青瓦台（チョンワデ、大統領府）が平昌（ピョンチャン）冬季オリンピック（五輪）閉会式に参加する米国と北朝鮮代表団の会合を仲裁しない。非核化のきっかけになる米朝接触は五輪期間中に行われない見通しだ。青瓦台高位関係者は２２日「トランプ大統領の長女・イバンカ上級顧問を団長とする米国代表団と金英哲（キム・ヨンチョル）労働党中央委員会副委員長が率いる北朝鮮代表団は会う計画も機会もない」として「青瓦台も仲裁する計画がない」と明らかにした。この関係者は「両側が接触する状況ではない。閉会式場でも動線が重ならないだろう」と付け加えた。

米朝接触の中断は１０日、青瓦台が仲裁した金与正（キム・ヨジョン）氏とマイク・ペンス米副大統領の接触がわずか会合２時間前に不発になった影響と見られる。青瓦台高位関係者は「前回に会合を試み、その過程で両国が状況認識をしたため、直ちに何かを作り出したりすることはないだろう」と話した。

ホワイトハウスは２１日（現地時間）、記者会見で「イバンカ氏が訪韓期間に北朝鮮の代わりに米国代表チームを励ますだろう」としながら「韓米同盟を再確認するのに集中する計画」と明らかにした。このように、米国が米朝接触の可能性を事前に排除すると、北朝鮮はこの日引き続き金英哲氏と李善権（リ・ソングォン）祖国平和統一委員長など８人の代表団名簿を通知した。


青瓦台関係者は「金与正氏らが帰った直後から進められた北朝鮮との非公式接触を通じて北朝鮮の閉会式代表団派遣の事実をあらかじめ把握し、これを米国と共有した」とし「しかし、結局最後に通知してきた両側代表団は閉会式の出席が目的で、対話を念頭に置いていないようだ」と話した。

非核化問題を解決する一つの軸である米朝両側の立場の違いが確認されることで南北関係の改善を米朝対話につなげないという文在寅（ムン・ジェイン）大統領の構想も難航することになった。青瓦台が難局を乗り越えるために五輪が閉会した後、対北朝鮮特使のカードを検討するだろうという見通しが出ている。世宗（セジョン）研究所のチョン・サンジャン上席研究委員は「当面、米朝対話は難しい。対北朝鮮特使を考慮する必要がある」と話した。

文大統領は米国と北朝鮮代表団に別に面会する。イバンカ上級顧問とは２３日、青瓦台常春斎（サンチュンジェ）で晩餐会を開く。金英哲氏とは閉会式翌日である２６日の面会が有力だ。青瓦台関係者は「文大統領が自然に北朝鮮代表団に会うことになるだろう」と話した。

金英哲氏は韓国の国家情報院格である統一戦線部長を兼ねている。２０１０年、韓国哨戒艦「天安（チョナン）」爆沈事件当時、偵察総局長を務めていた。その後、韓国と米国の制裁対象に指定された。保守陣営は金英哲氏の訪韓に強く反発した。自由韓国党はこの日、緊急議員総会を開いて「金英哲氏の訪韓を絶対に受け入れられない」として「対南偵察総局の責任者として韓国哨戒艦『天安』爆沈、延坪島（ヨンピョンド）砲撃、木箱地雷挑発を主導した者」と批判した。