「北朝鮮はすべての核兵器を放棄する準備はできていないし、米国は段階的な見返りを与える準備ができていない。立場の違いを狭めることができなければ、米朝首脳会談はしない方がよいかもしれない」。
米国のクリストファー・ヒル元6カ国協議首席代表、元東アジア・太平洋担当国務次官補が25日(現地時間)、中央日報の電話インタビューで「北朝鮮が『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』に合意する可能性にビール1杯の値段も賭けない」と述べ、このように話した。
ヒル氏は北朝鮮の欺まん術策を経験した当事者だ。2005年の6カ国協議は「北朝鮮のすべての核兵器と核プログラムの検証可能な非核化と核拡散防止条約(NPT)復帰」を規定した9・19共同声明に合意したが、北朝鮮はその後、査察・検証に反発して合意を破った。現在6・12シンガポール米朝首脳会談の議題交渉を担当しているソン・キム駐フィリピン米国大使が国務省の韓国課長を務め、ヒル元次官補を補佐した。
ヒル氏は「非核化は北朝鮮を核武装国と認めるかどうかの問題であり、中間はない」とし、CVIDに妥協の余地はないと強調した。ただ、非核化方式をめぐり「北朝鮮が段階的な非核化に同意すれば、平和協定や制裁緩和など一定の見返りを提供する妥協は可能だとみる」とし「さらに心配されるのは検証と履行に関する細部議論」と述べた。ヒル氏は現在、デンバー大国際研究大学院の校長を務めている。
--北朝鮮の金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官はなぜ1週間で立場を変えたのか。
「彼が選択権を持っているとは思わない。彼は単に談話の発表者にすぎない」
--金桂冠第1外務次官は6カ国協議の北朝鮮首席代表で、あなたの相手だった。
「我々は6カ国協議で交渉をしながら4年間も一緒だった。彼は私を平壌(ピョンヤン)に3回招待し、私はニューヨークに1回招待し、2者会談もした。崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は6カ国協議の交渉でいつも金桂冠次官の通訳官として同席した」
--2人は北朝鮮内の軍部強硬派の立場を反映して会談を妨害したのでは。
「全く違う。2人の談話は金正恩(キム・ジョンウン)委員長と(妹・金与正第1副部長である)北朝鮮労働党宣伝扇動部の指示によって発表されたものだ。北朝鮮は常に交渉でこうした形の反転を見せてきた。彼らはおそらくトランプ政権内でボルトン大統領補佐官の影響力が非常に大きいとみて、ブレーキが必要だと判断したのだろう」
--トランプ大統領がボルトン補佐官の主張を受け入れて会談の中止を決めたというが。
「事実だろう。ボルトン補佐官は対話を好まない。彼はただ降伏する準備ができている人たちと会うことを望む。彼は北朝鮮が完全に降伏するしかない立場で会談場に出てくる状況を除いて、北朝鮮とのいかなる外交も信じない」
--ボルトン補佐官は核兵器だけでなく弾道ミサイル、生物・化学兵器まで放棄するよう主張している。
「そうだ。彼は北朝鮮はもちろん他の誰とも、いかなる種類のものであれ、やり取りする形の交渉に関心がない。彼が回顧録のタイトルを『降伏は選択でない』としたのは、降伏は相手の必須という意味だ。北朝鮮は彼のような相手を扱うのがうまい。数年前、彼らは金正日(キム・ジョンイル)委員長を『暴悪な独裁者』と非難したボルトン補佐官を『人間ゴミ』と呼んだりもした」
--ボルトン補佐官とポンペオ長官の間には北朝鮮の非核化に対する接近方法に相当な差がある。
「2人が異なる接近方法を持っているのは明らかだ。ポンペオ長官はシンガポール会談が実現することを望み、トランプ大統領のビジョンを実現できるよう努力している。一方、ボルトン補佐官はトランプ大統領はもちろん、誰にもそのような忠誠心を持つ人ではない」
元6カ国協議米国代表「北の非核化? 私はビール1杯も賭けない」(2)
米国のクリストファー・ヒル元6カ国協議首席代表、元東アジア・太平洋担当国務次官補が25日(現地時間)、中央日報の電話インタビューで「北朝鮮が『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』に合意する可能性にビール1杯の値段も賭けない」と述べ、このように話した。
ヒル氏は北朝鮮の欺まん術策を経験した当事者だ。2005年の6カ国協議は「北朝鮮のすべての核兵器と核プログラムの検証可能な非核化と核拡散防止条約(NPT)復帰」を規定した9・19共同声明に合意したが、北朝鮮はその後、査察・検証に反発して合意を破った。現在6・12シンガポール米朝首脳会談の議題交渉を担当しているソン・キム駐フィリピン米国大使が国務省の韓国課長を務め、ヒル元次官補を補佐した。
ヒル氏は「非核化は北朝鮮を核武装国と認めるかどうかの問題であり、中間はない」とし、CVIDに妥協の余地はないと強調した。ただ、非核化方式をめぐり「北朝鮮が段階的な非核化に同意すれば、平和協定や制裁緩和など一定の見返りを提供する妥協は可能だとみる」とし「さらに心配されるのは検証と履行に関する細部議論」と述べた。ヒル氏は現在、デンバー大国際研究大学院の校長を務めている。
--北朝鮮の金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官はなぜ1週間で立場を変えたのか。
「彼が選択権を持っているとは思わない。彼は単に談話の発表者にすぎない」
--金桂冠第1外務次官は6カ国協議の北朝鮮首席代表で、あなたの相手だった。
「我々は6カ国協議で交渉をしながら4年間も一緒だった。彼は私を平壌(ピョンヤン)に3回招待し、私はニューヨークに1回招待し、2者会談もした。崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は6カ国協議の交渉でいつも金桂冠次官の通訳官として同席した」
--2人は北朝鮮内の軍部強硬派の立場を反映して会談を妨害したのでは。
「全く違う。2人の談話は金正恩(キム・ジョンウン)委員長と(妹・金与正第1副部長である)北朝鮮労働党宣伝扇動部の指示によって発表されたものだ。北朝鮮は常に交渉でこうした形の反転を見せてきた。彼らはおそらくトランプ政権内でボルトン大統領補佐官の影響力が非常に大きいとみて、ブレーキが必要だと判断したのだろう」
--トランプ大統領がボルトン補佐官の主張を受け入れて会談の中止を決めたというが。
「事実だろう。ボルトン補佐官は対話を好まない。彼はただ降伏する準備ができている人たちと会うことを望む。彼は北朝鮮が完全に降伏するしかない立場で会談場に出てくる状況を除いて、北朝鮮とのいかなる外交も信じない」
--ボルトン補佐官は核兵器だけでなく弾道ミサイル、生物・化学兵器まで放棄するよう主張している。
「そうだ。彼は北朝鮮はもちろん他の誰とも、いかなる種類のものであれ、やり取りする形の交渉に関心がない。彼が回顧録のタイトルを『降伏は選択でない』としたのは、降伏は相手の必須という意味だ。北朝鮮は彼のような相手を扱うのがうまい。数年前、彼らは金正日(キム・ジョンイル)委員長を『暴悪な独裁者』と非難したボルトン補佐官を『人間ゴミ』と呼んだりもした」
--ボルトン補佐官とポンペオ長官の間には北朝鮮の非核化に対する接近方法に相当な差がある。
「2人が異なる接近方法を持っているのは明らかだ。ポンペオ長官はシンガポール会談が実現することを望み、トランプ大統領のビジョンを実現できるよう努力している。一方、ボルトン補佐官はトランプ大統領はもちろん、誰にもそのような忠誠心を持つ人ではない」
元6カ国協議米国代表「北の非核化? 私はビール1杯も賭けない」(2)
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