「このように譲歩するくらいならいっそ首脳会談はやらないほうがいい」(ジョン・ボルトン米ホワイトハウス大統領補佐官)
「ひとまず非核化という枠組みの中に北朝鮮を入れてこそ継続した圧迫が可能だ」(マイク・ポンペオ国務長官)
ホワイトハウスの事情に詳しい消息筋は、ボルトン氏とポンペオ氏の2人が6月12日のシンガポール米朝首脳会談に関連した各種対策会議でこのような言葉を繰り返して対立していたと伝えた。ドナルド・トランプ大統領が24日(現地時間)、シンガポール首脳会談の電撃中止を決めた裏側で、2人の正面衝突があったということだ。ポンペオ氏の場合、「完全な非核化」原則を北朝鮮に受け入れさせたら北朝鮮が「我々は核保有国」「核を使う」などの脅迫そのものができないように抑え込むことができるという判断のもとで会談を強く推し進めようとしているという。
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が24日、「米国が継続して不法非道に出るなら、朝米(米朝)首脳会談再考についての問題を最高指導部に提起する」と述べたことと、その1週間前に金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官が会談再考カードを持ち出したことは、どちらも「リビア式(核能力を全面除去し、米国に搬出)核廃棄」を前面に出したボルトン氏とマイク・ペンス副大統領を正面から狙っている。トランプ大統領はもちろん、交渉派のポンペオ氏に対する攻撃はない。すなわち、トランプ-ポンペオとペンス-ボルトンを葛藤させようという思惑が根底にあっての発言ということだ。
事実、ポンペオ氏とボルトン氏は完全な非核化(CVID)という共通の目標を追求しながらも、これまで何度も衝突してきた。同じタカ派ながらも衝突することになったのは、初めから世界観と野心が違うためだという分析もある。
ブルッキングス研究所米欧センターのトーマス・ライト局長は、米メディア「Politico(ポリティコ)」への寄稿で「トランプ政権で中央情報局長・国務長官まで上り詰めた57歳のポンペオは大統領になるという野心を抱いている。彼に北核談判は必ず成功で終わらなければならない課題だ」と書いた。反面、ボルトン氏については「米国の行動の自由を制約する多者主義国際法体制と相対して戦う」戦士であり原理主義者だ。自身の今後の政治的将来よりも所信を貫徹することをはるかに重要視するスタイルだ。過去の非核化交渉を通じて、北朝鮮に対する敵対感も深いことが知られている。
ボルトン-ペンスに対する北朝鮮の激しい攻勢には、彼らの内部事情も絡んでいる。伝統的に北朝鮮の対米外交は外務省の所管で、ニューヨークチャネルが担当した。しかし、昨年9月トランプ大統領の国連総会演説を契機にニューヨークチャネルは後方に追いやられ、米国でもジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表の退任以降、国務省の対北ラインが瓦解した。その空白を金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長-ポンペオラインが埋めて米朝会談局面が展開した。すなわち、金英哲に対米外交主導権を奪われた外務省が首脳会談の実務交渉の責任を負わなければならない状況で機先を制そうと強攻を繰り広げている局面だ。
ポンペオ氏はこの日、下院外交委員会公聴会で「われわれが推進するモデルは(リビアモデルではなく)『迅速な非核化(Rapid Denuclearization)』」と明らかにして、「2人の指導者(トランプと金正恩)が根本的(体制)保証に対する対価として完全な非核化をする問題に対して合意すれば終着地に到達することになり、我々は素晴らしい日を迎えることになる」と述べた。特に、2週間前の金委員長との対話を紹介して「彼は米国の非核化目標を受け入れた時の対価として米国民間企業の知識・ノウハウを通した寄与や外国援助などを受けたいと明確にした」とし「私は会談が開かれるものと非常に希望的に見ている」とも述べた。
だが、米国副大統領を非難したうえに「核対核の対決」を警告した崔善姫談話はトランプ大統領の忍耐の限界を超えていたためシンガポール会談を白紙化させた。今後のカギは金委員長の2つの選択にかかった。トランプ大統領が会談中止を伝える書簡の末尾に提案した通り、直接会談再開の意思を明らかにするか、でなければ凍結した弾道ミサイル試験発射を再開して昨年のような軍事対決危機を高めさせるか、というものだ。
韓国系米国人抑留者3人の釈放と豊渓里(プンゲリ)核実験場爆発閉鎖まで、シンガポール会談のために少なくない投資をした金委員長としては、1、2カ月の熟考時間を置くだろうとの分析もある。米外交協会(CFR)のスコット・スナイダー上級研究員は「北朝鮮がミサイルと核実験に戻らないなら、対話に戻る十分に多くの方法がある」とし「両国が会談を正当化する十分な相互理解を広げるために世間の注目を避ける時間を稼ぐ必要がある」と指摘した。その間に、ポンペオ-金英哲ホットラインチャネルと、南北首脳間ホットラインが復元されて破局を避ける水面下外交が成果を出すかどうかも重要だ。
「ひとまず非核化という枠組みの中に北朝鮮を入れてこそ継続した圧迫が可能だ」(マイク・ポンペオ国務長官)
ホワイトハウスの事情に詳しい消息筋は、ボルトン氏とポンペオ氏の2人が6月12日のシンガポール米朝首脳会談に関連した各種対策会議でこのような言葉を繰り返して対立していたと伝えた。ドナルド・トランプ大統領が24日(現地時間)、シンガポール首脳会談の電撃中止を決めた裏側で、2人の正面衝突があったということだ。ポンペオ氏の場合、「完全な非核化」原則を北朝鮮に受け入れさせたら北朝鮮が「我々は核保有国」「核を使う」などの脅迫そのものができないように抑え込むことができるという判断のもとで会談を強く推し進めようとしているという。
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が24日、「米国が継続して不法非道に出るなら、朝米(米朝)首脳会談再考についての問題を最高指導部に提起する」と述べたことと、その1週間前に金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官が会談再考カードを持ち出したことは、どちらも「リビア式(核能力を全面除去し、米国に搬出)核廃棄」を前面に出したボルトン氏とマイク・ペンス副大統領を正面から狙っている。トランプ大統領はもちろん、交渉派のポンペオ氏に対する攻撃はない。すなわち、トランプ-ポンペオとペンス-ボルトンを葛藤させようという思惑が根底にあっての発言ということだ。
事実、ポンペオ氏とボルトン氏は完全な非核化(CVID)という共通の目標を追求しながらも、これまで何度も衝突してきた。同じタカ派ながらも衝突することになったのは、初めから世界観と野心が違うためだという分析もある。
ブルッキングス研究所米欧センターのトーマス・ライト局長は、米メディア「Politico(ポリティコ)」への寄稿で「トランプ政権で中央情報局長・国務長官まで上り詰めた57歳のポンペオは大統領になるという野心を抱いている。彼に北核談判は必ず成功で終わらなければならない課題だ」と書いた。反面、ボルトン氏については「米国の行動の自由を制約する多者主義国際法体制と相対して戦う」戦士であり原理主義者だ。自身の今後の政治的将来よりも所信を貫徹することをはるかに重要視するスタイルだ。過去の非核化交渉を通じて、北朝鮮に対する敵対感も深いことが知られている。
ボルトン-ペンスに対する北朝鮮の激しい攻勢には、彼らの内部事情も絡んでいる。伝統的に北朝鮮の対米外交は外務省の所管で、ニューヨークチャネルが担当した。しかし、昨年9月トランプ大統領の国連総会演説を契機にニューヨークチャネルは後方に追いやられ、米国でもジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表の退任以降、国務省の対北ラインが瓦解した。その空白を金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長-ポンペオラインが埋めて米朝会談局面が展開した。すなわち、金英哲に対米外交主導権を奪われた外務省が首脳会談の実務交渉の責任を負わなければならない状況で機先を制そうと強攻を繰り広げている局面だ。
ポンペオ氏はこの日、下院外交委員会公聴会で「われわれが推進するモデルは(リビアモデルではなく)『迅速な非核化(Rapid Denuclearization)』」と明らかにして、「2人の指導者(トランプと金正恩)が根本的(体制)保証に対する対価として完全な非核化をする問題に対して合意すれば終着地に到達することになり、我々は素晴らしい日を迎えることになる」と述べた。特に、2週間前の金委員長との対話を紹介して「彼は米国の非核化目標を受け入れた時の対価として米国民間企業の知識・ノウハウを通した寄与や外国援助などを受けたいと明確にした」とし「私は会談が開かれるものと非常に希望的に見ている」とも述べた。
だが、米国副大統領を非難したうえに「核対核の対決」を警告した崔善姫談話はトランプ大統領の忍耐の限界を超えていたためシンガポール会談を白紙化させた。今後のカギは金委員長の2つの選択にかかった。トランプ大統領が会談中止を伝える書簡の末尾に提案した通り、直接会談再開の意思を明らかにするか、でなければ凍結した弾道ミサイル試験発射を再開して昨年のような軍事対決危機を高めさせるか、というものだ。
韓国系米国人抑留者3人の釈放と豊渓里(プンゲリ)核実験場爆発閉鎖まで、シンガポール会談のために少なくない投資をした金委員長としては、1、2カ月の熟考時間を置くだろうとの分析もある。米外交協会(CFR)のスコット・スナイダー上級研究員は「北朝鮮がミサイルと核実験に戻らないなら、対話に戻る十分に多くの方法がある」とし「両国が会談を正当化する十分な相互理解を広げるために世間の注目を避ける時間を稼ぐ必要がある」と指摘した。その間に、ポンペオ-金英哲ホットラインチャネルと、南北首脳間ホットラインが復元されて破局を避ける水面下外交が成果を出すかどうかも重要だ。
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