先日、中国国務院(行政府)傘下の研究院の幹部と夕食を一緒にした。彼は北東アジア情勢研究の責任者だ。通常なら両会(全国人民代表大会と全国政協会議)期間であるため、外部者、特に外国人と会うのは避けるはずだ。24時間非常待機しなければいけないうえ、言葉を誤れば舌禍を招くこともあるからだ。ところが、この日の彼はいつもとは違った。「非常待機中に出てきた」と言って携帯電話をテーブルに置いて質問攻勢をした。
やはり北核問題だった。北朝鮮の対話モードは本当に核廃棄を前提にしているのかというのが最初の質問だった。特に韓国人の反応と「政界はどう見ているのか」という点を集中的に尋ねた。もし彼との夕食が米朝首脳会談が伝えられた9日以降だったなら、最初の質問は米朝対話の成功の可能性を尋ねたはずだ。筆者は「歓迎するが半信半疑」と答えた。北朝鮮に何度もだまされているので韓国人は北朝鮮を信用しないと説明した。
逆に彼に「中国はどう見ているのか」と尋ねた。彼は用心深く口を開いた。「実際、我々も半信半疑だ。両会のため慌ただしいが、南北対話までが重なり、トイレに行く時間もない。最近、韓国から出た関連ニュースはほとんどすべて翻訳して目を通す。それまでは主要ニュースだけをチェックしていた」。
北東アジア情勢の研究を引き受けてから数年経つが、最近のように韓国発の北核ニュースを詳しく見るの初めてというのが彼の告白だ。研究院に韓国語の翻訳者が不足し、翻訳を外注していると説明した。ただ、自分が勤務する研究院だけでなく、中国で韓半島問題を眺めるすべての部署と研究所が最近、事実上「非常状態」だという話もした。韓国が中国に提供する関連情報があまりにも制限的であるうえ、北朝鮮情報も以前のようではないという言葉も付け加えた。彼は何か韓国に不満を抱いているようだった。
北核事態の対話局面を見る最近の中国内部の雰囲気はこうだ。「能動的」よりも「受動的」に、「急ぐ」よりも「ゆっくり」と北核問題を扱っていた以前の中国とは違う。焦りが感じられる。まさかの「チャイナパッシング」、すなわち中国排除を警戒しているようだ。
その間、中国は6カ国協議の議長国として北核問題に対する「大株主」を自負してきた。しかし6カ国協議が失敗して中国の役割は「小株主」に変わり、米国主導の対北朝鮮制裁にやむを得ず参加するしかない状況になった。北朝鮮に対する石油供給中断という致命的な手段を持ちながらも、これを積極的に活用して北朝鮮を対話の場に引き出せなかった報い(?)といえる。
チャイナパッシングに対する中国の憂慮は外務省報道官の発言にも表れている。青瓦台が6日に対北朝鮮特使団の訪朝結果を発表すると、中国外務省の耿爽報道官は「前向きな北朝鮮訪問結果を歓迎する。関係国が韓半島(朝鮮半島)非核化と韓半島問題の政治的解決プロセスを推進するうえで共に努力できることを望む。そのために中国は引き続き適切な役割をしていきたい」と論評した。歓迎する言葉のようだが、その裏には中国の役割縮小を警戒する雰囲気がある。昨年、習主席の特使として訪朝した宋濤党対外連絡部長が金正恩(キム・ジョンウン)委員長にも会えないほど対北朝鮮影響力が顕著に弱まったのも(チャイナパッシング)警戒を高める理由の一つだろう。北朝鮮の露骨な中国無視も関係している。金正恩委員長が韓米連合訓練を受け入れたことで、中国が北核問題の解決方式として提示した双暫停(北朝鮮の核・ミサイル開発と韓米連合訓練の暫定停止)原則に背を向けたのだ。
さらにトランプ米大統領が金正恩委員長が提案した首脳会談を直ちに受け入れ、中国の立場はさらに難しくなった。表面上では米朝対話を促して歓迎するというが、その過程で南北がチャイナパッシングをしたからだ。ある日突然、北核の主導権が中国の手を離れて南北、米国側に流れているということだ。もちろん中国は当惑しながらも、南北対話と米朝対話の後を考えてチャイナパッシングはないという自信を見せている。過去に6カ国協議が大きな成果を出せなくても、北朝鮮の非核化過程は韓半島をめぐる多者間対話の枠の中で進行されるしかないという信念を持っている。
中国の代表的な韓半島専門家、中国国際問題研究院の楊希雨研究員の見解も同じだ。楊氏は最近、あるインタビューで「今も韓半島核問題の解決は6カ国協議だけが最も有効な方法だと信じている。米朝対話だけでは非核化、体制安全保障、核兵器除去など複雑な問題を解決するのが難しい」と述べた。1994年の米朝ジュネーブ合意は核だけでなく政治的問題も包括したが、結局はお互い相手がだましたと非難する結果をもたらしたというのが楊氏の説明だ。米朝は数十年間にわたり対立と不信で一貫してきたため、今回の米朝首脳会談で複雑な核問題が一気に解決することは考えにくいということだ。
一理ある。したがって韓国もこうした中国の立場を敢えて無視する必要はないだろう。その間、北核問題において中国の役割が十分でなかったとしても、北朝鮮と隣接する中国は「局外者」になることを決して望まないはずだ。また、非核化に進む道で北朝鮮の言動に対する管理者としての役割も厳存する。最近、青瓦台統一外交安保特別補佐の文正仁(ムン・ジョンイン)教授がワシントンで行った民主平和統一諮問会議の講演で「米朝が特定の合意をし、6カ国の枠の中でこれを固めれば、米国が一方的に軍事行動をするのは難しいだろう」と述べたが、中国の立場と現実を認識した発言とみられる。
北核のチャイナパッシングを韓国が助長する必要もなく、中国の役割を見下げる必要もない。重要なのは奇跡のように訪れた対話の機会を生かして北核廃棄を必ず実現させることだ。その過程で周辺国との協力は選択でなく必須という点も誰もが認知しなければいけない。いくらTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に対する報復を受けても、中国との疎通と協力はさらに強化する必要がある。それが韓国と中国の差であることを言動で見せるべきだ。うまくいけば今回の北核対話局面が韓国外交の先進化のきっかけになる可能性もある。
やはり北核問題だった。北朝鮮の対話モードは本当に核廃棄を前提にしているのかというのが最初の質問だった。特に韓国人の反応と「政界はどう見ているのか」という点を集中的に尋ねた。もし彼との夕食が米朝首脳会談が伝えられた9日以降だったなら、最初の質問は米朝対話の成功の可能性を尋ねたはずだ。筆者は「歓迎するが半信半疑」と答えた。北朝鮮に何度もだまされているので韓国人は北朝鮮を信用しないと説明した。
逆に彼に「中国はどう見ているのか」と尋ねた。彼は用心深く口を開いた。「実際、我々も半信半疑だ。両会のため慌ただしいが、南北対話までが重なり、トイレに行く時間もない。最近、韓国から出た関連ニュースはほとんどすべて翻訳して目を通す。それまでは主要ニュースだけをチェックしていた」。
北東アジア情勢の研究を引き受けてから数年経つが、最近のように韓国発の北核ニュースを詳しく見るの初めてというのが彼の告白だ。研究院に韓国語の翻訳者が不足し、翻訳を外注していると説明した。ただ、自分が勤務する研究院だけでなく、中国で韓半島問題を眺めるすべての部署と研究所が最近、事実上「非常状態」だという話もした。韓国が中国に提供する関連情報があまりにも制限的であるうえ、北朝鮮情報も以前のようではないという言葉も付け加えた。彼は何か韓国に不満を抱いているようだった。
北核事態の対話局面を見る最近の中国内部の雰囲気はこうだ。「能動的」よりも「受動的」に、「急ぐ」よりも「ゆっくり」と北核問題を扱っていた以前の中国とは違う。焦りが感じられる。まさかの「チャイナパッシング」、すなわち中国排除を警戒しているようだ。
その間、中国は6カ国協議の議長国として北核問題に対する「大株主」を自負してきた。しかし6カ国協議が失敗して中国の役割は「小株主」に変わり、米国主導の対北朝鮮制裁にやむを得ず参加するしかない状況になった。北朝鮮に対する石油供給中断という致命的な手段を持ちながらも、これを積極的に活用して北朝鮮を対話の場に引き出せなかった報い(?)といえる。
チャイナパッシングに対する中国の憂慮は外務省報道官の発言にも表れている。青瓦台が6日に対北朝鮮特使団の訪朝結果を発表すると、中国外務省の耿爽報道官は「前向きな北朝鮮訪問結果を歓迎する。関係国が韓半島(朝鮮半島)非核化と韓半島問題の政治的解決プロセスを推進するうえで共に努力できることを望む。そのために中国は引き続き適切な役割をしていきたい」と論評した。歓迎する言葉のようだが、その裏には中国の役割縮小を警戒する雰囲気がある。昨年、習主席の特使として訪朝した宋濤党対外連絡部長が金正恩(キム・ジョンウン)委員長にも会えないほど対北朝鮮影響力が顕著に弱まったのも(チャイナパッシング)警戒を高める理由の一つだろう。北朝鮮の露骨な中国無視も関係している。金正恩委員長が韓米連合訓練を受け入れたことで、中国が北核問題の解決方式として提示した双暫停(北朝鮮の核・ミサイル開発と韓米連合訓練の暫定停止)原則に背を向けたのだ。
さらにトランプ米大統領が金正恩委員長が提案した首脳会談を直ちに受け入れ、中国の立場はさらに難しくなった。表面上では米朝対話を促して歓迎するというが、その過程で南北がチャイナパッシングをしたからだ。ある日突然、北核の主導権が中国の手を離れて南北、米国側に流れているということだ。もちろん中国は当惑しながらも、南北対話と米朝対話の後を考えてチャイナパッシングはないという自信を見せている。過去に6カ国協議が大きな成果を出せなくても、北朝鮮の非核化過程は韓半島をめぐる多者間対話の枠の中で進行されるしかないという信念を持っている。
中国の代表的な韓半島専門家、中国国際問題研究院の楊希雨研究員の見解も同じだ。楊氏は最近、あるインタビューで「今も韓半島核問題の解決は6カ国協議だけが最も有効な方法だと信じている。米朝対話だけでは非核化、体制安全保障、核兵器除去など複雑な問題を解決するのが難しい」と述べた。1994年の米朝ジュネーブ合意は核だけでなく政治的問題も包括したが、結局はお互い相手がだましたと非難する結果をもたらしたというのが楊氏の説明だ。米朝は数十年間にわたり対立と不信で一貫してきたため、今回の米朝首脳会談で複雑な核問題が一気に解決することは考えにくいということだ。
一理ある。したがって韓国もこうした中国の立場を敢えて無視する必要はないだろう。その間、北核問題において中国の役割が十分でなかったとしても、北朝鮮と隣接する中国は「局外者」になることを決して望まないはずだ。また、非核化に進む道で北朝鮮の言動に対する管理者としての役割も厳存する。最近、青瓦台統一外交安保特別補佐の文正仁(ムン・ジョンイン)教授がワシントンで行った民主平和統一諮問会議の講演で「米朝が特定の合意をし、6カ国の枠の中でこれを固めれば、米国が一方的に軍事行動をするのは難しいだろう」と述べたが、中国の立場と現実を認識した発言とみられる。
北核のチャイナパッシングを韓国が助長する必要もなく、中国の役割を見下げる必要もない。重要なのは奇跡のように訪れた対話の機会を生かして北核廃棄を必ず実現させることだ。その過程で周辺国との協力は選択でなく必須という点も誰もが認知しなければいけない。いくらTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に対する報復を受けても、中国との疎通と協力はさらに強化する必要がある。それが韓国と中国の差であることを言動で見せるべきだ。うまくいけば今回の北核対話局面が韓国外交の先進化のきっかけになる可能性もある。
この記事を読んで…