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<変わった北、変わらない北(1)>金正恩の選択、なぜ外に出てきたのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2018年南北首脳会談が10日後に迫った。会談は米朝首脳会談の呼び水であり踏み石だ。同時に金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長兼国務委員長の非核化の意志を確認する場でもある。韓半島(朝鮮半島)問題のリレー首脳会談は昨年までの戦雲が漂う状況と比較すると劇的な反転だ。北朝鮮はなぜ核武力完成宣言と同時に非核化対話路線を選択したのだろうか。内部の経済状況はどうなっていて、権力エリートはどのように変わったのだろうか。首脳会談を控えて「北朝鮮の今日」を4回に分けてのぞいてみよう。

「白頭山(ペクドゥサン)を眺めながら下した大勇断が2018年に世界を揺るがしている」。

北朝鮮国営メディアが金正恩委員長(34)の非核化言及を避けていた先月26日。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙「朝鮮新報」は、現在の対話局面は金委員長の昨年12月初めの白頭山登頂から始まった、と伝えた。北朝鮮は白頭山を「革命の聖山」と呼ぶ。金委員長は重大な決断を控えて白頭山に登る。2013年12月の叔母の夫・張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長処刑を控えても白頭山一帯を訪れた。朝鮮新報の報道は金正恩が今回も白頭山で「韓半島非核化」と条件に関する決断をしたということだ。


局面転換の出発点はその10日ほど前の11月29日だった。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星15」の試験発射に成功し、「核武力完成」を公式宣言した。これが核抑止力を外交カードとして使い始めた転機になったと、専門家らは口をそろえる。方式は「先南後米」だった。「新年の辞」と平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)を契機にソウルを通じてワシントンへ進む道を模索した。南北首脳会談に続いて米朝首脳会談が電撃的に決まると、伝統的後見国の中国を訪問した。今月初めには李容浩(イ・ヨンホ)外相をロシアに派遣した。「通南」と「連中連露」でトランプ米大統領との談判に備える姿だ。北朝鮮の動きは精密に構成された一つのシナリオを連想させる。慶応大の小此木政夫名誉教授は「金委員長の北朝鮮が外交路線の転換のほか、生存戦略を修正しようとするのではないかという仮説を持っている」とし「外交力を発揮して生存条件を整備できるのは今だけ」と述べた(寄稿)。

最大の関心事は金正恩が明らかにした非核化意志の誠意だ。核兵器は金日成(キム・イルソン)主席から3代にわたるマラソンの結晶体といえる。金日成は毛沢東の影響を受けた。毛沢東は1964年に核実験に成功した後、「どっちみち使用できないものだ。米国やソ連が我々を核保有国とさえ認めればよい」と述べた。75年に訪中した金日成には自ら「石油と原子爆弾が最も重要だ。その2つさえあればどこへ行っても大きな声を出すことができる。それがなければいくら声を出しても国際社会で視線を引けない」と説明した。実際、北朝鮮が追求した核・ミサイル開発モデルは中国の両弾一星だ。中国は原子爆弾・水素弾(両弾)とミサイル(一星)を共に開発するプロジェクトを60年代末に完成した。そして72年に米国と国交正常化をし、デタント時代を開いた。改革・開放の土台も築いた。

60年代末から半世紀ぶりに核武力完成を宣言した金正恩は今、核問題の総決算を試みている。核保有が物理的に立証された時点で非核化カードを取り出した。金正恩が自ら「韓半島非核化は金日成主席・金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺訓」と述べた。非核化の条件には北朝鮮に対する軍事的脅威の解消と体制保証を挙げた。囲碁で言えば核兵器という大馬を捨てて、安保と体制保証+アルファのより大きな大馬を得ようとする大胆な捨石作戦(自分の石の一部を捨ててそれ以上の実利と勢力を得る方法)だ。北朝鮮が金正恩執権以降、「非核化=遺訓」に公式的に言及したのは4回。統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室長は「北が先代の非核化の遺訓を2013年から言及したのは、局面の転換を長期間にわたり準備してきたという分析が説得力を持つ」と述べた。

金正恩が先月、韓国特使団に「対話の相手として真摯な待遇を受けたい」と述べた点も興味深い。米国に対する切実な内心を表したという分析が多い。北朝鮮の憂慮・関心事項の解決を前提とした非核化を通じて正常国家の道を模索しようとするのではという解釈が出ている。

現在の局面は2つの産物という分析が多い。一つは戦争の恐怖だ。冷戦崩壊以降、対北朝鮮軍事オプションを排除しなかったトランプ大統領の不確実性ほど北朝鮮にとって脅威になることはなかった。北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだブッシュ大統領はアフガニスタンとイラクの2つの戦争と戦後処理で北朝鮮に視線を向ける余裕がなかった。もう一つは徐々に強まってきた国際社会の制裁包囲網だ。北朝鮮が万里馬速度創造をはじめとする大々的な努力動員キャンペーンに動き出したのはこのためだ。しかし拡大した貿易と市場が縮小したことで経済にしわ寄せがきた。北朝鮮の対外貿易の90%ほどを占める中国の制裁参加は大きな苦痛だった。アンドレイ・ランコフ国民大教授は「いま北朝鮮はかなり厳しい状況を迎えている。このため北朝鮮は自ら経済を回復させるために決断を下したし、実際に必要とするのも経済交流だ」と強調した。

北朝鮮は現在、極度に慎重な雰囲気だ。トランプ大統領が米朝首脳会談を受諾した後、国営メディアは対米非難を自制し、「核武力」という言葉を避けている。核武力・経済建設の並進路線も同じだ。2013年に登場した並進路線は金正恩時代の当面の戦略だ。トランプ大統領の「最大限の対北朝鮮圧力」は結局、この路線との戦いとなる。北朝鮮が核の捨石作戦に出てきたとすれば、経済はもう一つの目標物だ。

金正恩は今、非核化という新しい路程の出発点に立っている。ひとまずその公約をした状態だ。北朝鮮が核に依存せず未完の平和を不可逆的な平和体制にする二度とない機会だ。北朝鮮が非核化を通じて改革・開放の正常国家(normal state)基盤を築き、国際社会の一員に編入される好循環構図への牽引が関係国の最大の課題に浮上している。



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