーデンに2点差以上で勝てばドイツに1-0で勝ってもよい。W杯本大会が32強体制に拡大改編された1998フランス大会以降1勝2敗で16強に進出した国は今まで一つもなかった。2敗した韓国に依然として16強進出の余地が残っていることだけでも天佑神助だ。容易ではない挑戦だが、一方ではW杯の歴史に刻まれる機会だ。
W杯現場で取材しながら感じた、韓国代表がドイツより上回っている要素は2つだ。戦術的にはスピードだ。体格、技術、圧力、組織力、ゴール決定力、さらにゴールパフォーマンスの創意性さえもドイツに劣る韓国が唯一上回るのが速度だ。活発なオーバーラップを武器とする右サイドバックのジョシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)を除けば、ドイツのDF選手のうち孫興民(ソン・フンミン、トッテナム)、ムン・ソンミン、黄喜燦(ファン・ヒチャン、ザルツブルク)、李承佑(イ・スンウ、エラス・ヴェローナ)のスペース進入を防げる選手は見られない。ドイツのフォーバックラインが韓国戦で守備的になる可能性はほとんどないため、カウンターで2、3人が同時に危険エリアを走り込めばシュートチャンスを生み出せる可能性がある。得点にはつながらなかったが、スウェーデン戦とメキシコ戦でも逆襲による速攻でいくつかのチャンスを作り出した。韓国代表の長所と短所を誰よりもよく知る申台龍(シン・テヨン)監督とコーチングスタッフが韓国選手のスピードを生かす妙案を考えていると信じる。
心理的には23人の連帯感または団結力だ。ベースキャンプで最後の練習をした25日、2人のうれしい客が訓練場を訪れた。主将の奇誠庸(キ・ソンヨン、スウォンジーシティ)とDF朴柱昊(パク・チュホ、蔚山)だった。けがのため今大会の試合にはもう出場できないが、両選手は宿舎のホテルに残らず、選手団と共にベースキャンプの練習場に姿を見せた。チームメートを励ます両選手の後ろ姿を見ると胸が熱くなった。インタビュー場に来た選手らは「奇誠庸と朴柱昊が一緒にいるので心強い」と口をそろえる。
ドイツ選手団の雰囲気は少し違う。18日のメキシコ戦での敗戦(0-1)をきっかけに2014ブラジルW杯優勝メンバーと2017コンフェデレーションズカップ優勝メンバーの間で葛藤が生じているという。チームスポーツのサッカーで内部の葛藤は没落の信号だ。ユーロ2008、2010年南アフリカW杯、ユーロ2012と3つのメジャー大会で連続優勝した「無敵艦隊」スペインもバルセルロナ派とレアル・マドリード派の間で葛藤が生じた時期には「砂粒軍団」となった。
ブックメーカー(賭け屋)の「ベット365」は韓国がドイツに2-0で勝利する確率より0-7で大敗する確率が高いと予想した。韓国の2-0勝利の配当率を80/1、0-7敗戦の配当率は66/1と設定した。配当率が低いほど実現の可能性が高いということだ。韓国の2-0勝利に1万ウォンを賭けた人が当たれば80万ウォンを受けるが、0-7敗戦に1万ウォンを賭けた人が当たれば66万ウォンしか受けられない。
プライドが傷つくが、これが外部の冷静な評価だ。どう考えても韓国がドイツに勝つ可能性より敗れる可能性が高い。それでも我々が試合前から「0-7で完敗するだろう」と韓国選手をこき下ろすようなことがないことを望む。サッカーは98の弱点があっても2つの長所を最大化して勝負を覆すことができるスポーツだ。「スピード」と「団結力」という2つの長所が奇跡の出発点になるかもしれない。選手たちは「最後のドイツ戦は死に物狂いで戦う」と誓った。今はその約束を信じて応援する時だ。
この記事を読んで…