ソウル家庭裁判所元裁判長で法務法人「太平洋」のイム・チェウン弁護士は、元独首相のゲアハルト・シュレーダー氏（７４）に韓国の財産がない場合、韓国人恋人キム・ソヨン氏（４８）の元夫はシュレーダー氏から損害賠償を受け取ることは難しいとの見方を示した。

先月３０日、韓国法曹界によると、キムさんの元夫Ａさんは、最近、ソウル家庭裁判所にシュレーダー氏を相手取り１億ウォン（約１０２２万円）を支払うよう求める訴訟を起こした。

Ａさんは「シュレーダー氏はキム氏が家庭のある人妻である事実を知っていたのに、数回にわたって浮気行為を行い、耐え難い精神的苦痛を与える違法行為を行った」とし「結局、婚姻の破綻に達することになったため、これに対する違法行為の責任を負うべき」と主張した。


これについてイム弁護士は１日、「このような請求が不可能というわけではない」と前置きしつつも、「私が知る範囲では、ドイツでは離婚時に慰謝料が認められないと聞いている。さらに独法において、第三者に婚姻破綻の責任を問い、慰謝料の請求が可できるかどうかは疑問」と明らかにした。

また、ドイツで仮に認められても、Ａさんが１億ウォンを受け取ることは容易ではないだろうとイム弁護士は予想した。シュレーダー氏が韓国に財産を保有していないなら、ドイツの財産を賠償金に当てなければならないが、独裁判所が執行を許可しない可能性があるというのがイム弁護士の説明だ。

Ａさんはまた「キム氏がシュレーダー氏と別れることが確認されれば離婚すると（私が）言うと、キム氏はこれを約束した」とし「だが、キム氏は初めからシュレーダー氏と別れるつもりはなく、約束を守る意志もなかったのに、離婚するために私を欺いた」と主張した。

「これはシュレーダー氏ではなくキム氏に責任を問うべきことで、Ａさんがキム氏を相手取り損害賠償請求をしたかどうかは明確でない」ということを前提に、「キム氏が約束を破ったという理由でその責任を問い、損害賠償を請求できるかどうか」という疑問に対して、イム弁護士は２つの可能性を提起した。

イム弁護士はキム氏が単にシュレーダー氏と別れると約束だけしたのであればキム氏に責任を問うことは難しいが、離別を条件に財産分割を行ったのであればこれを返してもらえるという。

離婚をしてその後誰かと婚姻または交際してはいけないという内容は、相手の自由を過度に制限することで、法では強制できない類のものだ。しかし、ひとまず財産分割のときに誰かと婚姻または交際しないという条件を掲げてその条件が成立している場合、財産の返還は許容されるというのがイム弁護士の解釈だ。

シュレーダー氏とキム氏の熱愛説は昨年９月にドイツで先に取り沙汰された。その後、昨年１１月にＡさんと合意離婚をした。その後、今年１月にシュレーダー氏はキム氏との恋人関係を公表し、同２５日にはソウルでキム氏とともに記者懇談会を開き、年内に結婚する意思を明らかにした。