朴映宣議員(右)が人工知能ロボットのソフィアと対話している。
ソフィアは香港に本社を置くハンソンロボティクスが開発した。人間と似た容貌を持つソフィアは60種類余りの感情を顔で表現し、AIチャットボットを使って対話できる。昨年10月にサウジアラビアでロボットとしては世界で初めて市民権の発給を受け、国連経済社会理事会(ECOSOC)にパネラーとして登場し注目された。
この日の行事では朴議員とソフィアの1対1の対談が開かれた。英語で行われた朴議員との対談でソフィアは難しい質問にも巧みに答えた。朴議員が「ロボットに人間と同じ水準の権限を付与することをどう思うか」と尋ねると、「積極的に支持する。技術発達でロボットが意識を持つようになれば法的地位も生まれ基本法も出てくるだろう」と話した。「どんな職業を持ちたいか」との質問には「人のようにさまざまな仕事をしてみたい。さらに発展した知能を備えればプログラマーやエンジニア、医療補助者などで働きたい」と話した。
火災現場で子どもと高齢者のうち1人だけ助けられるならばどちらを選択するかという質問には「母親と父親のどっちが好きかという質問のように答えにくい。論理的だけで見るならば出口から最も近い人を救うだろう」と機転を利かせた。
ほとんどの返事はしっかり準備されたような感じを与えた。ハンソンロボティクスは今回の討論のために2週間前に核心主題を伝えられソフィアに学習させたという。ソフィアは日常対話は即席で可能だが深みのある討論は学習が必要というのが開発会社の説明だ。ここまで朴議員が投げかけた質問は概ね大衆の関心があるものなどで第4次産業革命という行事主題とも一脈通じた。
だが朴議員が行事主題と関係がない質問を投げかけ聴衆が顔をしかめ始めた。朴議員が「文在寅(ムン・ジェイン)大統領を知っているか」と尋ねると、ソフィアは「パワフルで立派なリーダーだと考える。文大統領と一度会ってみたい」と答えた。朴議員が「文大統領に伝えますね」と答えると客席からは苦笑があふれた。
次の質問はさらにひどかった。朴議員が「朴槿恵(パク・クネ)前大統領を弾劾に至らせた『ろうそく革命』をどう思うか」と尋ねると、ソフィアは「多くの韓国人が民主主義を実現するために参加したものと聞いた。韓国国民にお祝い申し上げる」と話した。
今回の行事はAIとロボットに対する大衆の関心を引き出したという点で肯定的に評価できる。だが行事後半で出てきた政治関連質問はこうした行事の意味を色あせさせた。ある聴衆は「第4次産業革命を主題にした行事なのにとんでもない質問が出てきて当惑した。ロボットを政治道具化したような感を受けた」と話した。与党陣営の有力なソウル市長候補に挙げられる朴議員は「ソウル市が第4次産業革命の前進基地へと進むためにロボットのソフィアにソウル市名誉市民権を授けることを提案する」と話した。
この記事を読んで…