北朝鮮の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)参加のために制裁免除リレーが続いている。馬息嶺(マシクリョン)スキー場共同訓練のための北朝鮮訪問団のチャーター機利用、北朝鮮芸術団の「万景峰(マンギョンボン)92号」利用、金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党中央委第1副部長と崔輝(チェ・フィ)北朝鮮国家体育指導委員長の韓国訪問などだ。崔輝委員長の入国のために韓国政府は国連加盟国193カ国が義務的に守るべき安全保障理事会の対北朝鮮制裁まで猶予を推進中だ。
韓国外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)報道官は8日の定例記者会見で、相次ぐ制裁例外認定措置について「平昌五輪の成功のために政府が必要だと判断した最小限の措置を取った」と明らかにした。しかし実際には北朝鮮は希望することを通知し、韓国はこれを叶えるために各種制裁上の例外適用に向けて外交力を注ぐ様相が繰り返されている。
◆「五輪が金正恩委員長の舞台に」
言葉と行動が異なるのは韓国だけでない。米国は公式的には韓国の南北関係改善推進を100%支持すると述べたが、8日に訪韓したペンス米副大統領の行動は違う。
北朝鮮に拘束されて帰国直後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの父を同行させたペンス副大統領は9日、平昌五輪開会式に出席する前に韓国哨戒艦「天安」記念館を訪問する。脱北者と共にだ。
このように北朝鮮が中心に立つ平昌五輪を眺めるワシントンとソウルの気流の差は大きい。最近ワシントンを訪問した外交消息筋は「いま北の平昌五輪参加のために韓国がしていることは制裁体制を弱化させる余地があるというのがワシントンの雰囲気」とし「トランプ政権内に『韓国が先にこのような姿を見せれば我々がどのように制裁を忠実に履行しろと中国を説得できるのか』という不満があった」と伝えた。
金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長の「新年の辞」発表以降、南北対話を提案する過程で韓国政府が米国と事前協議をせず、不信感も生じている。政府は日本の制裁対象である「万景峰92号」の入港のために制裁猶予を決める時も事前に日本に知らせなかった。日本は韓国メディアの報道を見てこの事実を知ったという。
◆「南北対話進行に効果」
韓日米連携から離脱するのではという誤解まで甘受した韓国政府の平和への努力に北朝鮮もひとまず呼応する姿だ。妹の金与正氏を送ったこと自体を金正恩委員長のメッセージと見ることができるからだ。世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は「白頭(ペクトゥ)血統の金与正氏が韓国を訪問することになったのは、今後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金正恩委員長と南北首脳会談を推進し、虚心坦壊な対話を進めるうえで非常に前向きに作用すると予想される」という見方を示した。
しかしこの過程で韓米間の信頼に亀裂が生じれば平昌五輪後に「同盟費用請求書」が届くという懸念が出ている。魏聖洛(ウィ・ソンラク)ソウル大客員教授は「南北対話は小さな次元のゲームであり、大きな局面自体を変えるのは難しい」とし「我々は大きな構図の中でキープレーヤーと連携しなければならず、始終一貫してキーを握る米国との連携を毀損すれば我々は動けなくなる」と述べた。「北の問題に対するトランプ大統領の言葉がよく変わるように見えても、就任後から一貫している立場は最大限の圧力を継続するということだ」と話しながらだ。
専門家らは短期間に成果を出そうと焦らず、平昌五輪後まで考慮する必要があると助言した。そのためには北朝鮮が対話に出てきた真意を把握するのが先だという指摘が出ている。
千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長は「対話が続く間、制裁をやや緩和させたり、それが無理でもさらなる制裁を防ぐことができるというのが北の思惑であるようだ」とし「金与正氏まで送ったのは、米国の最大限の圧力作戦(Maximum Pressure Campaign)に北が最高の魅力攻勢(Maximum Charm Offensive)で対抗するものであり、全体的な絵が金正恩委員長の舞台のようになりつつある」と指摘した。続いて「これは次の手続きとして南北首脳会談まで念頭に置いた布石であり、北が『韓米連合訓練再開すれば南北首脳会談をしない』という場合、韓米間に葛藤が生じる可能性がある」と懸念した。
◆「韓米同盟が弱まれば非核化議論で韓国排除も」
北朝鮮が韓半島(朝鮮半島)状況の主導権を握って揺さぶる状況を防ぐには、制裁効果に基づいた戦略を立てる必要があるという指摘も出ている。ソウル大経済学部のキム・ビョンヨン教授は北朝鮮の貿易依存度(北朝鮮の対外貿易額+南北貿易額/北朝鮮国内総生産)が2014年基準で52%にのぼると分析した。同年の世界各国の平均貿易依存度は60%だ。キム教授は「北はもう閉鎖経済ではなく貿易で暮らす国だ。制裁で輸出額が減り、打撃を受け始めた」と述べた。そして核問題をめぐる北朝鮮・米国・韓国の立場を不動産売却者・購入者・仲介人に例えた。キム教授は「まだ北が(核交渉テーブルに出る対価として)求める価格が非常に高く、米国はこの価格では買うつもりはない。このようにお互い希望する価格の差が大きい中で仲介人があまりにも出過ぎれば双方から不満ばかり聞くことになる」とし「もう少し待って制裁が完全に効果を出し始めれば価格も下がり、この時に仲介するのが韓国には有利だ」と説明した。
◆「制裁効果が大きいほど有利」
しかし苦労して非核化議論を始めても、韓米間の連携が弱ければ韓国が排除される可能性がある。朝米間の利害関係が核廃棄でなく核凍結で合致する危険性を専門家らは指摘する。特に今年秋の米国中間選挙を控え、トランプ大統領が北核問題で成果を出すために目標を核凍結に下げるのではという懸念も出ている。韓国としては非核化という目標が揺れないよう韓米同盟を管理することが南北関係の改善に劣らず重要な課題だ。結局、北朝鮮に核を放棄させることができるインセンティブはほとんど米国が握っているからだ。
金聖翰(キム・ソンハン)高麗大国際大学院長は「凍結は非核化にいたるための技術的な中間段階にすぎず、ここに戦略的な意味を付与してあまりにも多くの努力を注ぐ場合、違う方向に流れてしまう」とし「韓米連合訓練の縮小や中断も非核化の具体的な成果や履行措置が出てくる時に使える本交渉カードであり、凍結に対する対価として考慮してはいけない」と述べた。
韓国外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)報道官は8日の定例記者会見で、相次ぐ制裁例外認定措置について「平昌五輪の成功のために政府が必要だと判断した最小限の措置を取った」と明らかにした。しかし実際には北朝鮮は希望することを通知し、韓国はこれを叶えるために各種制裁上の例外適用に向けて外交力を注ぐ様相が繰り返されている。
◆「五輪が金正恩委員長の舞台に」
言葉と行動が異なるのは韓国だけでない。米国は公式的には韓国の南北関係改善推進を100%支持すると述べたが、8日に訪韓したペンス米副大統領の行動は違う。
北朝鮮に拘束されて帰国直後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの父を同行させたペンス副大統領は9日、平昌五輪開会式に出席する前に韓国哨戒艦「天安」記念館を訪問する。脱北者と共にだ。
このように北朝鮮が中心に立つ平昌五輪を眺めるワシントンとソウルの気流の差は大きい。最近ワシントンを訪問した外交消息筋は「いま北の平昌五輪参加のために韓国がしていることは制裁体制を弱化させる余地があるというのがワシントンの雰囲気」とし「トランプ政権内に『韓国が先にこのような姿を見せれば我々がどのように制裁を忠実に履行しろと中国を説得できるのか』という不満があった」と伝えた。
金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長の「新年の辞」発表以降、南北対話を提案する過程で韓国政府が米国と事前協議をせず、不信感も生じている。政府は日本の制裁対象である「万景峰92号」の入港のために制裁猶予を決める時も事前に日本に知らせなかった。日本は韓国メディアの報道を見てこの事実を知ったという。
◆「南北対話進行に効果」
韓日米連携から離脱するのではという誤解まで甘受した韓国政府の平和への努力に北朝鮮もひとまず呼応する姿だ。妹の金与正氏を送ったこと自体を金正恩委員長のメッセージと見ることができるからだ。世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は「白頭(ペクトゥ)血統の金与正氏が韓国を訪問することになったのは、今後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金正恩委員長と南北首脳会談を推進し、虚心坦壊な対話を進めるうえで非常に前向きに作用すると予想される」という見方を示した。
しかしこの過程で韓米間の信頼に亀裂が生じれば平昌五輪後に「同盟費用請求書」が届くという懸念が出ている。魏聖洛(ウィ・ソンラク)ソウル大客員教授は「南北対話は小さな次元のゲームであり、大きな局面自体を変えるのは難しい」とし「我々は大きな構図の中でキープレーヤーと連携しなければならず、始終一貫してキーを握る米国との連携を毀損すれば我々は動けなくなる」と述べた。「北の問題に対するトランプ大統領の言葉がよく変わるように見えても、就任後から一貫している立場は最大限の圧力を継続するということだ」と話しながらだ。
専門家らは短期間に成果を出そうと焦らず、平昌五輪後まで考慮する必要があると助言した。そのためには北朝鮮が対話に出てきた真意を把握するのが先だという指摘が出ている。
千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長は「対話が続く間、制裁をやや緩和させたり、それが無理でもさらなる制裁を防ぐことができるというのが北の思惑であるようだ」とし「金与正氏まで送ったのは、米国の最大限の圧力作戦(Maximum Pressure Campaign)に北が最高の魅力攻勢(Maximum Charm Offensive)で対抗するものであり、全体的な絵が金正恩委員長の舞台のようになりつつある」と指摘した。続いて「これは次の手続きとして南北首脳会談まで念頭に置いた布石であり、北が『韓米連合訓練再開すれば南北首脳会談をしない』という場合、韓米間に葛藤が生じる可能性がある」と懸念した。
◆「韓米同盟が弱まれば非核化議論で韓国排除も」
北朝鮮が韓半島(朝鮮半島)状況の主導権を握って揺さぶる状況を防ぐには、制裁効果に基づいた戦略を立てる必要があるという指摘も出ている。ソウル大経済学部のキム・ビョンヨン教授は北朝鮮の貿易依存度(北朝鮮の対外貿易額+南北貿易額/北朝鮮国内総生産)が2014年基準で52%にのぼると分析した。同年の世界各国の平均貿易依存度は60%だ。キム教授は「北はもう閉鎖経済ではなく貿易で暮らす国だ。制裁で輸出額が減り、打撃を受け始めた」と述べた。そして核問題をめぐる北朝鮮・米国・韓国の立場を不動産売却者・購入者・仲介人に例えた。キム教授は「まだ北が(核交渉テーブルに出る対価として)求める価格が非常に高く、米国はこの価格では買うつもりはない。このようにお互い希望する価格の差が大きい中で仲介人があまりにも出過ぎれば双方から不満ばかり聞くことになる」とし「もう少し待って制裁が完全に効果を出し始めれば価格も下がり、この時に仲介するのが韓国には有利だ」と説明した。
◆「制裁効果が大きいほど有利」
しかし苦労して非核化議論を始めても、韓米間の連携が弱ければ韓国が排除される可能性がある。朝米間の利害関係が核廃棄でなく核凍結で合致する危険性を専門家らは指摘する。特に今年秋の米国中間選挙を控え、トランプ大統領が北核問題で成果を出すために目標を核凍結に下げるのではという懸念も出ている。韓国としては非核化という目標が揺れないよう韓米同盟を管理することが南北関係の改善に劣らず重要な課題だ。結局、北朝鮮に核を放棄させることができるインセンティブはほとんど米国が握っているからだ。
金聖翰(キム・ソンハン)高麗大国際大学院長は「凍結は非核化にいたるための技術的な中間段階にすぎず、ここに戦略的な意味を付与してあまりにも多くの努力を注ぐ場合、違う方向に流れてしまう」とし「韓米連合訓練の縮小や中断も非核化の具体的な成果や履行措置が出てくる時に使える本交渉カードであり、凍結に対する対価として考慮してはいけない」と述べた。
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