10億ドル(約1100億円)。世界市場シェア1位(2016年基準14.6%)のタイヤ企業ブリヂストンが毎年支出する研究・開発(R&D)費だ。自動車が内燃機関車両から電気自動車・燃料電池自動車へと進化しているだけに、タイヤ企業の革新ペースも速まっている。タイヤメーカーはより環境にやさしく消費者の安全に最適化した技術を確保するという課題を抱えることになった。また、原料の天然ゴムの値上がりで利益が減少しているという難関も乗り越えなければならない。これらすべての答えを見つけるためにブリヂストンはR&Dに注力している。
中央日報は6日、ソウル光化門(クァンファムン)のある飲食店で吉田賢介ブリヂストンコリア代表取締役にインタビューをした。吉田氏は1998年にブリヂストンに入社し、欧州・中東・アフリカなどで営業を担当してきた。昨年4月からは韓国法人総括代表を務めている。
吉田氏は世界1位のブリヂストンの競争力は「タイヤ業界最大規模のR&D投資から生まれる」と説明した。原料から試作品、事業モデル開発など革新のための新しい試みが全方向で行われるためにはR&Dが核心になるということだ。
最近は天然ゴムの値上がりでタイヤ業界の利益率が落ちると、ブリヂストンは代案原料の開発を始めた。吉田氏は「ロシアタンポポ、米国砂漠地帯のグアユール(ゴム植物の一種)などから抽出できる物質は商業的活用も可能だということを確認した」とし「現在は天然ゴムに依存するしかないが、代案原料が発掘されれば新しい機会が開かれるだろう」と強調した。
電気自動車・燃料電池自動車などエコカー時代を準備しながら注目している部分は燃費改善技術だ。バッテリー動力に依存するしかない電気自動車がより多くの距離を走行できるように車輪回転の抵抗率を最大限に減らす技術をブリヂストンが開発した。タイヤ合成ゴム分子をナノメートル(10億分の1メートル)単位に細かくすればタイヤと路面の間の摩擦で生じる抵抗を最大限に減らすことができるということだ。
この技術でブリヂストンは燃料の消耗だけでなく二酸化炭素の排出も減らす電気自動車用の特殊タイヤ「オロジック(Ologic)」を出した。この製品はBMWの電気自動車「i3」モデルの標準タイヤとして装着されている。同じ技術を適用したタイヤに「エコピア(ECOPIA)」がある。2015年初めに登場したこのタイヤは世界で1000万個売れた。
吉田氏は消費者の安全のために固定概念を覆す技術も紹介した。ブリヂストンが開発した「ドライブガード」タイヤはパンクしても時速80キロで最大80キロの距離を走れるよう製作された。石のように丈夫なタイヤ素材を使用し、空気が抜けても車両の重さに耐えられるようにしたのだ。また空気を注入しなくてもよい「エアフリー」タイヤも開発し、自転車から適用している。
吉田氏は「エアフリータイヤは空気を注入する必要がなく、パンクすることがない」とし「現在は自転車用のタイヤから開発しているが、将来は自動車にもエアフリータイヤが適用されるだろう」と説明した。
ブリヂストンは20年前からミシュラン・グッドイヤーと共に世界タイヤ市場3位圏を形成している企業だ。しかし吉田氏は上位3社の地位について過去ほどではないと説明した。韓国・中国企業の追撃が速く、伝統的なタイヤ企業のシェアが奪われる状況がしばらく続く可能性があるということだ。
特に韓国企業は韓国法人代表の吉田氏には越えなければいけないヤマだ。ハンコック・クムホ・ネクセンタイヤなど営業ネットワークを構築している韓国企業の間に食い込んで韓国市場で成果を出すのは容易でないということだ。にもかかわらず吉田氏が韓国市場に魅力を感じたのは韓国消費者特有の開放性だった。
吉田氏は「韓国にはサムスン・LGエレクトロニクスなどグローバル技術企業が多く、消費者も革新技術を持つ製品に心を開くということを感じた」とし「昨年、現代ジェネシスG70と起亜スティンガーモデルの新車用タイヤ(PE)にブリヂストン製品が採択されたように、輸入タイヤ企業にも市場が開かれると見ている」と述べた。吉田氏はブリヂストンを輸入タイヤ企業のうち韓国市場シェア1位にするのが目標だと明らかにした。
ブリヂストンは9日に開幕する平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)の公式スポンサーでもある。21台の国際オリンピック委員会(IOC)公式車両にブリヂストンの冬用タイヤ「ブリザック(BLIZZAK)」が搭載される。吉田氏は「『最高の品質で社会に貢献』というブリヂストンのモットーはオリンピック精神とも重なる」とし「特に女子アイスホッケーの準決勝では児童福祉施設の子どもたちを招いて良い思い出を抱かせたい」と語った。
◆ブリヂストン
1931年に石橋正二郎が設立した日本のタイヤメーカー。トヨタ・ホンダなど日本自動車企業とともに成長し、世界市場シェア1位になった。日本・米国・欧州・アジア太平洋など地域別に計4つの戦略事業部を運営し、従業員は約14万人。
中央日報は6日、ソウル光化門(クァンファムン)のある飲食店で吉田賢介ブリヂストンコリア代表取締役にインタビューをした。吉田氏は1998年にブリヂストンに入社し、欧州・中東・アフリカなどで営業を担当してきた。昨年4月からは韓国法人総括代表を務めている。
吉田氏は世界1位のブリヂストンの競争力は「タイヤ業界最大規模のR&D投資から生まれる」と説明した。原料から試作品、事業モデル開発など革新のための新しい試みが全方向で行われるためにはR&Dが核心になるということだ。
最近は天然ゴムの値上がりでタイヤ業界の利益率が落ちると、ブリヂストンは代案原料の開発を始めた。吉田氏は「ロシアタンポポ、米国砂漠地帯のグアユール(ゴム植物の一種)などから抽出できる物質は商業的活用も可能だということを確認した」とし「現在は天然ゴムに依存するしかないが、代案原料が発掘されれば新しい機会が開かれるだろう」と強調した。
電気自動車・燃料電池自動車などエコカー時代を準備しながら注目している部分は燃費改善技術だ。バッテリー動力に依存するしかない電気自動車がより多くの距離を走行できるように車輪回転の抵抗率を最大限に減らす技術をブリヂストンが開発した。タイヤ合成ゴム分子をナノメートル(10億分の1メートル)単位に細かくすればタイヤと路面の間の摩擦で生じる抵抗を最大限に減らすことができるということだ。
この技術でブリヂストンは燃料の消耗だけでなく二酸化炭素の排出も減らす電気自動車用の特殊タイヤ「オロジック(Ologic)」を出した。この製品はBMWの電気自動車「i3」モデルの標準タイヤとして装着されている。同じ技術を適用したタイヤに「エコピア(ECOPIA)」がある。2015年初めに登場したこのタイヤは世界で1000万個売れた。
吉田氏は消費者の安全のために固定概念を覆す技術も紹介した。ブリヂストンが開発した「ドライブガード」タイヤはパンクしても時速80キロで最大80キロの距離を走れるよう製作された。石のように丈夫なタイヤ素材を使用し、空気が抜けても車両の重さに耐えられるようにしたのだ。また空気を注入しなくてもよい「エアフリー」タイヤも開発し、自転車から適用している。
吉田氏は「エアフリータイヤは空気を注入する必要がなく、パンクすることがない」とし「現在は自転車用のタイヤから開発しているが、将来は自動車にもエアフリータイヤが適用されるだろう」と説明した。
ブリヂストンは20年前からミシュラン・グッドイヤーと共に世界タイヤ市場3位圏を形成している企業だ。しかし吉田氏は上位3社の地位について過去ほどではないと説明した。韓国・中国企業の追撃が速く、伝統的なタイヤ企業のシェアが奪われる状況がしばらく続く可能性があるということだ。
特に韓国企業は韓国法人代表の吉田氏には越えなければいけないヤマだ。ハンコック・クムホ・ネクセンタイヤなど営業ネットワークを構築している韓国企業の間に食い込んで韓国市場で成果を出すのは容易でないということだ。にもかかわらず吉田氏が韓国市場に魅力を感じたのは韓国消費者特有の開放性だった。
吉田氏は「韓国にはサムスン・LGエレクトロニクスなどグローバル技術企業が多く、消費者も革新技術を持つ製品に心を開くということを感じた」とし「昨年、現代ジェネシスG70と起亜スティンガーモデルの新車用タイヤ(PE)にブリヂストン製品が採択されたように、輸入タイヤ企業にも市場が開かれると見ている」と述べた。吉田氏はブリヂストンを輸入タイヤ企業のうち韓国市場シェア1位にするのが目標だと明らかにした。
ブリヂストンは9日に開幕する平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)の公式スポンサーでもある。21台の国際オリンピック委員会(IOC)公式車両にブリヂストンの冬用タイヤ「ブリザック(BLIZZAK)」が搭載される。吉田氏は「『最高の品質で社会に貢献』というブリヂストンのモットーはオリンピック精神とも重なる」とし「特に女子アイスホッケーの準決勝では児童福祉施設の子どもたちを招いて良い思い出を抱かせたい」と語った。
◆ブリヂストン
1931年に石橋正二郎が設立した日本のタイヤメーカー。トヨタ・ホンダなど日本自動車企業とともに成長し、世界市場シェア1位になった。日本・米国・欧州・アジア太平洋など地域別に計4つの戦略事業部を運営し、従業員は約14万人。
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