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【現場から】李・小平選手の抱擁に比較される文氏と安倍氏の葛藤

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

肩を寄せ合いながらリンクを回る韓国の李相花と日本の小平奈緒(左)、文大統領と安倍首相。

「小平奈緒と李相花の友情物語」(朝日)、「君がいるから、強くなれた」(毎日)--。19日付けの日本の新聞のタイトルだ。小平奈緒の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)女子スピードスケート500メートル金メダルのニュースを大きく取り上げた日本各紙は小平と李相花(イ・サンファ)が見せた「もう一つのドラマ」にも熱狂した。

日本メディアは、競技が終わった後に涙を流す李に小平が近付いて韓国語で「チャレッソ(頑張ったね)」、そして「私はまだあなたのことをリスペクトしているよ」と励ましたエピソードを紹介した。競技場では「宿敵」と呼ばれているが、競技後「友人」に戻った2人のストーリーも詳しく伝えた。

普段は韓国関連の記事の中にトゲを隠している右翼・保守新聞も2人の抱擁場面だけは大きく扱った。もちろん小平の勝利で心が寛容になったためも全くないとは限らないが。


事実、両選手の関係はただ良いわけではない。一つの目標に向かって競争しなければならない宿命、そして「日本(韓国)との競争ではじゃんけんでも負けてはいけない」という言葉があるほど強力な韓日戦に対する圧迫が両選手に付いて回ったはずだ。

「宿敵」の2人が、それも大きな勝負の直後に見せた異例の姿に感動を受けたのは安倍晋三首相も同じだった。競技翌日19日午前、安倍首相と小平選手との電話の中でこのような会話があった。

安倍=試合が終わった後、韓国の李相花選手と話をしていましたが、どんな話をしましたか。

小平=韓国で開かれるオリンピック(五輪)大会ということで、李相花選手も大きな重圧の中で金メダルに向けて努力してきたので「頑張ったね」という言葉を、また彼女は今も世界記録を保有している選手なので「まだリスペクトしている」という言葉を伝えました。

安倍=試合が終わって2人が抱き合って祝福し合うのは素晴らしい光景でした。

両ライバルの友情がより美しく感じられるのは、現在、両国の間に広がっている泥仕合水準の葛藤のためであろう。今月9日、平昌(ピョンチャン)で開かれた首脳会談の後、両国関係はさらに下り坂を進んでいる。

「慰安婦問題を再確認しに、南北間対話ムードにくさびを打ち込みに」平昌(ピョンチャン)に行くと言っていた安倍氏にとって首脳会談は国内向けだった。日本政府関係者は会談当日のブリーフィングで「首脳同士の詳しい対話は公開しない」とした。だが、安倍氏の会談中の発言は「文大統領に直言した武勇談」として包装され、保守新聞を通じて数日後にその一切が報じられた。「朴槿恵(パク・クネ)前政権の時に(10億円など)取るものは取っ ておいて実行できないというのはあり得ない」「あなたも国民の(70%という)高い支持があるんだから決断しなければならない」などの発言だ。

会談で「(平昌五輪のために見合わせている)米韓合同軍事演習をこれ以上延期すべきではない」と主張して文氏から「主権の問題であり、内政に関する問題。(安倍)首相がこの問題を取り上げるのは困る」と反論を受けた安倍氏は、14日のドナルド・トランプ米大統領との電話会談で「米韓合同軍事演習は重要な問題」として意見を一致させた。韓日間の問題に米国まで引き込んだ。西村康稔官房副長官はある番組に出演して「(北朝鮮は)韓国だけの問題ではない。北朝鮮は日本、アジア、米国、世界中にとっても最大の脅威だ」と述べた。安倍氏の一介の参謀が公開的に隣国の大統領の発言を正面批判したものといえる。

青瓦台(チョンワデ、大統領府)も人のことは言えない。文-安倍両氏の間であった韓米合同軍事演習関連の会談内容を先に公開して問題を触発したためだ。安倍氏が演習問題に言及し、文氏が不快感を表したという関連内容は会談翌日の10日、青瓦台高位関係者を通じて公開された。この関係者がなぜ突然両首脳の会談内容を公開したのかは分からないが、日本政府と自民党からは「首脳間の敏感な対話を、国内世論を意識してわざと公表した」として不満を噴出させている。

なんとか首脳会談を成功させながらも絶えず泥仕合を続ける両国首脳部の姿が、ベストを尽くした後に互いを称え祝い合う小平と李の抱擁と極端に比較される。

両国の政治家は言葉だけで「未来志向」を叫ぶのではなく、小平・李の両選手の抱擁がなぜ世界の人々を感動させたのか、深く考えてみなければならないようだ。



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